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まりあの目から見て、現代ニッポンの大学院生は、ほとんど幼稚そのものだった。
異世界のバカ王子は、まだ20歳そこそこでも、2児の父でバカだけど、まだ大人な考え方ができていた。
おちゃらけのバカ王弟殿下も25歳だから、彼ら大学院生とそう年齢的に変わりがないけれど、一国を背負う王の弟としての重責を果たしている。
異世界の王族とはいえ、彼らの方が自立していて、男としての貫禄はある。それに引き換え、コイツらはなんだ?いい年をして、まだ少年であるかのような錯覚をしている。
まりあに無理やり酒を飲ませ、レイプしたとしても、それが合意の上での性交渉だと言い逃れができると信じている幼さ。集団レイプした段階で合意は成立していないと思うのだけど、そんなこともわからないのか?それに少年法でも、レイプは規程の範疇にはない。レイプした段階で少年ではないと判じられる。
くだらないと言えば、便秘。つまらないと言えば、下痢。この合コンは、まさにその両方と言える。
そんなことを、つらつら考えながら飲んでいるので、余計、蟒蛇(うわばみ)体質に拍車がかかる。そこに、まりあのスマホがけたたましく鳴り響いた。
科捜研からの電話で、「今すぐ来い!」と連絡があり、すぐに切れた。何か、焦っているような口ぶりにイヤな予感が隠せない。
合コンの会費を支払い、急いで科捜研に駆け付けると、なぜか京都府警の本部長の姿を目にした。
「ああ!早乙女君、夕方、谷本秀哉の指紋照合をしたね?そのことで……、大変な騒ぎになっているんだよ」
「え……」
指紋照合は科捜研だけではなく警察官でもできるが、全国のネットワークにアクセスするので、後で誰が照会したかを記録するため、IDとパスワードで入ることになっている。それで、まりあが照会したという事実を突き止められているのだと推察する。
「谷本の指紋をどこで手に入れた?」
まるで尋問するかのような鋭い本部長の口調に、たじろいでしまう。
「谷本秀哉は、すでに亡くなっています。指紋は、遺体から採取しました」
「何っ!?他殺か!いつ?現場は?」
「それがはっきりとしたことがわからなくて……、どこか別のところで殺害されて、密室の店舗の中に遺棄されていたようなのですが……」
「どこの管内の事件だ?」
「異世界です」
「……」
「本部長、警察庁長官からお電話が入っております!」
「本部長!ICPOからも、お電話が入っております!」
「折り返すと伝えてくれ」
本部長は、しばらく目を閉じ、ふぅーっとため息を吐く。
「さて、どうしたものか、現場が異世界となると……管轄外ということになるのだが、谷本が全国のみならず国際手配されているからな、被疑者死亡というだけではコトは収まるまい」
「谷本が異世界へ逃亡していたということでしょうか?」
「そう考えるのが自然だろうな。とにもかくにも一度、現場を見てみる必要がある。長官、警視庁と連携して合同捜査本部を立てることにしよう」
まりあは異世界へ行き来できるただ一人の重要人物として、身柄を半ば拘束される形になり、現代ニッポンに帰ってきたにもかかわらず、ここでも軟禁状態に狼狽えてしまう。
帰宅する先はワンルームマンションではなく、9月にオープンしたばかりの京都ヒルトンのスイート。いやいやスイートなんて、もったいないと躊躇したけど、VIPが下立売のワンルームマンションへは帰らせられないと24時間護衛付きの待遇となってしまったのだ。
仕方がない。処女だから諦めるしかないのか。
スマホ内の写真も、強制的に取り上げられ、異世界の思い出に浸る余韻もない。
異世界の自宅ならば、千人の警察官が来ても泊まれる余裕はあるし、そもそもまた異世界に戻れるかどうかもわからないのに、毎日、お偉方は集まっては会議を繰り返している。
本当っ。時間のムダよ。
今でこそ、時空魔法が扱えるようになったから、いいようなものだけど、それを全員にかかるか?かけられるか?はまだわからない。
