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第5章
落ち着いたひととき
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その後、ゆきむらがだいに俺のこと聞くという気が気じゃない会話が続き、気づけば時刻は21時を回っていた。
もうけっこう割といい時間。
何だかんだ今日は朝から動いてたし、ゆきむらとだいの合戦もひと段落な空気になった安心からか、どっと疲れが押し寄せた。
流石にゆめもぴょんもお疲れな感じは出てきてるし、今日はそろそろお開きでもいいのではないでしょうか?
明日は平日だしさ!
「しっかし、オフ会ってのは面白いもんだなー」
そんな空気の中、変わらず元気そうな大和には、色んな意味で尊敬の念を送りたい。
「もう4年前か? 【Teachers】入ったときはこんな場面が訪れるなんて、想像もしてなかったわ」
誰も言葉を返さない中、一人楽しそうな表情の大和を見るのは、俺とだいとゆきむらくらいか。
ゆめはなんかぼーっとしてるし、ぴょんは、もしかして寝てるんじゃないか?
壁際の席に座るぴょんは話す大和に見向きもせず、壁に身体をもたれかけさせている。
いつも元気なぴょんだけど、こんな風になることもあるんだなぁ。
「1年くらいで引退したギルドにまた戻ってくるとか、ほんと予想もしてなかったし。というかギルドがちゃんと続いてることもびっくりだわ。正直あの募集条件だろ? 色物ギルドだって思ってたしなっ」
「全部リダがまとめてくれるおかげだよ」
「そうね、リダのおかげね」
「動画の編集も公開も、全部リダ任せですしね」
「いやぁ、すげえよな、ほんと」
今日何杯目か分からないビールを飲みつつ、大和はそう言って笑っていた。
たしかに【Teachers】の活動は、リダあってのものだ。
うちのギルドは中高の教師が多く、小学校教師はリダと嫁キングしかいないんだけど、小学校教師って、土日は休みでも平日はかなり忙しいんじゃないかと思うし。
しかも今年に入ってからは子どもも生まれたし、申し訳ないくらいによくやってくれてると思う。
夫婦でゲーム好きだからこそ成せる技だとは思うけど。
俺やだい、ジャックが色々と攻略については提案やサポートはするけど、色んな企画を立てるのはほとんどリダだし、俺たちはほんと、おんぶに抱っこ状態と言っても過言ではない。
そのリダを支えてる嫁キングも、子どもが生まれてからギルド活動の参加は不定期になってきたけど、来れる時は来てくれるし、ほんとリダ夫妻あってのギルドなのは、間違いないな。
俺たちを巡り合わせてくれたリダには、感謝しかない。
「宇都宮オフの時には、お礼を言わないといけませんね」
「そうね。会ってお礼するだけじゃ足りないし、何かお土産持ってかないとね」
「あ、じゃあゼロさん。宇都宮オフ前には私と一緒にお土産を買いにいきましょう」
「えっ?」
「行くかどうかは、ゼロやん次第ね」
まさかの流れで買い物デートのお誘いをしてくるゆきむらに、だいが笑う。
笑ってくれてるのは、とりあえず俺への信頼の裏返しなんだろうけど。
「さすがにみんなで行くんだから、みんなで選ぼうぜ……」
「そうですか……」
「ゆっきーは抜け目ねぇなぁ」
そんなやりとりをする俺たちに大和が笑う。
しかしぴょんもゆめも反応がないってことは、二人とも落ちたみたいだな。
とりあえず今はそっとしておくか。
「俺がいた頃よりも、今の方が賑やかだよな」
「そのへんは、ぴょんが入ってきたのがでかいかな」
「そうね。もう辞めちゃったちょんもかもめも、そこまで賑やかなタイプじゃなかったものね」
「そうだったんですか」
うちのギルドの賑やかし担当1番手は間違いなくぴょんだし、2番手はその相方のゆめだから、この二人がいないときなんか、けっこうギルドも静かなんだよな。
二人が寝てる今の状態が、まさにそれを再現してるし。
たぶん二人は、ゲームするよりも話す方を楽しんでる節もある。
それもMMOの醍醐味だと思うけど。
