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二年目 恋よ、愛てにとって不足はない
31 光の魔法には負傷部分を回復させる効果がある魔法があるから大丈夫です。
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ユウヴィーは不安を抱えていた。その不安がまさに起きている事そのものだった。ハマト国で原因不明で瘴気の症状が解明され、元がダニだと判明し、アロマオイルによって対策が出来、かつ死滅させる事が認識されていったのだった。
ここまではいい、とユウヴィーは思った。
謎だった症状の原因と解決方法を二人で編み出した事が直ちに広まっていたのだった。その噂を聞いたのは、同室にいるハープからだった。
「やったね! ユウヴィー玉の輿じゃん! 二度目のチャンスだよ」
(うん、全然うれしくないよー)
などと言葉に出す事が出来ず、あははと笑ってごまかす事しかできなかった。
そんな噂が学園中で持ちきりとなって、二度目の軌跡を起こした光の聖女だと言われる中でリンク皇子のギャル風な婚約者からサロンの個室に呼び出しをくらうユウヴィーだった。
(わかってる、わかってるわ、さすがに調子乗り過ぎじゃないとか言われる。ちゃんと謝罪し、誠心誠意そんなつもりはないと言えば通じるはずだ)
ユウヴィーがギャル風な婚約者が待ち受けるサロンの個室に入ると、雰囲気が百八十度違うギャル風な婚約者がいた。見た目はギャルだが、たたずまいから清楚系優等生な雰囲気を出していた。
思わずまばたきを何度かし、案内された個室が別の個室だったのかという思いに駆られていた。
「こちらであってますよ、ユウヴィー・ディフォルトエマノン嬢。入室を許可します、おかけになってくださいまし」
困惑しながらもユウヴィーは椅子に座った。
するとギャル風な婚約者が一礼し、それにつられてユウヴィーも一礼する。
何かを決心した顔をし、彼女は語りだしたのだった。
「夫となる者を立てなくて、何が妻かと思っております。立てる事、すなわち私という存在が支える事で本領発揮すれば幸せです。ただ、その存在が私でなくても彼が天分を発揮なさるのであれば、引くのも女としての器量と思っております」
(言ってんだこいつ……キャラ変したのか?)
ユウヴィーは彼女が語りだした言葉を理解するのに数秒かかり、その意味を理解すると彼女がどういう性格なのかも理解するのだった。
(ギャル風なアレは演技だったんかぁーい!)
二人とも演技をしていたのだった、婚約者は彼に合わせようにしていただけであり、本当は彼と似た者同士だった。内面の思いを隠すことが美徳なのか、空気を読み過ぎた結果だったのだ。
「つ、つまり……あのどういうことでしょうか?」
ユウヴィーはこの展開はもしかして、と思い始めていた。
「私から婚約破棄するようにリンク様にはお伝えしてあります。ただ、側室という形におさまるとは思いますが、今後ともよろしくお願いします」
「え、あの……まるで私が婚約するような……?」
「はい、進言致しました」
「え、あの……」
ユウヴィーは全身の血の気が引いていた。彼女の目は絶対に逃がさないという強い意思を宿していたのだった。
するとドアが突然開き、リンク皇子が入室してきた。
「ここか! おいどういうことだ。婚約破棄を一方的……に……ユウヴィー?」
「あ、ちょーどいいしぃ、ほらなんつーかあーしの好みじゃないっつーかさ」
急にギャル風な婚約者がちゃんとギャルになり、席から立ち上がり、リンク皇子との関係を終わらせようとしていた。
「まあ、親がどーしてもってだからだったけど、やっぱお二人の方がお似合いじゃん? リンクだってあーしよりも彼女の方がいいっしょ?」
ユウヴィーは彼女がチャラく言っているが、微妙に震えているのに気づいたのだった。
(まさか、この子……)
「すまないユウヴィー、自国の端を見せるようで申し訳ない。チャラチャラしているのが本当の自分ではないし、むしろ嫌いだ。それにチャラチャラしてるのは好みじゃないんだ。お互い、その方がいいな」
リンクは彼女の方を向き、素の状態で婚約破棄を受け入れたのだった。
「改めて私から言おう、婚約解消してくれ」
するとギャル風な婚約者が何か言おうとし、口を紡いだ。
「ユウヴィー、完璧さを求められ、自身もその完璧であろうとする自分に寄り添ってくれてありがとう。過去にあった失敗をずっと引きずっていたが、それを君によって支えられ、それがあったからこそ成長できたと思う。変わる。より完璧を目指すべく、失敗を恐れないようになる」
ユウヴィーはこれは告白だと感じ取っていた。チラリとギャル風な婚約者の方を見ると震えており、完全に涙を堪えて無理しているのがわかったのだった。
「そういうわけだから、お前とは終わりだ」
突き放された婚約者は涙を堪え、毅然としながらもチャラけた態度をとっていた。
内面を感じたユウヴィーの胸は苦しくなっていた。
「はぁ? ていうかあーしもそんな陰キャだったなんて知らなかったし、なんていうかこっちからポイッだしー」
ユウヴィーはこの二人をこのままにしてはいけないという思いが沸き上がり、物理的な手段で落ち着かせる事にした。
――バシンッ!! パンッ!
