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3. 悩み
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「私もお願いしたいことがありますわ。お伝えしてもいいですか?」
「もちろん」
「今日からここに住ませて頂きたいのです」
あの地獄のような生活はもうしたくない。そんな思いで、そう口にする私。
「え? いいのか? 一緒に暮らしてくれるのか? 嬉しすぎる……!」
何故か大喜びされた。
「初恋の子と暮らせるなんて、夢か?」
ボソボソと呟きながら自分の頬をつねるクラウス様。
「あのー、聞こえてますわよ?」
「あっ」
本人は心の中で叫んでいるつもりだったらしく、一気に気まずい空気になってしまった。
でも、私は彼が完璧ではないと知って少しだけ安心した。
この歳で高爵位を譲られる彼が完璧だったら、私の立場が無くなってしまうから。
いや、恋愛以外は完璧なのだと思うけど……。
そんな時、部屋の扉がノックされ、返事をすると威厳のある殿方が入ってきた。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。キーファス・アルバランと申します。どうか愚息をよろしくお願いします」
「お初目にかかります、公爵様。アレシア・クライシスと申しますわ。こちらこそ、よろしくお願いします」
お互いに挨拶を交わすと、公爵様は「あとは若い者同士で」と言って部屋を後にしてしまった。
「私達、両想いでしたのね」
「そうなのか? 君は厄介払い同然でここに来たと聞いていたのだが」
私が呟くと、意外だったのかそう口にするクラウス様。
「確かに最初はここに来るのが嫌でしたわ。でも、相手があのラウス君で、噂が事実ではなかったと分かったので……ここにずっと居たいです」
「ああ、歓迎するよ」
互いに微笑む私とクラウス様。
こうして、穏やかな空気が流れ出した。
それからは屋敷の案内をしてもらったり、侍女の紹介をしてもらったりして、気が付けば夜になっていた。
「次は庭園を案内しようと思ったのだが、もう夜だから明日にしよう」
「ええ。明日、楽しみにしてますわ」
馬車から降ろされた場所が玄関のすぐ前だったこともあって、私はまだ庭園を見れていなかった。
正確には用意された部屋の窓から見たのだけど、ゆっくり見ることは出来ていない。だから、すごく楽しみにしている。
「気に入ってもらえるように頑張るよ」
「それはクラウス様が頑張っても、意味は無いと思いますわ」
私達がそんな会話をしていると、使用人が夕食がもうすぐ出来上がることを伝えに来た。
「少し早いかもしれないけど、そろそろダイニングに行こう」
「もうそんな時間なのね。クラウス様と一緒にいるとあっという間に感じたわ」
「ああ、俺もだ。そのうち、様付けもやめてもらうからね」
そんな会話をしている間に辿り着いたダイニング。
既に公爵家の方々が揃っていて、私は笑顔で迎え入れられた。
「家族が増えたお陰かな? こんなに楽しい夕食は久々だ」
「ええ、本当に。娘が出来たみたいで嬉しいわ」
「そんなに喜ばれても何も出せませんわ」
公爵夫妻も、クラウス様の弟妹も、皆私のことを歓迎してくれて。
まるで家族のように優しく接してくれて。
亡き母には申し訳ないけれど、今まで生きてきた中で一番楽しい夕食になった。
* * *
「アレシアが公爵家で暮らすことになった?」
御者が持ち帰った伝言を聞いて、クライシス公爵は聞き返した。
「はい。間違いありません。
こちら、公爵様から頂いた手紙になります」
そんな言葉と共に差し出された手紙をその場で開き、目を通す伯爵。
読み終わると、彼は満足そうな笑みを浮かべ、夕食をとっていた後妻と娘の方を見るとこう口にした。
「アレシアが公爵邸で暮らすのは本当のようだ。何か失礼をした責任を取らされているのだろうな」
「まぁ、あの子ったらそんな失態をしましたのね。でも、私達に迷惑をかけなかっただけ褒めたいですわ」
「ああ、そうだな」
厳しい性格ゆえに鬱陶しかった前妻の気配が屋敷から消え、伯爵は大満足だった。