「ちょんとかもめかぁ、懐かしいわー」
この前のオフ会でも名前が出た、かつて【Teachers】に所属していた二人を思い出し、大和だけでなく俺もだいも当時を懐かしむ。
ごめんなゆきむら、かもめしか分かんないだろうけど。
そんな感じでちょっとしっぽりしていると。
「かもめっ……!」
「うおっ!?」
寝言のように声を出したぴょんが、一瞬起きたかと思うと、再びがくっと身体を倒す。
だがなんということでしょうか。
今度は壁の方には倒れず、隣に座る大和の肩でワンクッション置いてから、そのまま倒れこみ、対角の席に座る俺からぴょんの顔が消えた。
見えてる部分から察するに、大和の膝に倒れこんだ、のかな?。
ぴょんが寝ぼけてるせいだろうけども、そんな状態になった大和は明らかに困惑していた。
いや、俺だってその状態になったらそうなる。付き合ってもない女性とそんな密着するなんて……あ、なんでもありません。
思い出す、第2回オフ後の我が家での出来事。
「ぴょんさんはかもめさんと仲良しでしたもんね」
大和の陥った状況に俺とだいがびっくりしているにも関わらず、マイペースなトーンで話すゆきむら、流石です。
「かもめの話題でちょっとだけ反応した感じかー」
「仲良かったものね」
「いや、え、俺どうすればいいんだよっ?」
「そのまま寝かせといてあげて。今日は暑かったし、たくさん応援してもらったから、ぴょんも疲れちゃったのよ」
「うむ。そうだぞ大和」
「え、いや、マジかよ……?」
「せんかんさんは、ぴょんさんがお嫌いですか?」
「いっ!? き、嫌いではないけどさ」
切り込み隊長ゆきむらはまだまだ健在。
今日の試合応援からずっと一緒にいるゆきむらから見て、大和がどんな感じだったのかは正直気になるところだから、俺も興味津々。
「来た時から思ってたけど、初対面とは思えないくらい仲良いわよね」
「ですよね。ぴょんさんもすごく楽しそうに見えましたけど」
「そこんとこどうなんだー?」
「ちゃ、茶化すなよ……」
俺ら全員の視線を受ける大和の表情は照れていた。
そしてひざ元で眠っているだろうぴょんに一度大和が視線を送る。
「正直ぴょんだけじゃなく、みんながみんなレベルたけーなと思ったよ」
「レベル? レベルならゼロさんが一番では……」
「いや、ゆきむら、そのレベルじゃないから」
「むむ?」
うん、すっかりゆきむらはいつも通りだな。
いつもの感じの天然が確認できて何故か一安心。
「俺もけっこうノリで生きてる方だからさ、たしかにぴょんは波長は合うし」
「ほおほお」
「でもなぁ……」
大和の視線は、明らかにぴょんのある意味特徴とも言えるところに向けられていた。
その視線の意味に気づいたであろうだいは引き気味。
もし俺が同じことしてたら間違いなく「最低」って言ってきただろうけど、流石にまだ大和へそれは言えないか。
「それでも話してて楽しいとは思うけどな。俺も独り身だから、オフ会から彼女できたっていう倫に羨ましいって正直思ったし……先々どうなるかはまだ分かんないけど」
そう言って大和が俺らに向けて笑って見せた。
なるほど……。すごいな大和。もしぴょんが起きてたらとか、そういうこと考えたりしないんだろうか。
堂々とした態度でそんな露骨な発言、俺には出来ないぞ。
こいつらが付き合い出したら面白そうとか、思っちゃうけど。
でも変に隠し事をしない大和に評価を見直したか、だいの表情が元に戻っていた。
「誰かさんとは大違いね」
グサッ!
「す、すみません……」
「むむ?」
ゆきむらはこの流れの意味を把握しきれていないのか、一人口元に手を当てて考えて込んでいた。
「倫だって、まだまだ奪い合われるんだろ? それと同じさ。時間の経過は必ず変化を与えてくるだろうけど、だからといって今すぐ何か変わることもないし」
「茶化すなよ……」
爽やかな顔で言い切る大和は、ちょっとかっこよかった。
それは俺にはない落ち着きというか、冷静さ。
大和は時折こういう面が出てくるんだけど、同じ年数生きてきたのに、なんでこうも違うんだろうか?
