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7. 不自由
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その日の夜、私は公爵様に呼び出された。
「緊張しなくていい。伝えたいことがあるから呼んだだけだ」
なぜ呼ばれたのか分からなくて、緊張しているとそんなことを言われて、少し肩の力を抜いた。
ここには私と公爵夫妻とクラウス様しかいなくて、何か重要な話がされるのは予想がついた。
「呼び出したのはアレシア嬢が淹れるお茶についてだ」
「お茶、ですか?」
「正確には水かもしれないが、あれには聖水のような力がある」
そんなことを口にする公爵様。
聖水とは聖女様にしか生み出せない、怪我や病を完全に治すことが出来る奇跡の水のことで、今は手に入れることが出来ない。
聖女様は5年前に亡くなっていて、未だに次の聖女様が見つかっていないから。
「どういうことですか……?」
「お茶を飲んだら、腕の痛みが消えた。もっと色々試す必要があるが、貴女が聖女様という可能性がある」
この言葉を聞いて、背筋が冷えるような気がした。
聖女になれば、教会に住むことになる。そうすれば自由に外出することも、自由に趣味をすることも許されなくなる。
そんな生活になるのは絶対に嫌。そう思ったから。
「このことは内密にお願い出来ますか?」
「分かった。このことは誰にも話さない。約束しよう」
「ありがとうございます」
これに続けてクラウス様も彼のお母様も秘密にすると約束してくれて、ひとまず安心することが出来た。
「よし、この話はこれで終わりにしよう」
私達が頷くと、部屋の扉が公爵様によって開けられた。
そして、待ち構えていたらしい執事が入ってきてこう口にした。
「クライシス伯爵様からアレシア様宛にお手紙が届きました」
すぐに手紙を受け取って目を通す私。
そこにはこんなことが書かれていた。
『先方にご迷惑をおかけしたのは分かっている。こちらに迷惑をかけないように、身体を売ってでも償うように』
筆跡はお父様のものだけど、思わず二度見してしまった。
実の父なら書かないような内容が書かれていたから。
でも、念のため私が失態を犯していないか確認することにした。
「あの、私何か良くないことをしたでしょうか?」
「「いや、何も」」
「むしろ良いことをしてくれましたわ」
分かってはいたけれど、お父様の勘違いだったらしい。
「そう言って頂けると嬉しいですわ」
少し恥ずかしくて、頭を下げて表情を隠す私だった。
その時、今度は王家から手紙が届いたと知らせがあった。
「来週、王宮でパーティーがあるようだ。アレシア嬢宛ての招待状も入っている」
王家には事情を秘密にする訳にもいかなかったから、私が公爵邸で暮らしていることを伝えてあった。
だから、私宛ての招待状が入っていることに疑問はない。
でも、問題が生まれてしまった。
「アレシアのエスコート役はどうするべきですか? 出来れば僕がしたいですが、そうするとアレシアが嫉妬を買うことになってしまうので」
「守り切る自信がないのか?」
クラウス様にそう問いかける公爵様。
「いえ、そういうことでは」
「それなら、クラウスがエスコートすればいい」
「分かりました。アレシア、何があっても守ると約束する。
来週のパーティー、僕にエスコートさせて欲しい」
「お願いしますわ」
私は即答した。
彼の言葉を信じているから。
「いいのか?」
「はい、信じていますからね」
「ありがとう。命に代えてでも守ると誓う」
「いえ、そこは命を優先してください」
真剣な表情でそんなことを言われてしまって、慌てて突っ込む私だった。
「緊張しなくていい。伝えたいことがあるから呼んだだけだ」
なぜ呼ばれたのか分からなくて、緊張しているとそんなことを言われて、少し肩の力を抜いた。
ここには私と公爵夫妻とクラウス様しかいなくて、何か重要な話がされるのは予想がついた。
「呼び出したのはアレシア嬢が淹れるお茶についてだ」
「お茶、ですか?」
「正確には水かもしれないが、あれには聖水のような力がある」
そんなことを口にする公爵様。
聖水とは聖女様にしか生み出せない、怪我や病を完全に治すことが出来る奇跡の水のことで、今は手に入れることが出来ない。
聖女様は5年前に亡くなっていて、未だに次の聖女様が見つかっていないから。
「どういうことですか……?」
「お茶を飲んだら、腕の痛みが消えた。もっと色々試す必要があるが、貴女が聖女様という可能性がある」
この言葉を聞いて、背筋が冷えるような気がした。
聖女になれば、教会に住むことになる。そうすれば自由に外出することも、自由に趣味をすることも許されなくなる。
そんな生活になるのは絶対に嫌。そう思ったから。
「このことは内密にお願い出来ますか?」
「分かった。このことは誰にも話さない。約束しよう」
「ありがとうございます」
これに続けてクラウス様も彼のお母様も秘密にすると約束してくれて、ひとまず安心することが出来た。
「よし、この話はこれで終わりにしよう」
私達が頷くと、部屋の扉が公爵様によって開けられた。
そして、待ち構えていたらしい執事が入ってきてこう口にした。
「クライシス伯爵様からアレシア様宛にお手紙が届きました」
すぐに手紙を受け取って目を通す私。
そこにはこんなことが書かれていた。
『先方にご迷惑をおかけしたのは分かっている。こちらに迷惑をかけないように、身体を売ってでも償うように』
筆跡はお父様のものだけど、思わず二度見してしまった。
実の父なら書かないような内容が書かれていたから。
でも、念のため私が失態を犯していないか確認することにした。
「あの、私何か良くないことをしたでしょうか?」
「「いや、何も」」
「むしろ良いことをしてくれましたわ」
分かってはいたけれど、お父様の勘違いだったらしい。
「そう言って頂けると嬉しいですわ」
少し恥ずかしくて、頭を下げて表情を隠す私だった。
その時、今度は王家から手紙が届いたと知らせがあった。
「来週、王宮でパーティーがあるようだ。アレシア嬢宛ての招待状も入っている」
王家には事情を秘密にする訳にもいかなかったから、私が公爵邸で暮らしていることを伝えてあった。
だから、私宛ての招待状が入っていることに疑問はない。
でも、問題が生まれてしまった。
「アレシアのエスコート役はどうするべきですか? 出来れば僕がしたいですが、そうするとアレシアが嫉妬を買うことになってしまうので」
「守り切る自信がないのか?」
クラウス様にそう問いかける公爵様。
「いえ、そういうことでは」
「それなら、クラウスがエスコートすればいい」
「分かりました。アレシア、何があっても守ると約束する。
来週のパーティー、僕にエスコートさせて欲しい」
「お願いしますわ」
私は即答した。
彼の言葉を信じているから。
「いいのか?」
「はい、信じていますからね」
「ありがとう。命に代えてでも守ると誓う」
「いえ、そこは命を優先してください」
真剣な表情でそんなことを言われてしまって、慌てて突っ込む私だった。
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