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プロローグ
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ここは乙女ゲームの世界。
煌びやかなインテリアに彩られた宮殿のような大きな屋敷、絢爛豪華なドレスに気品さ溢れる紳士淑女たちが会場へと向かっていた。シンデレラの靴が落とされた場所だと言ったらきっと貴方は信じるだろう。そんな場所で場違いな声が聞こえた。
「あ~ら、ごめんあそばせぇーいッ!」
わざとらしくこのゲームのヒロインにぶつかり、階段から転げ落とそうと画策しているのは、このゲームの世界の悪役令嬢である。ここまであからさまなのは割となりふり構っていられないからだった。
「ああんッ……ドゥ! トロワッ!」
華麗なステップで階段を下り、回転しながら、ふわりとスカートを翻し、見事な着地をするのはヒロインである。着地した時のお辞儀も忘れていない。
そう、二人は転生者であった。
この世界は「ロマンティックフロントライン~愛を貫く真実の物語~」というゲームを元にされている。コピーキャッチは「かかって恋、愛てになるわ!」である。ヒロインエンドは隣国に攻められ愛を貫いて結ばれた者と死亡するが平和になる。悪役令嬢は婚約者の王子と結ばれると同じようなエンディングになり、これまた愛を貫いて死亡し、平和になるという犠牲になって平和になるというものだった。エンディングほぼ全て死ぬ。
愛を貫いた二人の銅像が建てられ、戦争の無意味さが広く浸透し、長く平和な時代が来るという犠牲エンドである。ゲーム内でも二人して幸せそうに死に、愛の力は世界を救うとして一部界隈では人気を博したものだった。
そんなゲームにドはまりした二人が、ヒロインと悪役令嬢に転生してしまった。
ヒロインに転生した権田園子(ごんだそのこ)は前世でSEとして客先常駐して働いていた。プロジェクトそのものがハードで過労死してしまうのだった。日々、エナジードリンクを過剰に摂取し続けた結果であった。これは必然とも言えるだろう。ブラックな会社の社畜の末というのは、決まって過労死である。
悪役令嬢に転生した渡辺葉菜(わたなべはな)は営業職だった。法人相手に数々の実績をあげ、販路を広げてきたがこれまた過労死してしまうのだった。日々エナジードリンクやカロリーメイトのお世話になっていた為だった。ブラック企業ではないにしろ、無理な仕事を続ければ待っているのは、過労死である。
そんな二人の共通点は、過労死のオタクであることだった。
何の因果か、二人はこの世界で恋愛死……殉愛を決まっているような世界だった。
「「そんな死に方は嫌だ」」
悲痛かつ共通の思いをかけたフラグブレイクとフラグ建ての戦いが始まろうとした。
煌びやかなインテリアに彩られた宮殿のような大きな屋敷、絢爛豪華なドレスに気品さ溢れる紳士淑女たちが会場へと向かっていた。シンデレラの靴が落とされた場所だと言ったらきっと貴方は信じるだろう。そんな場所で場違いな声が聞こえた。
「あ~ら、ごめんあそばせぇーいッ!」
わざとらしくこのゲームのヒロインにぶつかり、階段から転げ落とそうと画策しているのは、このゲームの世界の悪役令嬢である。ここまであからさまなのは割となりふり構っていられないからだった。
「ああんッ……ドゥ! トロワッ!」
華麗なステップで階段を下り、回転しながら、ふわりとスカートを翻し、見事な着地をするのはヒロインである。着地した時のお辞儀も忘れていない。
そう、二人は転生者であった。
この世界は「ロマンティックフロントライン~愛を貫く真実の物語~」というゲームを元にされている。コピーキャッチは「かかって恋、愛てになるわ!」である。ヒロインエンドは隣国に攻められ愛を貫いて結ばれた者と死亡するが平和になる。悪役令嬢は婚約者の王子と結ばれると同じようなエンディングになり、これまた愛を貫いて死亡し、平和になるという犠牲になって平和になるというものだった。エンディングほぼ全て死ぬ。
愛を貫いた二人の銅像が建てられ、戦争の無意味さが広く浸透し、長く平和な時代が来るという犠牲エンドである。ゲーム内でも二人して幸せそうに死に、愛の力は世界を救うとして一部界隈では人気を博したものだった。
そんなゲームにドはまりした二人が、ヒロインと悪役令嬢に転生してしまった。
ヒロインに転生した権田園子(ごんだそのこ)は前世でSEとして客先常駐して働いていた。プロジェクトそのものがハードで過労死してしまうのだった。日々、エナジードリンクを過剰に摂取し続けた結果であった。これは必然とも言えるだろう。ブラックな会社の社畜の末というのは、決まって過労死である。
悪役令嬢に転生した渡辺葉菜(わたなべはな)は営業職だった。法人相手に数々の実績をあげ、販路を広げてきたがこれまた過労死してしまうのだった。日々エナジードリンクやカロリーメイトのお世話になっていた為だった。ブラック企業ではないにしろ、無理な仕事を続ければ待っているのは、過労死である。
そんな二人の共通点は、過労死のオタクであることだった。
何の因果か、二人はこの世界で恋愛死……殉愛を決まっているような世界だった。
「「そんな死に方は嫌だ」」
悲痛かつ共通の思いをかけたフラグブレイクとフラグ建ての戦いが始まろうとした。
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