二人で飲みに行くときも、そういえばうまく大和が色々俺から聞いて、大和自身の話って、仕事以外であんまり聞いたことない気がするし。
「いやぁ、宇都宮オフも楽しみだわ」
「あ、お前も行くの?」
「おい、仲間外れにすんなっ! ってか、そういややるやるって聞いてたけど、いつやるんだ?」
「8月の9日と10日の予定よ」
「あ、泊まりでいくんだ」
「うん。ぴょんとゆめがこの前リダたちと予定詰めてたし、リダのおうちには泊まれないから、各自宿を取ることになってるの」
「なるほど。みんなはもう宿取ったの?」
「ああ。リダおすすめっていう旅館」
「倫とだいは二人部屋かー?」
「あー……」
「違うわよ」
「あ、そうなの?」
「よかったですねゼロさん、一人部屋じゃなくなって」
「そ、そうだな」
話題が宇都宮オフの話になったけど、昨日までの段階で参加予定だったのは俺、だい、ぴょん、ゆめ、ゆきむら、ジャックの6人で、男1の女5だったのだ。
そのため宿の予約は俺が一人で、女性陣が同部屋を予約していた。
「宿の方には俺から連絡しておくよ。一人分追加できますかって」
「おー、さんきゅ! この年になってそれだけの大人数で旅行って、なんか面白いな」
「大人だけの修学旅行ですね」
「いや、学び要素あるか……?」
相変わらずのゆきむらに俺は苦笑いでツッコミ。
でもほんと、やっとリダと嫁キングに会えるのは嬉しいな。
「じゃ、そろそろ二人を起こしてお開きにするかー」
「そうね。みんなお疲れだものね」
「皆さん明日はお休みなんですか?」
「んや。俺は明日は昼過ぎからプールさ」
「俺とだいは大会の振り替えで休み取ったけどな」
「え、マジ!? いいなぁ」
「夏休みの特権ね」
「ゆきむらは明日も学校?」
「はい。今週いっぱいで夏休みに入りますけど」
「じゃあちゃんと頑張らないとな」
「はい。頑張ります」
気づけばまもなく22時。明日仕事のメンバーもいることを考えれば、そろそろ帰るべき時間だろう。
ドタバタあったけど、最後は穏やかな空気で終われてよかった。
今後ゆきむらがどう動いてくるのかは、ちょっと気が気じゃないとこもあるけど。
俺が会計を呼び、ゆきむらと大和がそれぞれゆめとぴょんを起こして、第3回オフ会を締めるのであった。
もうけっこう割といい時間。
何だかんだ今日は朝から動いてたし、ゆきむらとだいの合戦もひと段落な空気になった安心からか、どっと疲れが押し寄せた。
流石にゆめもぴょんもお疲れな感じは出てきてるし、今日はそろそろお開きでもいいのではないでしょうか?
明日は平日だしさ!
「しっかし、オフ会ってのは面白いもんだなー」
そんな空気の中、変わらず元気そうな大和には、色んな意味で尊敬の念を送りたい。
「もう4年前か? 【Teachers】入ったときはこんな場面が訪れるなんて、想像もしてなかったわ」
誰も言葉を返さない中、一人楽しそうな表情の大和を見るのは、俺とだいとゆきむらくらいか。
ゆめはなんかぼーっとしてるし、ぴょんは、もしかして寝てるんじゃないか?
