土魔法を最強と信じて疑わないお爺ちゃん賢者が土魔法最弱の世界へとログインしました ~それでも儂は土魔法が大好きじゃ!~

パンダヒーロー

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一章 村編

お爺ちゃん賢者は勇者を隷属させました。

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 「「王宮専属の技工士になってください!」」

 「だが断る」

 「「即答ッツ!?」」

 だって嫌じゃもん。

 権力闘争とかやりたくないもん。負けないけど。

 「はぁ……仕方がないですね……」

 うん。じゃから諦めろ。

 「「私たちがあなたの専属になります!」」

 「ちょっと待てやめろォォォォォォオぉッツ!?」

 黒い光が儂と二人を結ぶ。

 隷属魔法じゃ。

 主人は……

 「儂、か……」

 「「はい!」」

 してやったり、の表情で二人は微笑んだ。



       ****



 こんな一幕があり、二人は儂の隷属対象となった。

 解せぬ。儂がこんな若造にしてやられるとは。

 「よろしく~!」

 「よろしく」

 こちらを完全に舐めた状態の猫なで声にピキッと額に青筋がはしる。

 儂は体格がまだ子供じゃから仕方がないかもしれんが、流石にこれはないじゃろう?

 「格の差を教えてやるわいッツ!【対物大弾銃:展開ッツ!】」

 「はぁ!?」

 「やめてくださぁ~い!?」




         ****


 もうあの勇者は放っとこう。

 だやいし、面倒臭いし、何よりウザい。

 もう眠りに入ったようじゃし、しばらくは大丈夫じゃろう。

 そして儂には、あんなどうでも良い奴らのこと以外にやらなければならないことがたくさんある。

 新しく就任した村長の公務などじゃ。

 なんとあの父親、「次期村長候補にする」とか言っといてさっさと村長辞めて儂に譲りやがったんじゃ!

 あー良かったまだやらんで良いのじゃな、とか思っとったらこの仕打ち。

 もうなってしまったものは仕方がないと、諦めてはおるが……

まずやらなければいけない事は、間違いなく年貢の是正じゃ。

 あれは直さないと、恒久的に続きそうなのでな。

 何より、儂ら村長家の財政難につながりかねない。

 そして浮いた金を、村の発展へと生かす。

 村→町、さらには町→街になるように努力していかなければ。

 「明日からは忙しくなるのぉ」

 幾らか充足感を与えてくれる心地よい疲労は、儂に強烈な睡眠欲を呼び起こさせる。

 うーん、と一つ伸びをしてから藁のベッドに入る。

 これもいつかは直さなきゃいけないな、と思いつつその夜は眠りについた。




        ****



 <次の日>


  「今から、村の朝礼集会を始めるのじゃ!」

 ……儂の提案で、朝礼集会が始まった。

 司会は村の最高齢、治癒師のお婆ちゃんに決まった。

 ぶっちゃけ人選ミスだと思う。

 大事なことだから何回も言うけど儂あの婆さん嫌い。

 口臭い。顔汚い。

 「今日の村長の予定は……」

 治癒師の婆ちゃんが、今日の儂の予定を報告する。

 予め、儂がスケジューリングしておいたのじゃ。

 やらなければいけない事は沢山あるからのう。

 そして今、最後の伝達が終わったようじゃ。

 「では、これで終わり。解散じゃ!」

 治癒師の婆さんのその言葉で、村人はぞろぞろと帰っていく。

 因みに、今日の主な伝達は「若者十名程度を工作隊として募集する」ということじゃ。

 この伝達の意図は、なんといっても工作隊はやはり欲しいからじゃ。

 ま、あの三人がいれば大丈夫なんじゃろうけどの。

 その三人とは―――

 「久しぶりだな!」

 「おっはよー!」

 「おはようございます」

 声とともに駆け寄ってきたのは、凶悪魔王と駄勇者二人組である。

 ちなみに、上からスキュラ、真ん中がリリス、下がエリスだ。

 一人ぐらいまともな頭脳を持ったまともな人間が欲しいのお。



         ****


 「入れてください!」

 「俺もだ!」

 「私も!」

 朝会が終わった後、儂が村長宅に向かうとそこは、工作隊応募の若者で埋め尽くされていた。

 本当の意味で入る隙間もない家を見て、儂は呆然とする。

 「【対物大弾銃:展開……】」

 いきなり怒りが沸点を超えた。



      ****




 「第一な、こんな面倒臭い工作隊ごときにな、応募しすぎなんじゃよ。普通、面倒臭いとかだやいとか思うじゃろ?それなのになぜこんな応募が……」

 儂は、集った若者にくどくどと説教していた。

 後から考えれば儂は今は子供なのだから、説教をできる立場ではない。

 なのに、皆が黙々と聞いているのはひとえに村長という立場があればこそじゃ。

 村長という立場を、今だけありがたく思う。

 「工作隊は無しッツ!!今すぐ帰れお前らぁぁあッツ!」

 儂は、激高して言葉を吐き出す。

 「「「「はい!!!」」」」

 若者たちは、それに心酔したような声で軍隊のように行進して帰っていく。

 「もういろいろ諦めたよワシは……」

 この光景を見て、思わず溜息を吐く。

 なんか最近この村軍隊みたいになってるのじゃ。

 儂のカリスマ?

 皆無に等しいぞい。

 「……スキュラ!この辺りの近辺を調査して有力な情報を発見次第伝えろ。攻略が必要なら四天王とともに攻略しておくのじゃ!」

 「駄勇者ども!残りの二人の勇者を今すぐ連れてこい!」

 素早く切り替えて、近くにいた三人に指示を出す。

 スキュラは、昔の関係があるということで一応指示は聞いてくれるだ。

 「分かったぞ!」

 「「分かりました!」」

 三人は、音速を悠々と超えて村を走り回る。

 あ、猪が吹き飛んでいった。

 あ、豚が千切りになった。

 そして――――――



 あ、馬車が飛んできた。

 ……って馬車ぁぁぁァあッツ!?













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