リンクとその婚約を解消されたギャル風な公爵令嬢の頬をひっぱたいた音が個室に鳴り響いた。
前者の音は強烈なビンタで、後者はやさしめなビンタの音だった。
「「えっ」」
叩かれた二人の声は重なり、即座にユウヴィーは光の魔法で回復させた。
ユウヴィーは二人の顔を見て、頷き、腕を組み、冷たい声で言った。
「座って」
二人は、椅子に座り、そこからユウヴィーによる説教タイムが始まったのだった。
ここまではいい、とユウヴィーは思った。
謎だった症状の原因と解決方法を二人で編み出した事が直ちに広まっていたのだった。その噂を聞いたのは、同室にいるハープからだった。
「やったね! ユウヴィー玉の輿じゃん! 二度目のチャンスだよ」
(うん、全然うれしくないよー)
などと言葉に出す事が出来ず、あははと笑ってごまかす事しかできなかった。
そんな噂が学園中で持ちきりとなって、二度目の軌跡を起こした光の聖女だと言われる中でリンク皇子のギャル風な婚約者からサロンの個室に呼び出しをくらうユウヴィーだった。
(わかってる、わかってるわ、さすがに調子乗り過ぎじゃないとか言われる。ちゃんと謝罪し、誠心誠意そんなつもりはないと言えば通じるはずだ)
ユウヴィーがギャル風な婚約者が待ち受けるサロンの個室に入ると、雰囲気が百八十度違うギャル風な婚約者がいた。見た目はギャルだが、たたずまいから清楚系優等生な雰囲気を出していた。
思わずまばたきを何度かし、案内された個室が別の個室だったのかという思いに駆られていた。
「こちらであってますよ、ユウヴィー・ディフォルトエマノン嬢。入室を許可します、おかけになってくださいまし」
困惑しながらもユウヴィーは椅子に座った。
するとギャル風な婚約者が一礼し、それにつられてユウヴィーも一礼する。
何かを決心した顔をし、彼女は語りだしたのだった。
「夫となる者を立てなくて、何が妻かと思っております。立てる事、すなわち私という存在が支える事で本領発揮すれば幸せです。ただ、その存在が私でなくても彼が天分を発揮なさるのであれば、引くのも女としての器量と思っております」
(言ってんだこいつ……キャラ変したのか?)
ユウヴィーは彼女が語りだした言葉を理解するのに数秒かかり、その意味を理解すると彼女がどういう性格なのかも理解するのだった。
(ギャル風なアレは演技だったんかぁーい!)
二人とも演技をしていたのだった、婚約者は彼に合わせようにしていただけであり、本当は彼と似た者同士だった。内面の思いを隠すことが美徳なのか、空気を読み過ぎた結果だったのだ。
「つ、つまり……あのどういうことでしょうか?」
ユウヴィーはこの展開はもしかして、と思い始めていた。
「私から婚約破棄するようにリンク様にはお伝えしてあります。ただ、側室という形におさまるとは思いますが、今後ともよろしくお願いします」
「え、あの……まるで私が婚約するような……?」
「はい、進言致しました」
「え、あの……」
ユウヴィーは全身の血の気が引いていた。彼女の目は絶対に逃がさないという強い意思を宿していたのだった。
するとドアが突然開き、リンク皇子が入室してきた。
「ここか! おいどういうことだ。婚約破棄を一方的……に……ユウヴィー?」
「あ、ちょーどいいしぃ、ほらなんつーかあーしの好みじゃないっつーかさ」
急にギャル風な婚約者がちゃんとギャルになり、席から立ち上がり、リンク皇子との関係を終わらせようとしていた。
「まあ、親がどーしてもってだからだったけど、やっぱお二人の方がお似合いじゃん? リンクだってあーしよりも彼女の方がいいっしょ?」
ユウヴィーは彼女がチャラく言っているが、微妙に震えているのに気づいたのだった。
(まさか、この子……)
「すまないユウヴィー、自国の端を見せるようで申し訳ない。チャラチャラしているのが本当の自分ではないし、むしろ嫌いだ。それにチャラチャラしてるのは好みじゃないんだ。お互い、その方がいいな」
リンクは彼女の方を向き、素の状態で婚約破棄を受け入れたのだった。
「改めて私から言おう、婚約解消してくれ」
するとギャル風な婚約者が何か言おうとし、口を紡いだ。
「ユウヴィー、完璧さを求められ、自身もその完璧であろうとする自分に寄り添ってくれてありがとう。過去にあった失敗をずっと引きずっていたが、それを君によって支えられ、それがあったからこそ成長できたと思う。変わる。より完璧を目指すべく、失敗を恐れないようになる」
ユウヴィーはこれは告白だと感じ取っていた。チラリとギャル風な婚約者の方を見ると震えており、完全に涙を堪えて無理しているのがわかったのだった。
「そういうわけだから、お前とは終わりだ」
突き放された婚約者は涙を堪え、毅然としながらもチャラけた態度をとっていた。
内面を感じたユウヴィーの胸は苦しくなっていた。
「はぁ? ていうかあーしもそんな陰キャだったなんて知らなかったし、なんていうかこっちからポイッだしー」
ユウヴィーはこの二人をこのままにしてはいけないという思いが沸き上がり、物理的な手段で落ち着かせる事にした。
――バシンッ!! パンッ!
リンクとその婚約を解消されたギャル風な公爵令嬢の頬をひっぱたいた音が個室に鳴り響いた。
前者の音は強烈なビンタで、後者はやさしめなビンタの音だった。
「「えっ」」
叩かれた二人の声は重なり、即座にユウヴィーは光の魔法で回復させた。
ユウヴィーは二人の顔を見て、頷き、腕を組み、冷たい声で言った。
「座って」
二人は、椅子に座り、そこからユウヴィーによる説教タイムが始まったのだった。
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