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75人質
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「その話は真か?」
「はい。たしかに隣国の聖女様のお相手は、間違いなく……。」
「それなら、突破口を見つけ出したことと同然、今すぐバルトフォース男爵夫妻をひっ捕らえよ。」
ここは、マルベール国の仮の王宮の一室でのこと。
旧アンダルシアの次期女王となられる聖女様の結婚相手が男爵令息であることをつきとめ、両親を人質に取って脅すつもりなのだ。
男妾の地位をマルベール王子から、エリオットに移すための脅しをしている。
「我が国の家畜の倅と結婚するぐらいなら、まだ王子の地位にある方がマシというものだ。」
それならなぜ?人質を取る?
「念には念を入れたほうがいいだろう。」
「もし、それであっさりと男妾になることを承知したら、両親はどうなさるおつもりで?」
「知れたことよ。知りすぎた家畜は、斬って捨てるまでのこと。」
「そうなれば、息子と聖女様も黙ってはおられまい。」
「そうなる前に、あの女を手籠めにして、言うことを聞かせるつもりだ。」
「うまくいくといいですがね。」
「念には念を入れ、旧アンダルシアへ攻め入る準備をしておこう。なーに、いくら聖女でも圧倒的な武力の前には、非力に等しいというものさ。」
そこへ臣下の一人がバタバタと足音を立て、廊下を走ってくる。
「申し上げます!クランベール国が国境を超えて、侵攻して来ました。」
「なに!クランベールが動いたか?なぜだ?……グヌヌ……旧アンダルシアのライバルを減らすつもりか?今すぐ、集められるだけの兵を集め、陣を張れ!」
「バルトフォース男爵夫妻はいかがなさいますか?」
「人柱にすれば、よかろう。うまくいけば旧アンダルシアから援軍を貰えるかもしれないからな。」
「同盟も結んでいないのに……?それにさっき、魔法鳥で男爵の息子に脅迫文を出してしまったというのに……。」
「バカ者!誰がそんな先走ったっことをしろと命じた?お前はクビだ。前線へ出向け!」
重鎮は青ざめながら、仮の王宮を後にする。
{ったく、あのバカ王子には、ほとほと困り果てていたからな。聖女様が手助けしてくれないことはわかっている。この国ももうおしまいだな。魔物で壊滅状態のところへ無傷のクランベールが侵攻してくることなど、前々から、忠告していただろうに。女を抱くことにしか興味がない獣だから、こんなことになるんだ。どっちが家畜かわからない。}
自宅に戻り、その重鎮は家族と共にマルベール国を捨てることになったのだ。
バカ王子の言いなりになって、前線で犬死するよりはマシな選択だと思い、後悔はない。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
魔法鳥で、エリオットの元へマルベールの王子が両親を人質にとったことが知らされ、卑怯なやり方に怒り心頭になっている。
生物兵器の開発には、まだまだ時間がかかるが、インプリンティングぐらいならすぐできる。
問題は、どうやって散布するかだけである。噴霧器を使って、撒こうと思っていたが、オリヴィアに頼み空から雨のように降らせることを思いつく。
オリヴィアは、魔法鳥が来てからのエリオットの様子がおかしいので、問いただすとエリオットの両親が囚われ、人質になっていることを聞きだす。
「転移魔法は一度行ったことがあるところにしか発動できないから、行けるところまで行き、後は、ジープを走らせるしかないわね。」
「浮遊魔法を使って、空を飛んでいけば、行けるさ。俺にも魔法をかけてくれる?」
「お安い御用よ。」
その前に魔法鳥を使って、どこから飛んできたかを、インプリンティング薬を使って、吐かせる。
これなら広いマルベール国内でも、ある程度は特定できるだろう。そして、魔法鳥に両親のいる場所へ案内させることに成功したのだ。
「はい。たしかに隣国の聖女様のお相手は、間違いなく……。」
「それなら、突破口を見つけ出したことと同然、今すぐバルトフォース男爵夫妻をひっ捕らえよ。」
ここは、マルベール国の仮の王宮の一室でのこと。
旧アンダルシアの次期女王となられる聖女様の結婚相手が男爵令息であることをつきとめ、両親を人質に取って脅すつもりなのだ。
男妾の地位をマルベール王子から、エリオットに移すための脅しをしている。
「我が国の家畜の倅と結婚するぐらいなら、まだ王子の地位にある方がマシというものだ。」
それならなぜ?人質を取る?
「念には念を入れたほうがいいだろう。」
「もし、それであっさりと男妾になることを承知したら、両親はどうなさるおつもりで?」
「知れたことよ。知りすぎた家畜は、斬って捨てるまでのこと。」
「そうなれば、息子と聖女様も黙ってはおられまい。」
「そうなる前に、あの女を手籠めにして、言うことを聞かせるつもりだ。」
「うまくいくといいですがね。」
「念には念を入れ、旧アンダルシアへ攻め入る準備をしておこう。なーに、いくら聖女でも圧倒的な武力の前には、非力に等しいというものさ。」
そこへ臣下の一人がバタバタと足音を立て、廊下を走ってくる。
「申し上げます!クランベール国が国境を超えて、侵攻して来ました。」
「なに!クランベールが動いたか?なぜだ?……グヌヌ……旧アンダルシアのライバルを減らすつもりか?今すぐ、集められるだけの兵を集め、陣を張れ!」
「バルトフォース男爵夫妻はいかがなさいますか?」
「人柱にすれば、よかろう。うまくいけば旧アンダルシアから援軍を貰えるかもしれないからな。」
「同盟も結んでいないのに……?それにさっき、魔法鳥で男爵の息子に脅迫文を出してしまったというのに……。」
「バカ者!誰がそんな先走ったっことをしろと命じた?お前はクビだ。前線へ出向け!」
重鎮は青ざめながら、仮の王宮を後にする。
{ったく、あのバカ王子には、ほとほと困り果てていたからな。聖女様が手助けしてくれないことはわかっている。この国ももうおしまいだな。魔物で壊滅状態のところへ無傷のクランベールが侵攻してくることなど、前々から、忠告していただろうに。女を抱くことにしか興味がない獣だから、こんなことになるんだ。どっちが家畜かわからない。}
自宅に戻り、その重鎮は家族と共にマルベール国を捨てることになったのだ。
バカ王子の言いなりになって、前線で犬死するよりはマシな選択だと思い、後悔はない。
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魔法鳥で、エリオットの元へマルベールの王子が両親を人質にとったことが知らされ、卑怯なやり方に怒り心頭になっている。
生物兵器の開発には、まだまだ時間がかかるが、インプリンティングぐらいならすぐできる。
問題は、どうやって散布するかだけである。噴霧器を使って、撒こうと思っていたが、オリヴィアに頼み空から雨のように降らせることを思いつく。
オリヴィアは、魔法鳥が来てからのエリオットの様子がおかしいので、問いただすとエリオットの両親が囚われ、人質になっていることを聞きだす。
「転移魔法は一度行ったことがあるところにしか発動できないから、行けるところまで行き、後は、ジープを走らせるしかないわね。」
「浮遊魔法を使って、空を飛んでいけば、行けるさ。俺にも魔法をかけてくれる?」
「お安い御用よ。」
その前に魔法鳥を使って、どこから飛んできたかを、インプリンティング薬を使って、吐かせる。
これなら広いマルベール国内でも、ある程度は特定できるだろう。そして、魔法鳥に両親のいる場所へ案内させることに成功したのだ。
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