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ひと夏の経験
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婚約破棄から玉の輿144話 スピンオフ
佐々波麗華は、大学の夏休みも終わり、後期が始まる頃、久しぶりにサークルのboxへ行ったら、菊池先輩が最近、大学に来ていないことに気づく。他の先輩が
「寮にもバイト先にもいないから、どうしたんだろう。」と話しているのを聞き、ようやく異世界に置いてけぼりにしておいたことを忘れていたのである。
あれは、どのお話の中だったかしら?アンスターシアちゃんが出てくる話だったはず。麗華は書いた尻から自分の小説であっても、忘れていく主義なのである。なんて、題だったかしら?題がわからないと、その小説の中には、入れない。もう2か月近く前になるから、記憶の片隅にもない。
よく思い出せないので、そういえば松永みどりさんという女性と知り合いになったんだっけ。松永さんに聞いてみることにしたのだが、東都医科大学付属病院へ行くと、もう松永さんは退院された後で、個人情報になるからと言って、ご自宅のご住所を教えてもらえなかったのである。
困ったな。菊池先輩、今頃どうしてるかな?もう、それからというもの先輩のことが気になって気になって仕方がない。サークルでも授業でも、ついに!ボーイフレンドが怒り出した。別に彼氏ってわけじゃないし、付き合っているわけでもないのに。ボーイフレンドは同じ医学部の1年生でやはり開業医の息子さん、名前は小鳥遊大輔くん。
「呼びかけても返事もしないで、気もそぞろって感じだけど、何か心配事か?……麗華から見たら、俺は頼りないかもしれないけど、友達だろ?何かあったら、相談ぐらいは乗るぜ。」
「実はね、信じてもらえないかもしれないけど、ラノベ研究会に入っているの知っているよね。」
「うん。趣味で小説書いているって、入学式の時、言ってたよな。」
「そのサークルの先輩に菊池先輩というのがいてね、私が書いた小説のstoryを勝手に改ざんしていたのよ。」
「それはひどいな。」
「でしょ。それで小説の結末が変わるたびに、私が異世界へ呼ばれてしまうの。とても信じられる話ではないけど、私は私が書いた小説の中に聖女として召喚されてしまうのよ。それも高校生の時から、夏休みに入ってすぐ2回目の召喚で行ってみたら、子宮がんで東都医科大学病院に入院していた人が一人目の聖女でね。」
「えと、ちょっと待って。すごい話になってきたね。ちょっと整理するから。」
そういって小鳥遊くんは、ノートにメモしながら聞いてくれた。
「高校生の時に一回召喚されたんだね。それから2度目が夏休みに入ってすぐ、それが菊池先輩と……?東都医科大病院に……。」
「んとね、どこから説明すればいいのか……。2度目から言うね。2度目は東都大病院で子宮がんの全摘手術した人が、まず一人目の聖女として召喚されるのね。それで物語の主人公はアンスターシアちゃんという名前なんだけど、王太子殿下から婚約破棄されてしまうわけよ。それでアンスターシアちゃんは、隣国へ逃げて、そこの王太子殿下の舞踏会で運命の出会いをして、幸せに暮らすというstoryを菊池先輩が勝手に、アンスターシアちゃんの婚約破棄後、側妃としてその王太子に召し上げられるという設定に勝手に変えちゃったのよ。それに最初に召喚された聖女様は、子供が産めないという理由で王宮から追い出されてしまうの。」
「ふむふむ、なるほど。」
「2回目の聖女召喚がされたのね。今度は私が聖女として召喚されたけど、逃げ出すのよ。18歳でバカ王太子のおもちゃになって抱かれるのって、ひどいでしょ?それで逃げ出した後、偶然、松永みどりさんに会うのよ。そして松永さんを東都大病院に送り返してから、菊池先輩は自分が私の小説を改ざんしたことを白状したのよ。それで責任取らせるつもりで異世界へ連れて行ったのだけど、忘れて帰ってきたから困っているの。」
「うん、凄い話だけど。だったら、異世界へもう一度行って、連れ戻せばいいでしょ?」
「それが小説のタイトルを忘れちゃって、どの小説だったかわからないのよ。」
「なんだ、そんな話なら一緒に探してあげるよ。」
「でもね、私の小説って似たような話ばかり書いているから、どれがどれかわからなくなってしまって。」
もう麗華は、ほとんど泣きそうな顔で小鳥遊くんを見る。
「大丈夫だよ。二人で探せば半分の時間で見つけられるよ。」
「ありがとう。小鳥遊くん。」
「これからは大輔って呼んでくれよ。おれもレイカって呼ぶからさ。」
「ありがとう、大輔君。」
それから私たちは付き合うようになった。とりあえず、我が家に大輔君に来てもらって、時々キスしながら、PCのデータを大輔君に見てもらいながら探すことにしたのである。
「へえ、君がペンネーム夢幻だったとはな、俺も時々、ラノベを高校時代から、読んでいたんだ。」
「えへ。恥ずかしい。」
「この恋愛描写は実体験?」
「いやいや、想像だよ。それと女子高だったから、友達に聞いた話とかを織り交ぜて書いていたよ。」
