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翌朝、王弟殿下を伴い、騎士団有志数名とともに、谷本商会の地下道を潜っている。
「これがデズモンド子爵家に通じているとは……信じがたいな」
20分ぐらい歩いたところに電子ロックがかかっているアルミの扉が出現する。この世界の人にとっては、電子ロックだろうが何だろうが、パネル部分に魔力を流せば開くから、こんなもの意味がないという感じ。
でも谷本や洛落組の者たちにとっては重要な意味を持つ。
ニッポン人は警察関係者にでも、カードキーがなければ、すぐに踏み込まれないという安心感がある。
でも、ここは異世界だから、カードキーがなくても開けることができる。
まりあも聖女様として召喚されてから、いろいろ魔法について勉強してきた甲斐があり、まりあでもすんなり開けることができるけど、谷本は死ぬまで魔法とは無縁で生きていたということの違いがある。
倉庫の中は相変わらず伽藍洞としていたけど、左手前の扉奥にカーテンもどきがかかっている。そのカーテンを通り抜けるとすぐ魔法陣がある。
因みにデズモンド家に抜ける階段は最奥にあるということも騎士団に伝えてある。
数名の騎士は、その階段の方へ行き、王弟殿下とまりあは魔法陣へと向かう。
「ああ、これか。ずいぶん、簡素な魔法陣だね。これならすぐにでも移動させることができるよ」
まりあは悩んだ挙句、とりあえずは、この世界のまりあ邸に運び入れてもらうことにする。
本当は、ニッポンの捜査本部に移動したいのだけど、そうなると、王弟殿下を異世界ニッポンにお連れしないといけなくなる。
「この魔法陣を複写することも可能でしょうか?」
「行先ごとに設定する必要はあるけど、できるよ」
それでは、と。やはりニッポンの捜査本部に置いてもらうことにした。行先も同じニッポンなのだから、向こうに置いてもらった方が何かと便利だろう。
まりあは、この地下室の存在は、魔法陣さえ手に入れば、どうでもいいこと。後は、この世界の法に照らし、デズモンド子爵が谷本殺害容疑で逮捕されようがどうしようがどうでもいいこと。
還ってオジサントリオに魔法陣をどこに設置すべきか相談しなければならないと、はやる気持ちを抑えながら、いったん、戻ることを提案するも、王弟殿下らは承知しない。
どうして?
残りの騎士団をデズモンド子爵邸周りに配置済みだとか……?手回しの良いことと、呆れながら、王弟殿下に従う。
恩を売っておかないと、後で魔法陣に修正を加えるとき、やってもらえない可能性もあるので。ギブアンドテイクよ。
王弟殿下は、魔法陣を亜空間にしまい込む。実際には、小さな玉みたいなものに魔法陣が吸い取られていくのだが、その球をまりあに渡し、魔力を流せばもとに戻ると説明してくれた。
地下室から魔法鳥を飛ばし、それが合図であるかのように騎士が階段を駆け上がっていく。
以前、ニッポンチームで行ったような浮遊魔法などかけずに豪快に音をわざと立てるかのように階段を上がっていく様に少々驚く。
やっぱり、ところ変わればというところかしらね。
子爵邸では、玄関先で騎士団副団長が口上を読み上げている。子爵が応対している中、そこへ屋敷内から階段を伝って、騎士団長に王弟殿下までお出ましがあると、オロオロと慌てふためく使用人と子爵家の人々がいる。
まりあは、あえて自分だけ隠ぺい魔法をかけ、いらぬ反感を買わないように気を付けている。
まりあは、いてもいなくてもいい存在だからできることと言えば、それまでのこと。それにもし姿を現していたら、人質にされるかもしれないという気さえある。だからここは、あえて透明人間になっておく方が賢明というもの。
結局、子爵以下妻子もろとも、全員その場で逮捕され、今のところ地下室は現状維持となった。
「これがデズモンド子爵家に通じているとは……信じがたいな」
20分ぐらい歩いたところに電子ロックがかかっているアルミの扉が出現する。この世界の人にとっては、電子ロックだろうが何だろうが、パネル部分に魔力を流せば開くから、こんなもの意味がないという感じ。
でも谷本や洛落組の者たちにとっては重要な意味を持つ。
ニッポン人は警察関係者にでも、カードキーがなければ、すぐに踏み込まれないという安心感がある。
でも、ここは異世界だから、カードキーがなくても開けることができる。
まりあも聖女様として召喚されてから、いろいろ魔法について勉強してきた甲斐があり、まりあでもすんなり開けることができるけど、谷本は死ぬまで魔法とは無縁で生きていたということの違いがある。
倉庫の中は相変わらず伽藍洞としていたけど、左手前の扉奥にカーテンもどきがかかっている。そのカーテンを通り抜けるとすぐ魔法陣がある。
因みにデズモンド家に抜ける階段は最奥にあるということも騎士団に伝えてある。
数名の騎士は、その階段の方へ行き、王弟殿下とまりあは魔法陣へと向かう。
「ああ、これか。ずいぶん、簡素な魔法陣だね。これならすぐにでも移動させることができるよ」
まりあは悩んだ挙句、とりあえずは、この世界のまりあ邸に運び入れてもらうことにする。
本当は、ニッポンの捜査本部に移動したいのだけど、そうなると、王弟殿下を異世界ニッポンにお連れしないといけなくなる。
「この魔法陣を複写することも可能でしょうか?」
「行先ごとに設定する必要はあるけど、できるよ」
それでは、と。やはりニッポンの捜査本部に置いてもらうことにした。行先も同じニッポンなのだから、向こうに置いてもらった方が何かと便利だろう。
まりあは、この地下室の存在は、魔法陣さえ手に入れば、どうでもいいこと。後は、この世界の法に照らし、デズモンド子爵が谷本殺害容疑で逮捕されようがどうしようがどうでもいいこと。
還ってオジサントリオに魔法陣をどこに設置すべきか相談しなければならないと、はやる気持ちを抑えながら、いったん、戻ることを提案するも、王弟殿下らは承知しない。
どうして?
残りの騎士団をデズモンド子爵邸周りに配置済みだとか……?手回しの良いことと、呆れながら、王弟殿下に従う。
恩を売っておかないと、後で魔法陣に修正を加えるとき、やってもらえない可能性もあるので。ギブアンドテイクよ。
王弟殿下は、魔法陣を亜空間にしまい込む。実際には、小さな玉みたいなものに魔法陣が吸い取られていくのだが、その球をまりあに渡し、魔力を流せばもとに戻ると説明してくれた。
地下室から魔法鳥を飛ばし、それが合図であるかのように騎士が階段を駆け上がっていく。
以前、ニッポンチームで行ったような浮遊魔法などかけずに豪快に音をわざと立てるかのように階段を上がっていく様に少々驚く。
やっぱり、ところ変わればというところかしらね。
子爵邸では、玄関先で騎士団副団長が口上を読み上げている。子爵が応対している中、そこへ屋敷内から階段を伝って、騎士団長に王弟殿下までお出ましがあると、オロオロと慌てふためく使用人と子爵家の人々がいる。
まりあは、あえて自分だけ隠ぺい魔法をかけ、いらぬ反感を買わないように気を付けている。
まりあは、いてもいなくてもいい存在だからできることと言えば、それまでのこと。それにもし姿を現していたら、人質にされるかもしれないという気さえある。だからここは、あえて透明人間になっておく方が賢明というもの。
結局、子爵以下妻子もろとも、全員その場で逮捕され、今のところ地下室は現状維持となった。
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