転生令嬢は恋愛しま戦 かかって恋、愛てになるわ!

犬宰要

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入学~一年目 さぁ恋、なぐり愛

08_悪役令嬢からは逃げれません!

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 学園長室に案内されると中には王太子と公爵令嬢も同じ部屋にいた。即座に貴族教育で学んだ仕草をし、お辞儀する。
 
「ユウヴィー・ディフォルトエマノン、面を上げよ。許す」
「はっ」
 王太子であるアラインから声がかかり、面を上げ、背筋を伸ばし、両手を腹の下部分で組むようにする。
 
「ここからは私が話そうか、知っているとは思うがこの学園の責任者のジルベクター・スターロードだ。此度は、瘴気に汚染されていた生徒を救ったそうだね?」
 
 渋さと鋭さがある声がユウヴィーを詰問しているような感覚に陥らせた。
 
「スターロード卿、それでは怖がらせてしまいますよ」
「むっ、そうか……ディフォルトエマノン嬢、怖がらせてすまない」
 王太子のアラインがたしなめると学園長は申し訳なさそうな顔をした。
 
「い、いえ、状況を説明します――」
 ユウヴィーは落ち着きを取り戻し、何が起きたのか説明したのだった。
 
 学園長との話が終わり、ユウヴィーはさすが特待生だとほめらるのだった。
 
 その後、退室後に王太子から声をかけられ 個室サロンへ案内される事になった。
(あのオリエンテーションの続きは……?)
 ユウヴィーは王太子の後をついていくことになり、元の部屋には戻れなかったのだった。
 
 個室サロン、公爵家以上が利用可能な場所に通され、王太子の自己紹介と悪役令嬢の自己紹介がこれから起きることをユウヴィーは思い出すのだった。そして、その通りの出来事が目の前で起きて、乙女ゲームの世界であり強制力が働いていることを痛感するのだった。
 
「王命により、入学したと聞いていた。早速、瘴気を打ち払った事により、学内の不穏な気配を払ってくれて王太子として礼を、ありがとう」
「我が国に恥じない働きに、慢心することなく、精進すること」
「エリーレイドは厳しいな」
「あら、国を背負う身としては当然ですわ」
 
 ユウヴィーは気品あふれる個室に通された事に場違いな気分になっていた。
 
「彼女はもしかしたら伝説の聖女かもしれないな」
「あの伝説の? 同じ力を持つ者ならば、今の時代の聖女となりえる可能性はありますわね」
 
 ユウヴィーは思う、なぜ聖女として認知してくるのだろうか、と……王太子のアラインとエリーレイドが外堀りを埋めて、「聖女」という役割にさせようとしているのではないかと感じていたのだった。
 
(いやぁぁぁ)
 
「確か、伝説の聖女は身を挺し、世界を平和に導きましたわね」
「ああ、その偉大なる行動によって、今のこの平和が保たれていると歴史に記されている」
「もちろん、ユウヴィー嬢はご存じですわよね」
「は、はい」
(これって、お前も身代わりになって世界を平和にしろってことじゃないかぁぁぁ)
 
 自己犠牲で死んだ前世、過労死という悲しい前世。
 転生した今は、なんとしても目指せ老衰。
 本当は好きな事して生きたいけれど、王命でこの学園に通わされてる。
 
「顔合わせも出来た事だし、学園内で何かあれば連絡してくれ」
「あら、ここは女性同士、私が気にかけておきますわ」
「そうか、エリーレイド。よろしく頼む、それじゃ今日はこのあたりで」
「それではごきげんよう」
 
 去り際にエリーレイドから「お前を監視しているからな」とハンドジェスチャーされた。
――I've got my eye on you
 
(やっちゃいました。逃げれない)
 
 会話に参加して、否定することも出来ずにオートでイベントが進むように繰り出された会話にただ頷く事しかできなかったユウヴィーだった。
 
(どうする? 私! 確か、記憶に間違いなければ光の魔法と対となるような闇の魔法だっけ? いや影の魔法? それで影やら暗いところなら、ほぼ自在に魔法で盗み見聞きできちゃうチート持ちじゃなかったっけ? いやぁぁぁ 一瞬でも逃げればどうにかなるのかなと思ったけれど、逃げれないし、家族にも迷惑かけちゃうことになるから、逃げないけれど、逃げたい)
 
 次第にユウヴィーは悪役令嬢の設定を思い出すのだった。
 
(どうにか……ならないの? やっぱり学業に専念し、自己犠牲せずに物事を解決するためには粉骨砕身しかないのかもしれない! ぜ、前世の知識……を使うしかない!)
 
 彼女の中で不安があった魔法の世界で前世の知識がどれだけ役立てられるのか? この世界の事象、この光の魔法などを前世の世界だったら何に該当するのか当て込んで見て実際に前世と同じような結果になったら、いろいろもしかしたら打開策が見つかるかもしれないと前向きに考えるようになっていた。
 
(きっと瘴気だって何かしら、研究結果とか書かれている書物がこの学園にあるはずだし、それを読み解いて、やるしかない。な、何も無茶な仕様変更とデスマーチじゃないから、やれる!)
 前世の辛かった客先常駐のシステムエンジニアだったころを思い出し、それに比べたら学園生活は学業が本分なのだからといけるとユウヴィーは思っていた。
 
(って、納期的なものがあった……諸外国の瘴気問題だ)
 
 瘴気の問題によって、戦争に発展するといういかに平和は大事かというコンセプトもある乙女ゲームであり、瘴気にかこつけて領土拡大とか起こるのだった。
 
(ああー、いやだぁ! 戦争は嫌だぁ、戦争の引き金は瘴気なにもかも瘴気じゃん! そういえば、プレイしていた時にあの国やべー! って思っていたんだった)
 
 ユウヴィーはその日から図書室に通う事になるのだった。
 
 結局の所、彼女はどういう理屈で光の魔法が瘴気に有効なのか、というが明確じゃないことが問題だと気づくのだった。代用可能なのか、他の道具、そう魔道具が作れるのであれば、ユウヴィー自身でなくても瘴気問題は解決すると考えたのだった。
 
 前世のシステムエンジニアをやっていた事から、問題解決に向けてどう納期までにやるのか、経験を生かすチートしかないと考え、大抵は何かツールを開発し代用したりしてきたのだった。
 
(いやチートじゃない、これは地道な努力では……)
 
 彼女は、広い図書館で本を探しながら思うのだった。
 
――光の魔法と瘴気の関係性について
 
 彼女は一冊の本を手に取った。
 
(まずはおさらい、光の魔法を使うと、瘴気が霧散していく、そもそも瘴気は何なのか? 瘴気は視覚化されているけれど、掴めるわけでもないし、触れると浸食してくるもの。ウイルスみたいなものと思えばいいのかな? 瘴気って繁殖するけれど、太陽の下だと弱まるから、光の魔法が有効とされて……もしかして、瘴気って……?)
 
 彼女は一つの仮説を立てて、瘴気に対して向き合っていく事になった。
 
「よしがんばるぞ!」
 
 ユウヴィーの声が図書館内に響き、彼女は慌てて口を手で抑え周りに頭を下げる。彼女の瘴気への取り組みはこの日からほぼ連日で見かける事となり、のちに伝説となることを誰も知らない。

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