オフ会から始まるワンダフルライフ 人生を彩るのはオンラインゲーム!?

佐藤哲太

文字の大きさ
89 / 166
第3章

昔話が楽しくなるのは年を取ったからだろうか

しおりを挟む
「狩場はどうすんの?」
「二人だから、そうね、どうしようかな」
「あ、ゆきむらも槍上げてるみたいだし、聞いてみるか?」
「え、ううん! ほら、ゆっきーはもう一人で何か始めてるみたいだし、邪魔するのも、悪いわよ」
「そうか?」
「うん」

 2人より3人の方が強い敵倒せるから効率はいいと思うんだけど。
 
 まぁ今の俺はヒモですからね。だいの言うことには従順になっておこう。
 さしずめ今の俺は買収されただいの騎士。
 〈Daikon〉がイケメン男キャラだから、貴族のご子息を守る従者って感じだな!

「コタンの丘は?」
「あー、あの辺ならスキル80くらいのどこだし、二人ならちょうどいいか」
「うん」

 コタンの丘というのは、サービス初期から実装されているエリアで、スキル上げのベース人数である5人パーティでスキル70から85程度までを上げるのに使われたエリアだ。
 今はもう新規エリアも増えたから、色んな選択肢があるけど、100くらいの二人ならちょうどいい感じだろうな。
 パーティ人数が増えれば増えるだけ取得できる一人当たりの取得経験値は低くなるので、運営が推奨するスキル上げの基本は5人で格上と戦うことなのだが、2人でやるならちょっと強そうな相手をするくらいがちょうどいいのだ。

 ちなみにコタンの丘の先にあるバルドニア城塞、通称城塞は、サービス初期時に実装されていた最難関コンテンツ、ドラキュラ伯爵と戦うためのダンジョンだったから、転移魔法が実装される前なんかは移動でしょっちゅう通ったエリアでもある。

 だいと通ってたのも、もう6、7年くらい前か、懐かしいな。
 あの当時はまだ俺も【Mocomococlub】にいたんだよなー。
 
 ま、俺はだいと出会う前から、今はもうなくなった、かつて所属していたギルドでも通ってたんだけどね。

「懐かしいよね」
「そうだな」
「覚えてる?」
「え、何を?」

 なんとなく、ちょっとしんみりしたような、そんな声が聞こえたため、俺はモニターから視線を外し振り返る。
 だいは、真っすぐこっちを見ていた。

「最初だった」
「へ?」
「私とゼロやんが組んだの」
「あ」
「懐かしい」

 言われて思い出す、昔の記憶。
 たしかに、〈Zero〉が〈Daikonだい〉に初めて会ったエリアが、コタンの丘だった。
 誰の主催だったかはもう覚えてないが、俺は亜衣菜と別れた後、当時所属していたギルドも抜けて、ソロプレイヤーをやっていた。
 亜衣菜と別れた喪失感を抱えつつ、それでも亜衣菜が居るLAを辞めることもできず、とりあえずスキル上げパーティの募集に応募するだけの日々を過ごしていた。

 俺とだいが出会ったのは、その頃だった。

「3連続でパーティかぶるとか、ほんとびっくりしたわ」
「そうなぁ」

 今もスキル上げの募集は盛んだが、当時は今よりもっと盛んだった。しかも募集するスキルレベルの幅も少なかったし、主催ならまだしも、知り合いでもないのに連続で同じ人と組むとか、滅多にあるもんじゃなかった。

「でも、まさかフレンドに誘われるとは思わなかったけど」
「あー、あの頃のだい懐かしいわ」

 それでも、あの頃の俺はだいと連続でパーティに入った。
 だから、珍しさもあってフレンドに誘った。
 あの頃は、そいつが自分の相棒のように、ずっと一緒にいる存在になるなんて思いもしなかった。

 でも今、まだ一緒にプレイしている。
 それどころか、今リアルでも同じ場所にいる。

 ほんともう、奇跡だな。

「懐かしいね」
「そうだな」
「1回目は〈Sobayaそばや〉さんの募集で、2回目は〈Journeyジャーニーさん〉、3回目は〈Blackwhiteブラックホワイトさん〉の募集だった」
「うっわ、よく覚えてんなー」
「メンバーも覚えてるわよ」
「え、だれだっけ?」

 ちょっと引くレベルの記憶力だが、こいつLAの記憶力はいいみたいだしな。
俺との3年前の会話も覚えてたくらいだし。

 俺が盾用のコマンドをぱぱっと作っている間に、だいから当時のメンバーを聞いて、なんとなく当時の記憶が蘇ってきた気がしてくる。

「よし、とりあえずこれでいいかな」
「じゃ、行きましょ」
「おう」

 当時はプレイヤータウンから移動していたが、今はもう転移魔法で移動も一瞬だ。
 今とあの頃じゃ、だいぶゲーム性も変わったな。
 
 準備を終えた俺たちは、久しぶりにコタンの丘に降り立つ。
 たくさんの新エリアや、新システムが導入されても、ここは昔から変わらず、荒野のような赤茶けた土地が広がる、不毛の大地。

 全然ロマンティックなエリアとかじゃないけど、ここが俺とだいが出会った場所。

 その場所に今二人でやってきたことで、俺の脳裏に、あの頃の記憶が蘇ってきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

人生に絶望していたら異世界のデスゲームに巻き込まれました~ヤンデレ悪魔を召還したので、最期まで楽しもうと思います!~

雨宮 叶月
恋愛
「人の「正しさ」が崩れていく瞬間って、美しいと思いません?」 学校でも家でも理不尽な扱いを受ける少女・成瀬伊澄。 ある日、クラスメイト・担任と共に異世界のデスゲームに巻き込まれた。 召喚したのは悪魔・ディオラル。 なんだか様子がおかしいが、嬉しいので気にしない。 『死』は恐怖じゃない。だから最期までデスゲームを楽しむことにする。

処理中です...