壁際の席に座るぴょんは話す大和に見向きもせず、壁に身体をもたれかけさせている。
いつも元気なぴょんだけど、こんな風になることもあるんだなぁ。
「1年くらいで引退したギルドにまた戻ってくるとか、ほんと予想もしてなかったし。というかギルドがちゃんと続いてることもびっくりだわ。正直あの募集条件だろ? 色物ギルドだって思ってたしなっ」
「全部リダがまとめてくれるおかげだよ」
「そうね、リダのおかげね」
「動画の編集も公開も、全部リダ任せですしね」
「いやぁ、すげえよな、ほんと」
今日何杯目か分からないビールを飲みつつ、大和はそう言って笑っていた。
たしかに【Teachers】の活動は、リダあってのものだ。
うちのギルドは中高の教師が多く、小学校教師はリダと嫁キングしかいないんだけど、小学校教師って、土日は休みでも平日はかなり忙しいんじゃないかと思うし。
しかも今年に入ってからは子どもも生まれたし、申し訳ないくらいによくやってくれてると思う。
夫婦でゲーム好きだからこそ成せる技だとは思うけど。
俺やだい、ジャックが色々と攻略については提案やサポートはするけど、色んな企画を立てるのはほとんどリダだし、俺たちはほんと、おんぶに抱っこ状態と言っても過言ではない。
そのリダを支えてる嫁キングも、子どもが生まれてからギルド活動の参加は不定期になってきたけど、来れる時は来てくれるし、ほんとリダ夫妻あってのギルドなのは、間違いないな。
俺たちを巡り合わせてくれたリダには、感謝しかない。
「宇都宮オフの時には、お礼を言わないといけませんね」
「そうね。会ってお礼するだけじゃ足りないし、何かお土産持ってかないとね」
「あ、じゃあゼロさん。宇都宮オフ前には私と一緒にお土産を買いにいきましょう」
「えっ?」
「行くかどうかは、ゼロやん次第ね」
まさかの流れで買い物デートのお誘いをしてくるゆきむらに、だいが笑う。
笑ってくれてるのは、とりあえず俺への信頼の裏返しなんだろうけど。
「さすがにみんなで行くんだから、みんなで選ぼうぜ……」
「そうですか……」
「ゆっきーは抜け目ねぇなぁ」
そんなやりとりをする俺たちに大和が笑う。
しかしぴょんもゆめも反応がないってことは、二人とも落ちたみたいだな。
とりあえず今はそっとしておくか。
「俺がいた頃よりも、今の方が賑やかだよな」
「そのへんは、ぴょんが入ってきたのがでかいかな」
「そうね。もう辞めちゃったちょんもかもめも、そこまで賑やかなタイプじゃなかったものね」
「そうだったんですか」
うちのギルドの賑やかし担当1番手は間違いなくぴょんだし、2番手はその相方のゆめだから、この二人がいないときなんか、けっこうギルドも静かなんだよな。
二人が寝てる今の状態が、まさにそれを再現してるし。
たぶん二人は、ゲームするよりも話す方を楽しんでる節もある。
それもMMOの醍醐味だと思うけど。
「ちょんとかもめかぁ、懐かしいわー」
この前のオフ会でも名前が出た、かつて【Teachers】に所属していた二人を思い出し、大和だけでなく俺もだいも当時を懐かしむ。
ごめんなゆきむら、かもめしか分かんないだろうけど。
そんな感じでちょっとしっぽりしていると。
「かもめっ……!」
「うおっ!?」
寝言のように声を出したぴょんが、一瞬起きたかと思うと、再びがくっと身体を倒す。
だがなんということでしょうか。
今度は壁の方には倒れず、隣に座る大和の肩でワンクッション置いてから、そのまま倒れこみ、対角の席に座る俺からぴょんの顔が消えた。
見えてる部分から察するに、大和の膝に倒れこんだ、のかな?。
ぴょんが寝ぼけてるせいだろうけども、そんな状態になった大和は明らかに困惑していた。
いや、俺だってその状態になったらそうなる。付き合ってもない女性とそんな密着するなんて……あ、なんでもありません。
思い出す、第2回オフ後の我が家での出来事。
「ぴょんさんはかもめさんと仲良しでしたもんね」
大和の陥った状況に俺とだいがびっくりしているにも関わらず、マイペースなトーンで話すゆきむら、流石です。
「かもめの話題でちょっとだけ反応した感じかー」
「仲良かったものね」
「いや、え、俺どうすればいいんだよっ?」
「そのまま寝かせといてあげて。今日は暑かったし、たくさん応援してもらったから、ぴょんも疲れちゃったのよ」
「うむ。そうだぞ大和」
「え、いや、マジかよ……?」
「せんかんさんは、ぴょんさんがお嫌いですか?」
「いっ!? き、嫌いではないけどさ」
切り込み隊長ゆきむらはまだまだ健在。
今日の試合応援からずっと一緒にいるゆきむらから見て、大和がどんな感じだったのかは正直気になるところだから、俺も興味津々。
「来た時から思ってたけど、初対面とは思えないくらい仲良いわよね」
「ですよね。ぴょんさんもすごく楽しそうに見えましたけど」
「そこんとこどうなんだー?」
「ちゃ、茶化すなよ……」
俺ら全員の視線を受ける大和の表情は照れていた。
そしてひざ元で眠っているだろうぴょんに一度大和が視線を送る。
「正直ぴょんだけじゃなく、みんながみんなレベルたけーなと思ったよ」
「レベル? レベルならゼロさんが一番では……」
「いや、ゆきむら、そのレベルじゃないから」
「むむ?」
うん、すっかりゆきむらはいつも通りだな。
いつもの感じの天然が確認できて何故か一安心。
「俺もけっこうノリで生きてる方だからさ、たしかにぴょんは波長は合うし」
「ほおほお」
「でもなぁ……」
大和の視線は、明らかにぴょんのある意味特徴とも言えるところに向けられていた。
その視線の意味に気づいたであろうだいは引き気味。
もし俺が同じことしてたら間違いなく「最低」って言ってきただろうけど、流石にまだ大和へそれは言えないか。
「それでも話してて楽しいとは思うけどな。俺も独り身だから、オフ会から彼女できたっていう倫に羨ましいって正直思ったし……先々どうなるかはまだ分かんないけど」
そう言って大和が俺らに向けて笑って見せた。
なるほど……。すごいな大和。もしぴょんが起きてたらとか、そういうこと考えたりしないんだろうか。
堂々とした態度でそんな露骨な発言、俺には出来ないぞ。
こいつらが付き合い出したら面白そうとか、思っちゃうけど。
でも変に隠し事をしない大和に評価を見直したか、だいの表情が元に戻っていた。
「誰かさんとは大違いね」
グサッ!
