虐げられるのは嫌なので、モブ令嬢を目指します!

八代奏多

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入学前編

13. 入学前最後のお茶会

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 サーペンス侯爵邸に着くと、アエリア様が門のところまで出迎えに来てくれた。

「ごきげんよう、リリアーナ様」
「ごきげんよう。今日は誘ってくださりありがとうございます」
「こちらこそ、来ていただけて嬉しいですわ」

 そんな挨拶を交わしてから中へと移動する私達。
 案内されたのは、落ち着いた雰囲気のお部屋だった。

「少し相談したいことがあるのですけど、よろしいですか?」

 そう口にするアエリア様。どこか不安そうな感じがした。

「ええ、大丈夫ですよ」
「打ち解けた感じでお話しても許していただけますか? 出来れば、リリアーナ様も打ち解けた感じでお話して欲しいのですけど……」

 どんな相談をされるのかと身構えていたけど、この申し出は私にとってもありがたいものだった。

「分かりました。私もその方がお話ししやすいので嬉しいですわ」
「これから2人で会う時は敬語無しでお願いね!」
「うん」
「他の方がいるところでは今まで通り敬語でお願いね。マナーがなってないって思われちゃうから」

 そう念押ししてくるアエリア様。言われなくてもそうするつもりだったけど、アエリア様も同じ考えみたいで安心した。

 この後、使用人さんがお茶とお菓子を持ってきたので、お菓子をいただきながら色々なことをお話しした。

 お互いの領地の話が一番盛り上がって、今度お互いの領地に観光に行く話まで上がった。
 アエリア様は私と同じように領民とも話すことがよくあるみたいだった。なんとなくだけど、私達は考えが似ているみたい。

 話の流れでアエリア様のお部屋を見せてもらう事になって、部屋に入った私は置いてあったあるものに驚いた。

「剣を振れるの?」
「うん。強くはないけど、ある程度なら扱えるよ」
「すごいわ! 少し持ってみてもいい?」
「足の上に落とさないようにね」

 そう言われて恐る恐る剣を持ち上げたけど、思っていたよりも剣は重くなかった。

「思ったよりも軽いのね」
「女性でも扱えるように作られてるから当たり前よ」

 剣がある理由は、サーペンス侯爵家の当主様が騎士団の偉い人ということを知っていれば納得が出来るから、剣術を嗜む理由までは聞かなかった。
 ちなみに、私は短剣を使った護身術くらいまでしか出来ないから、素直にアエリア様はすごいと思った。

 それからは、アエリア様のお部屋で色々なことを話したりしているうちに夕方になってしまった。

「リリアーナ様のところにお邪魔するのは学院が始まってからでいいかしら?」
「うん、その方が私も助かるわ」
「じゃあ、再来週の休日にしよう」

 門のところに移動しながらそう提案するアエリア様。

「その日は空いてるから大丈夫よ」
「良かった。来週、学院で会えるのを楽しみにしてるね」
「私もよ。それでは、ごきげんよう」
「ええ、ごきげんよう」

 私は別れの挨拶を終えると馬車に乗った。

 馬車の窓から手を振るとアエリア様は笑顔で手を振り返してくれた。
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