異世界のバカ王子は、まだ20歳そこそこでも、2児の父でバカだけど、まだ大人な考え方ができていた。
おちゃらけのバカ王弟殿下も25歳だから、彼ら大学院生とそう年齢的に変わりがないけれど、一国を背負う王の弟としての重責を果たしている。
異世界の王族とはいえ、彼らの方が自立していて、男としての貫禄はある。それに引き換え、コイツらはなんだ?いい年をして、まだ少年であるかのような錯覚をしている。
まりあに無理やり酒を飲ませ、レイプしたとしても、それが合意の上での性交渉だと言い逃れができると信じている幼さ。集団レイプした段階で合意は成立していないと思うのだけど、そんなこともわからないのか?それに少年法でも、レイプは規程の範疇にはない。レイプした段階で少年ではないと判じられる。
くだらないと言えば、便秘。つまらないと言えば、下痢。この合コンは、まさにその両方と言える。
そんなことを、つらつら考えながら飲んでいるので、余計、蟒蛇(うわばみ)体質に拍車がかかる。そこに、まりあのスマホがけたたましく鳴り響いた。
科捜研からの電話で、「今すぐ来い!」と連絡があり、すぐに切れた。何か、焦っているような口ぶりにイヤな予感が隠せない。
合コンの会費を支払い、急いで科捜研に駆け付けると、なぜか京都府警の本部長の姿を目にした。
「ああ!早乙女君、夕方、谷本秀哉の指紋照合をしたね?そのことで……、大変な騒ぎになっているんだよ」
「え……」
指紋照合は科捜研だけではなく警察官でもできるが、全国のネットワークにアクセスするので、後で誰が照会したかを記録するため、IDとパスワードで入ることになっている。それで、まりあが照会したという事実を突き止められているのだと推察する。
「谷本の指紋をどこで手に入れた?」
まるで尋問するかのような鋭い本部長の口調に、たじろいでしまう。
「谷本秀哉は、すでに亡くなっています。指紋は、遺体から採取しました」
「何っ!?他殺か!いつ?現場は?」
「それがはっきりとしたことがわからなくて……、どこか別のところで殺害されて、密室の店舗の中に遺棄されていたようなのですが……」
「どこの管内の事件だ?」
「異世界です」
「……」
「本部長、警察庁長官からお電話が入っております!」
「本部長!ICPOからも、お電話が入っております!」
「折り返すと伝えてくれ」
本部長は、しばらく目を閉じ、ふぅーっとため息を吐く。
「さて、どうしたものか、現場が異世界となると……管轄外ということになるのだが、谷本が全国のみならず国際手配されているからな、被疑者死亡というだけではコトは収まるまい」
「谷本が異世界へ逃亡していたということでしょうか?」
「そう考えるのが自然だろうな。とにもかくにも一度、現場を見てみる必要がある。長官、警視庁と連携して合同捜査本部を立てることにしよう」
まりあは異世界へ行き来できるただ一人の重要人物として、身柄を半ば拘束される形になり、現代ニッポンに帰ってきたにもかかわらず、ここでも軟禁状態に狼狽えてしまう。
帰宅する先はワンルームマンションではなく、9月にオープンしたばかりの京都ヒルトンのスイート。いやいやスイートなんて、もったいないと躊躇したけど、VIPが下立売のワンルームマンションへは帰らせられないと24時間護衛付きの待遇となってしまったのだ。
仕方がない。処女だから諦めるしかないのか。
スマホ内の写真も、強制的に取り上げられ、異世界の思い出に浸る余韻もない。
異世界の自宅ならば、千人の警察官が来ても泊まれる余裕はあるし、そもそもまた異世界に戻れるかどうかもわからないのに、毎日、お偉方は集まっては会議を繰り返している。
本当っ。時間のムダよ。
今でこそ、時空魔法が扱えるようになったから、いいようなものだけど、それを全員にかかるか?かけられるか?はまだわからない。
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