「す、すみません……」
「むむ?」
ゆきむらはこの流れの意味を把握しきれていないのか、一人口元に手を当てて考えて込んでいた。
「倫だって、まだまだ奪い合われるんだろ? それと同じさ。時間の経過は必ず変化を与えてくるだろうけど、だからといって今すぐ何か変わることもないし」
「茶化すなよ……」
爽やかな顔で言い切る大和は、ちょっとかっこよかった。
それは俺にはない落ち着きというか、冷静さ。
大和は時折こういう面が出てくるんだけど、同じ年数生きてきたのに、なんでこうも違うんだろうか?
二人で飲みに行くときも、そういえばうまく大和が色々俺から聞いて、大和自身の話って、仕事以外であんまり聞いたことない気がするし。
「いやぁ、宇都宮オフも楽しみだわ」
「あ、お前も行くの?」
「おい、仲間外れにすんなっ! ってか、そういややるやるって聞いてたけど、いつやるんだ?」
「8月の9日と10日の予定よ」
「あ、泊まりでいくんだ」
「うん。ぴょんとゆめがこの前リダたちと予定詰めてたし、リダのおうちには泊まれないから、各自宿を取ることになってるの」
「なるほど。みんなはもう宿取ったの?」
「ああ。リダおすすめっていう旅館」
「倫とだいは二人部屋かー?」
「あー……」
「違うわよ」
「あ、そうなの?」
「よかったですねゼロさん、一人部屋じゃなくなって」
「そ、そうだな」
話題が宇都宮オフの話になったけど、昨日までの段階で参加予定だったのは俺、だい、ぴょん、ゆめ、ゆきむら、ジャックの6人で、男1の女5だったのだ。
そのため宿の予約は俺が一人で、女性陣が同部屋を予約していた。
「宿の方には俺から連絡しておくよ。一人分追加できますかって」
「おー、さんきゅ! この年になってそれだけの大人数で旅行って、なんか面白いな」
「大人だけの修学旅行ですね」
「いや、学び要素あるか……?」
相変わらずのゆきむらに俺は苦笑いでツッコミ。
でもほんと、やっとリダと嫁キングに会えるのは嬉しいな。
「じゃ、そろそろ二人を起こしてお開きにするかー」
「そうね。みんなお疲れだものね」
「皆さん明日はお休みなんですか?」
「んや。俺は明日は昼過ぎからプールさ」
「俺とだいは大会の振り替えで休み取ったけどな」
「え、マジ!? いいなぁ」
「夏休みの特権ね」
「ゆきむらは明日も学校?」
「はい。今週いっぱいで夏休みに入りますけど」
「じゃあちゃんと頑張らないとな」
「はい。頑張ります」
気づけばまもなく22時。明日仕事のメンバーもいることを考えれば、そろそろ帰るべき時間だろう。
ドタバタあったけど、最後は穏やかな空気で終われてよかった。
今後ゆきむらがどう動いてくるのかは、ちょっと気が気じゃないとこもあるけど。
俺が会計を呼び、ゆきむらと大和がそれぞれゆめとぴょんを起こして、第3回オフ会を締めるのであった。
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