虐げられるのは嫌なので、モブ令嬢を目指します！

入学前編

11. 王都へ

　子供達に魔法を見せた翌日以降は、視察に同行したりしていたから町には遊びに行けなかった。
　うちは女でも領地経営に関わることがあるから、この視察はその勉強も兼ねている。

　政治は男性がするものという考えが普通だけど、女性は「男性には気付けないところに気付ける」という理由で領地経営に関わらせているそう。
　実際、お母様はお父様に領地経営のことで文句を言っていて、お父様はその意見をしっかり反映している。

　でも、知識が全くない状態では意見なんて出来ないから勉強しなきゃいけないのよね。
　領地の視察は楽しいから全く苦にはならないけど。



　王都に戻る前の日は予定が入っていなかったから、アレクとシエルと一緒に町でうちの領地のお土産や宝石を使ったアクセサリーを買った。
　あの子供達にもまた会って、明日で王都に戻ることを伝えたら残念そうにしていた。

　たくさんの人とお話ししているうちに日が暮れてしまっていたから、私は急いで屋敷に戻ることにした。





　翌日、朝食を終えてから少しして私達は馬車に乗るために玄関前に集まっていた。

「リリー、学院は大変だと思うけど頑張るのよ」
「はい、お祖母様。行ってきます」

　そう口にして、私は馬車に乗った。
　この後少しだけ話をしてからお祖父様とお祖母様、それに使用人さん達に見送られて屋敷を発った。


　　　☆　☆　☆


　王都に戻った日お昼過ぎ、私宛にリーシェ様から手紙が届いた。

『無事に王都に戻られましたか？　明日の朝から勉強会がありますが、お疲れでしたら明後日からでも構いませんわ』

　そんな文から始まる手紙には勉強会でやった内容が細かく書かれていた。

　1週間でこんなに進むなんて……。明日参加しなかったら追い付くのが大変ね。
　今日出来るだけ勉強会の内容に追い付かないと……。

　ということで勉強を始めたのだけど……

「全然分からないわ……」

　数学で躓いてしまった。魔法学とか王国史は大丈夫なのに……。

　ずっと悩んでいても時間の無駄だから、出来るところを進めていった。


「お嬢様、夕食のお時間です」
「もうそんな時間!?　今行くわ」

　侍女さんに呼ばれて、私は慌てて部屋を出るのだった。


　この後は湯浴みをしてから、夜遅くまで勉強を続けた。
　数学以外は勉強会に追い付くことができたから、明日の勉強会はなんとかなりそうね。


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　学院の主な科目についての説明です。


・必修科目


　文学（国語のようなもので、詩歌の実技試験があります）

　数学（世界情勢を把握するために必要な統計学が中心です）

　魔法学（魔法に関する学問です。実技があります。日本で言うと理科が近いと思います）

　王国史（王国の歴史を学ぶ科目です）

　王国地理（王国の風土を学ぶ科目です）


・選択科目


　政治学（日本の公民と同じようなものです。主に跡継ぎの男性が選択します。）

　世界史（学びたい人が選択する科目です。知識に貪欲な人しか選択しないとか）

　世界地理（王国地理の全世界版。世界史と同様な立ち位置です）

　治癒魔法（難易度の高さから選択制になった科目です。難しい事を出来ると見栄を貼りたいがために選択する人が多い科目です。そのため、7割が赤点なんて事が多いです）


　この他にも科目は複数存在しますが、説明は割愛させていただきます。

　学院の成績の付け方などは作中で紹介します。