アレシアが虐げられていたのは、彼女が悪かったわけではない。ただ、反抗しない彼女がストレスの捌け口にちょうど良かっただけ。
そんな彼女がいなくなればどうなるか、答えはすぐに現れた。
「もちろん」
「今日からここに住ませて頂きたいのです」
あの地獄のような生活はもうしたくない。そんな思いで、そう口にする私。
「え? いいのか? 一緒に暮らしてくれるのか? 嬉しすぎる……!」
何故か大喜びされた。
「初恋の子と暮らせるなんて、夢か?」
ボソボソと呟きながら自分の頬をつねるクラウス様。
「あのー、聞こえてますわよ?」
「あっ」
本人は心の中で叫んでいるつもりだったらしく、一気に気まずい空気になってしまった。
でも、私は彼が完璧ではないと知って少しだけ安心した。
この歳で高爵位を譲られる彼が完璧だったら、私の立場が無くなってしまうから。
いや、恋愛以外は完璧なのだと思うけど……。
そんな時、部屋の扉がノックされ、返事をすると威厳のある殿方が入ってきた。
「挨拶が遅れて申し訳ありません。キーファス・アルバランと申します。どうか愚息をよろしくお願いします」
「お初目にかかります、公爵様。アレシア・クライシスと申しますわ。こちらこそ、よろしくお願いします」
お互いに挨拶を交わすと、公爵様は「あとは若い者同士で」と言って部屋を後にしてしまった。
「私達、両想いでしたのね」
「そうなのか? 君は厄介払い同然でここに来たと聞いていたのだが」
私が呟くと、意外だったのかそう口にするクラウス様。
「確かに最初はここに来るのが嫌でしたわ。でも、相手があのラウス君で、噂が事実ではなかったと分かったので……ここにずっと居たいです」
「ああ、歓迎するよ」
互いに微笑む私とクラウス様。
こうして、穏やかな空気が流れ出した。
それからは屋敷の案内をしてもらったり、侍女の紹介をしてもらったりして、気が付けば夜になっていた。
「次は庭園を案内しようと思ったのだが、もう夜だから明日にしよう」
「ええ。明日、楽しみにしてますわ」
馬車から降ろされた場所が玄関のすぐ前だったこともあって、私はまだ庭園を見れていなかった。
正確には用意された部屋の窓から見たのだけど、ゆっくり見ることは出来ていない。だから、すごく楽しみにしている。
「気に入ってもらえるように頑張るよ」
「それはクラウス様が頑張っても、意味は無いと思いますわ」
私達がそんな会話をしていると、使用人が夕食がもうすぐ出来上がることを伝えに来た。
「少し早いかもしれないけど、そろそろダイニングに行こう」
「もうそんな時間なのね。クラウス様と一緒にいるとあっという間に感じたわ」
「ああ、俺もだ。そのうち、様付けもやめてもらうからね」
そんな会話をしている間に辿り着いたダイニング。
既に公爵家の方々が揃っていて、私は笑顔で迎え入れられた。
「家族が増えたお陰かな? こんなに楽しい夕食は久々だ」
「ええ、本当に。娘が出来たみたいで嬉しいわ」
「そんなに喜ばれても何も出せませんわ」
公爵夫妻も、クラウス様の弟妹も、皆私のことを歓迎してくれて。
まるで家族のように優しく接してくれて。
亡き母には申し訳ないけれど、今まで生きてきた中で一番楽しい夕食になった。
* * *
「アレシアが公爵家で暮らすことになった?」
御者が持ち帰った伝言を聞いて、クライシス公爵は聞き返した。
「はい。間違いありません。
こちら、公爵様から頂いた手紙になります」
そんな言葉と共に差し出された手紙をその場で開き、目を通す伯爵。
読み終わると、彼は満足そうな笑みを浮かべ、夕食をとっていた後妻と娘の方を見るとこう口にした。
「アレシアが公爵邸で暮らすのは本当のようだ。何か失礼をした責任を取らされているのだろうな」
「まぁ、あの子ったらそんな失態をしましたのね。でも、私達に迷惑をかけなかっただけ褒めたいですわ」
「ああ、そうだな」
厳しい性格ゆえに鬱陶しかった前妻の気配が屋敷から消え、伯爵は大満足だった。
アレシアが虐げられていたのは、彼女が悪かったわけではない。ただ、反抗しない彼女がストレスの捌け口にちょうど良かっただけ。
そんな彼女がいなくなればどうなるか、答えはすぐに現れた。
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