転生令嬢は恋愛しま戦 かかって恋、愛てになるわ!

犬宰要

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入学~一年目 さぁ恋、なぐり愛

14_悪役令嬢エリーレイドの今回の画策

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「マーベちゃんが不安なのはわかったわ、今回、私たちが画策したことを復習しましょう。それでも何か抜け漏れがあったら、追加で根回しとか諸々動けばいいわ」
 
「我が主、さすがです」
 マーベラスは素直に感嘆した。
 
「おーっほっほっほっほ! んっ、さて今回の画策した事は――」
 
 彼女は高笑いの後に、ユウヴィーとフォーラズとくっつける為に何をしたのか語りだした。
 
 今回、画策したことはまず食堂での出会いだった。普段ユウヴィーは図書館に籠ることが多く、見た目も悪いため、身だしなみを整える必要があった。さらにフォーラズとは食堂で会わせないといけない。彼女は直接図書館に出向き、国を担う貴族とは何かを正論で説き伏せ、自室に帰らせる。そして、頃合い的に食堂へ行くだろうと考えていた。
 行かないという選択肢をとろうとした場合、影の魔法で同室にいるハープに食堂に行こうと言わせるつもりだったのだ。
 
 顔合わせ程度で、互いに認識できるようにエリーレイドが登場して悪役令嬢としてクドクド何かを言うつもりが、ユウヴィー自身がフォーラズに話しかけた。そのため、その後に参上し、互いをより深く認識させた。
 
「ここまではいいわね?」
「我が主、問題ありません」
 
 その後、ユウヴィーは避けるだろうとエリーレイドは予測していた。両想いになってしまえば、死んでしまうので物理的に会わなければいいからだ。しかし、原作では会わないようにする事がフラグだったので、フォーラズの婚約者に呼び出されるユウヴィーをひたすら監視していた。
 
 もし、逆にユウヴィーがフォーラズに会おうとするならば、エリーレイドは影の魔法で会わせないようにするつもりだったが、杞憂に終わっていた。
 
 フリーザンネック王国の令嬢たちのお茶会でユウヴィーは招待され、あちらの国のライバル役が彼女を攻撃する。正確には、正論を言うのでいじめではない。すると、そこにフォーラズが参上して、会わせるのだが、エリーレイドの影の魔法で誘導したのだった。
 
「我が主、この攻略本によれば、フォーラズ殿下の登場に際し、我々の画策する描写がありませんでした」
「そうなのよね、だから影の魔法で誘導したのよね」
 
 その後、アライン殿下が登場したりするのは攻略本通りの展開であり、ルートが確定した瞬間だった。
 
「この攻略本によれば――図書館で二人の肩が触れ合い、頬を赤く染めるフォーラズ殿下は恋をする」
「イグザクトリィィィ! あの子絶対忘れているわ! 自らフラグ回収おっつ! 乙! おーつー! 二人の空間にお邪魔虫が来ないように、フォーラズ殿下の婚約者は根回し済みだもんね! おーっほっほっほっほ!」
 
 エリーレイドが得意とする根回しによりライバル役が邪魔しないように、影の魔法で監視した二人のやり取りを伝え、あなたの国のために、我が国が協力していますと吹聴し、説得したのだった。
 
 また、ユウヴィーが提案した内容をフリーザンネック王国で実現可能にするためには我が国との協力があれば可能だと話をし、フリーザンネック王国の令嬢たちを説き伏せていたのだった。
 
「一緒に私たちもがんばりましょう。爵位が高いのだから、やれることはありますわ」
 と手を取り合ったのだった。
 
「ライバルが攻略対象者とユウヴィーとの時間を壊さないで好感度上げる作戦は大成功ね」
 エリーレイドは邪魔者はいない方がうまくいく、そう確信した作戦だった。
 
「我が主、確かにお二人が過ごした時間は密ですね」
「ね、そうでしょう。時間を忘れているような感じだもの」
「でも大丈夫なのでしょうか? フォーラズ殿下の婚約者やかの国の令嬢たちは……」
 
 エリーレイドが彼女たちを説得していたが、感情的な点で本当に納得しているのかマーベラスは懸念していた。
 
「マーベちゃん、確かあなたは黒猫だったっけ?」
「黒豹です……我が主……」
「まぁ、そんな大差はないわ。フリーザンネック王国は一夫多妻制でもあり、資産規模内なら何人でも結婚できるのよ。そのため、フォーラズ殿下に新たな婚約者が現れても問題ないわ」
「我が主、この攻略本によると嫁いだ後にその婚約者たちとの描写がないのですが……」
「確か、イラストでもイベントでも他の婚約者は学園でのイベントでしか出てこなかったわね……」
「はい」
 
 エリーレイドは唸りながら考えた。
 
「う~ん、もしかしたら瘴気によってお亡くなりになる、とか……?」
「つまり、それで公務が忙しくなる、と……?」
「あ、あり得そうね」
 
 懸念事項となる新たな不安を発見したエリーレイドは、そうならないように何をすべきか、考えるのだった。彼女は常に最悪のケースを想定し、事前に準備をし、対策し続ける事が最善だと思っていた。
 
 ただ、人の感情だけは対策は出来ないことを抜け落ちたまま、前に向かって進むのだった。
 
「はぁ、新たな懸念事項のことを考えたらストレスだ。マーベちゃん、こっちきて」
 
――すーはーすーはー
 
 今日もマーベラスは吸われるのだった。

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