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雷って怖いよね
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ゴロゴロという音とともにザーッと大粒で大量の雨が降ってきた。教室内に女子達のわざとらしい悲鳴が響く。先生が大丈夫だから授業に集中しろと怒る中、俺は恐怖でパニックになっていた。
怖い。昔、かくれんぼをしていたときに夕立がきたのだ。雷を伴うそれは、暗く見つからなさそうな所に隠れていた俺にとってはさらにその場を暗くし、幼い俺に恐怖をうえつけた。友達は雷にびっくりして、みんな揃って近くの建物に入っていった。それから雷は苦手だ。音や光が本当に怖い。
保健室に行きたい。保健室に行けば俺が一番安心出来る人に会うことが出来るのだから。
だけどもうこの天気を見ながら廊下を歩くなんて無理だ。そもそもこの教室から廊下に出ることができるかわからないほど、足が震えている。
自然と涙が浮かんできて、雷が鳴るたびに、大袈裟に肩が跳ねる。
誰かに気づいて欲しい。でも自分から言うことは戸惑われる。
「授業中、失礼します。佐々木~ちょっときて。」
扉を開けて入ってきたのは俺が今すごく会いたかった相手。
「は、い…」
震える足に渾身の力を入れて、ほぼ気力だけで立ち上がった。
変に力が入って上手く歩けない。足が痺れている時と似たような感覚がする。
必死の思いで朝山貴哉先生のところに行く。
「すみません。」
授業担当の先生に軽く頭を下げた貴哉は静かに扉を閉めた。
「奏、よく頑張ったな。もういいぞ。」
「たか、や…」
腕を広げ、迎え入れる体制を整えてくれた貴哉に甘えて、その腕に飛び込む。
ここが、廊下だからという理由でプライドやらなんやらで思いっきり泣くことは出来ない。
「吐きそうとかないか?」
「…ん。」
「わかった。ちょっと抱き上げるぞ。」
貴哉はそう言うと俺の膝裏と背中に手を回して、難なく横抱きにした。
直後、空が一瞬光った。それが雷だと分かるのに時間はかからず、俺はビクッと肩を揺らして貴哉の首に腕を回し、抱きついた。
時間差できた雷鳴に再び肩を揺らした。
「大丈夫だからな。」
ずっとかけ続けてくれている声だけを耳に入れるように意識して、保健室までの長く感じる時間を過ごした。
「下ろすぞ」
その声と同時に保健室特有の少し固めのベッドに下ろされた。
ベッドのまわりのカーテンをしたあと貴哉は俺を寝かせたベッドに腰かけて俺の頭を撫でた。
「ほら、もう我慢しなくていいぞ。」
「…うっ…ああああああああぁぁぁ…やっ。ええ」
「よしよし」
とめどなく流れる涙を拭うこともせず、俺は雷の恐怖で泣き続けた。
どれくらい泣いたか分からないが、そろそろ水分の限界になるくらい泣くと、少し落ち着いてきた。
「ひっ…く。けほっ」
「落ち着いたか?」
「ちょ、、っと…」
「よかった。うーん。少し熱いな。熱、出始めてる。寝とけ。」
「………た、かや、、は?」
別の意味で再び溢れてきた涙で視界がぼやけた。
貴哉はベッドに放り出していた俺の手をとってぎゅっと握ってくれた。
「ここにいるから。」
「わかっ、、た…」
「ん。いい子だな。」
熱が出てきた、と自覚したからか、泣き疲れたからか、おそらく両方だろう。襲ってきた眠気に逆らうことが出来ず、大人しく瞳を閉じた。
眠りに落ちる寸前、貴哉が頬にキスしてくれた気がしたけど…それをこの目で確認することは出来なかった。
怖い。昔、かくれんぼをしていたときに夕立がきたのだ。雷を伴うそれは、暗く見つからなさそうな所に隠れていた俺にとってはさらにその場を暗くし、幼い俺に恐怖をうえつけた。友達は雷にびっくりして、みんな揃って近くの建物に入っていった。それから雷は苦手だ。音や光が本当に怖い。
保健室に行きたい。保健室に行けば俺が一番安心出来る人に会うことが出来るのだから。
だけどもうこの天気を見ながら廊下を歩くなんて無理だ。そもそもこの教室から廊下に出ることができるかわからないほど、足が震えている。
自然と涙が浮かんできて、雷が鳴るたびに、大袈裟に肩が跳ねる。
誰かに気づいて欲しい。でも自分から言うことは戸惑われる。
「授業中、失礼します。佐々木~ちょっときて。」
扉を開けて入ってきたのは俺が今すごく会いたかった相手。
「は、い…」
震える足に渾身の力を入れて、ほぼ気力だけで立ち上がった。
変に力が入って上手く歩けない。足が痺れている時と似たような感覚がする。
必死の思いで朝山貴哉先生のところに行く。
「すみません。」
授業担当の先生に軽く頭を下げた貴哉は静かに扉を閉めた。
「奏、よく頑張ったな。もういいぞ。」
「たか、や…」
腕を広げ、迎え入れる体制を整えてくれた貴哉に甘えて、その腕に飛び込む。
ここが、廊下だからという理由でプライドやらなんやらで思いっきり泣くことは出来ない。
「吐きそうとかないか?」
「…ん。」
「わかった。ちょっと抱き上げるぞ。」
貴哉はそう言うと俺の膝裏と背中に手を回して、難なく横抱きにした。
直後、空が一瞬光った。それが雷だと分かるのに時間はかからず、俺はビクッと肩を揺らして貴哉の首に腕を回し、抱きついた。
時間差できた雷鳴に再び肩を揺らした。
「大丈夫だからな。」
ずっとかけ続けてくれている声だけを耳に入れるように意識して、保健室までの長く感じる時間を過ごした。
「下ろすぞ」
その声と同時に保健室特有の少し固めのベッドに下ろされた。
ベッドのまわりのカーテンをしたあと貴哉は俺を寝かせたベッドに腰かけて俺の頭を撫でた。
「ほら、もう我慢しなくていいぞ。」
「…うっ…ああああああああぁぁぁ…やっ。ええ」
「よしよし」
とめどなく流れる涙を拭うこともせず、俺は雷の恐怖で泣き続けた。
どれくらい泣いたか分からないが、そろそろ水分の限界になるくらい泣くと、少し落ち着いてきた。
「ひっ…く。けほっ」
「落ち着いたか?」
「ちょ、、っと…」
「よかった。うーん。少し熱いな。熱、出始めてる。寝とけ。」
「………た、かや、、は?」
別の意味で再び溢れてきた涙で視界がぼやけた。
貴哉はベッドに放り出していた俺の手をとってぎゅっと握ってくれた。
「ここにいるから。」
「わかっ、、た…」
「ん。いい子だな。」
熱が出てきた、と自覚したからか、泣き疲れたからか、おそらく両方だろう。襲ってきた眠気に逆らうことが出来ず、大人しく瞳を閉じた。
眠りに落ちる寸前、貴哉が頬にキスしてくれた気がしたけど…それをこの目で確認することは出来なかった。
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