魔女と呼ばれ処刑された聖女は、死に戻り悪女となる

青の雀

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死に戻り1

7.軍資金

アンジェリーヌは、死に戻りだったことに気付いてから生前、聖女様に覚醒した日のことを思い出し、あの日のことを忘れないように胸に刻む。

あの日は、学園の3年生の時、卒業式と結婚式を1年後に控えた日、王太子婚約者として公務に出席した。
この頃は、もう王太子に代わって、ほとんどの公務をこなしていたのだ。なぜなら王妃様が12歳の時に身罷られ、王妃不在が長く続いていたものだから、その分の仕事のお鉢が回ってきたのと同時に本来サポートをしなければならないクリストファー殿下がすこぶるぼんくらであったため、婚約者であるアンジェリーヌがその仕事を引き受けていたというところ。

そしてたまたま教会を訪れたところ、最奥に置いてあった聖物とともに水晶玉が異常に反応したため、違和感があった司祭様に勧められるまま水晶玉に手をかざしてみたところ、水晶玉が見事に反応した。司祭様からは固く口止めをされてしまった。

「結婚式でのサプライズにいたしましょう。ですからこのことは誰にも言わないでおきます。聖女様もそのつもりでいてくださいませ」

その時は司祭様を信じていたし、アンジェリーヌも何か王家の皆さまにご恩返しがしたいと願っていたので、その申し出を快く承諾した。
その時は、曲がりなりにも、クリストファー殿下のことを少しは愛していたのだ。
バカはバカなりに、優しい心遣いも見せてくれていたので、ついホロっとしてしまっていた。

あの時、もしも聖女様であるということを公表していたら、あんな人生を送らなくても、よかったのではないかと思う。

まさか未婚の聖女様のカラダを、人々に聖力を与える道具に使われようとは思ってもみなかったこと。



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アンジェリーヌは死に戻ってから、今日まで秘かに聖魔法の練習を欠かさず行っている。

17歳の時に覚醒したのではない、おそらく生まれ落ちたその日から聖女様であったはず。だから今から少しずつでも聖魔法の勉強をすれば、二度とあのような過ちになることになるまい。

それで3年半の月日が経つ。明日はいよいよ運命のお誕生日会がある。言わずと知れたクリストファー殿下の。

ここでお妃に絶対選ばれない!明日は肝心の出会いをすっぽかすつもりでいる。どうせ他の高位貴族令嬢は皆欠席するのだから、わざわざアンジェリーヌが出席しなくてもいいだろう。

お妃に選ばれたら最後、二度とではないけど、10年間はマキャベリ公爵邸の敷居は跨げないので。まあ、別に跨ぎたくもないけど、マキャベリの家に戻るぐらいなら、どこかにトンヅラしたい気分だけど。

とにかく王宮の中に閉じ込められるのは、ごめんだ。

でも、お父様は、娘を王家に売り飛ばすことぐらい平気でなさるから、その日にプチ家出をするつもりなのだ。

なんと言っても幼いカラダで、一人で生きていくには無理がある。だからそこそこ大きく成長するまでは、知らないふりして、この家に居座ってやるつもり、そして魔力とお金が十分に貯まったら、この家、そしてこの国から出奔してやるつもり。

隣国かそれとも、もっと遠くへ逃げて、そこで平穏に暮らす計画なのだ。

そのためにベビー服についていた宝石の小粒までも、取り出して、秘かに保管している。

おかげで、乳母のメリージェーンがベビー服に付いていた宝石を盗んだ咎で解雇になり、実家へ戻されたのはご愛嬌と言ったところ。

実際、前世ではアンジェリーヌが幼すぎて気が付かなかっただけで、メリージェーンは、ベビー服に付いた宝石の小粒を秘かにちぎり隠匿していた。

だからそれを少し手伝ってあげただけよ。

使用人は乳児や幼児には、宝石なんていらないと勝手に思い込んでいるだけ。

将来の軍資金だから、ここはきちんと保管しとかなきゃ……だよね。

メリージェーンが捕まってからは、しばらくの間は、アンジェリーヌの衣類に手を出す者はいなかったが、新しく雇い入れられた侍女の中に手癖の悪い者は必ずいて、そいつらがまたアンジェリーヌの宝石を盗み始めた頃を見計らって、アンジェリーヌ自身もこっそり宝石を隠し持つようになった。


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