「ねえ、ちょっと実際にやってみようか?」
「え?」
いつの間にか大輔君がレイカの隣に来て、レイカのブラウスをまくり始めている。
「ちょっと、ヤダ!」
「いいじゃないか?けっこうエロい作品だって、あったよ。」
「あぁん。ダメよ、こんなところで。ぁん。」
「すごいもうこんなに濡れてる!」
「いや、言わないで。」
そのままイチャイチャしていたら、もう夜になって、レイカの母が帰ってきたから作業とイチャイチャを中断して、大輔君は晩御飯を食べて、そのまま帰っちゃった。
まだ、大人の一線は超えていないけど、もう時間の問題になってしまったわ。次の日も大学帰り、大輔君はウチへ来て、またイチャイチャ。もう小説を探すことより、大輔君も私も行為に夢中になっていた時、誰かが玄関チャイムを押したので、私たちは慌てて身づくろいを正して玄関に行こうとして、二人とも階段から落ちてしまった。
その瞬間、真っ白い光に包まれて……嫌な予感。
気が付いたらヨーロッパの大聖堂のようなところで寝転がされていた、いつもと違うのは、大輔君と一緒だということ。
「おお!成功したようだが、余計なものがくっついてきたな。」
「男のほうは、殺してしまおうか?」
{だ、だめ!大輔君を殺させるわけにはいかない!}
咄嗟に、大輔君に隠蔽魔法をかけることにする。
「ん?男のほうは消えたぞ?元の世界に戻ってくれたか?」
「まあよいわ。聖女様が無事ならそれでよい。」
「ここはどこですか?」
{とりあえず、どの小説の中に入り込んだのか確かめないとね。}
「ようこそ我がグリーンベルト国へ。」
{グリーンベルト?そんな小説書いたっけ?}
そしたら、大輔君が覚えていてくれていたみたいで、『天罰』だよ、と小声で教えてくれた。ヒロインがマーガレットちゃんね。確か、最初に召喚された聖女様はニッポンの老人ホームから召喚された90歳女性だったはず。どうされたのかしら?最初の聖女様。また、菊池先輩が改ざんした?
「さ、さ、聖女様はお疲れでしょう。詳しい話は明日にでもしましょう。お部屋をご用意しておりますゆえに、どうぞごゆるりとなさってくださいませ。」
私たちは(レイカと透明人間の大輔君)聖女部屋へ案内され、そこで湯あみをして、もちろん大輔君は、してないよ。ただ裸は見られた。恥ずかしいけど、仕方がないわ。
侍女が下がった後、大輔君にネグリジェを脱がされて、そこでついに!大人の一線を越えてしまったわ。もう、これでどんなに菊池先輩がstoryを改ざんしても聖女として召喚されない?かどうかはわからないが、吊り橋効果というべきか?私たちは家ではできなかったあんなこと、こんなことをやりまくったのである。
一応、廊下に声が漏れたら恥ずかしいので防音魔法を施したから、かなり大声での嬌声や喘いでも聞こえることはなかったのである。
若い二人が満足するまで、やり終えた時はすでに空が白ばみ始めていた。お互いの体に浄化魔法をかけて、綺麗にしたところで脱出だけど、先に大輔君だけを返そうとしたら、大輔君がレイカと行動を共にすると言ってくれたの。嬉しい。それでこそ恋人よね。
さて、ここから脱出するのだけど、また透明人間作戦で行こう。
すっかり朝陽が昇ってから、ノックの音がしたけど、返事しなかったら「失礼します。」の声とともに侍女が来たのだが、私たちは、透明人間になって、息を殺している。
侍女は慌てて出て行き、他の誰かを連れてきた、王太子か?誰でもいいけど。騎士もいる。
「聖女様はいずこへ?」
「まさか?昨日の男と一緒に逃げたか?」
「見張りの騎士が昨夜は一晩中、音もせず、扉も開かなかったらしい。」
「となると、秘密の抜け穴から、外へ出られたのだろうか?」
柱時計を右へ動かすと、扉が現れ、そこへ王太子をはじめとする騎士団の連中も皆そこから出て行き、部屋には誰もいなくなったのである。
私たちは、手に手を取って、厨房に忍び込み、すぐ食べられるものを片っ端から食べて、異空間にしまえるものは仕舞っていく。
そして正面から堂々と出て行こうとして、ハッと気づいた。確か、前に他の作家さんが書いていらした作品の中に異空間通路をクローゼットの中に仕込むと、どこからでも、そこへ行けるというものがあった。この前、アンスターシアちゃんの時、それと同じ手法を使って成功しているから、聖女部屋にもその仕掛けをするため戻る。幸い、まだ誰もいない。どこかへ行くことより、ここにいたほうが、ひょっとしたら安全かもしれない。
だが、菊池先輩を探しにも行かなければならないから、むやみやたらに動くよりしばらくここにいることを大輔君に提案してみると、「同感。」と言われたので、ほっとする。
その日の夜は王宮で催し物があったみたいで人の出入りが多い。ひょっとしたら、新しい聖女としてのお披露目があったのかもしれない。
興味本位でレイカは、パーティを覗くことに。
「公爵令嬢マーガレット・スコッティ、貴様との婚約は今をもって破棄させてもらおう。今までの妃教育、大儀であった。」
まさに婚約破棄の現場に来てしまったのである。さて、これからマーガレットは隣国に行って王太子殿下と結婚することになるのだが……。
え? うっそぉー!
「嫌です。わたくしを捨てないでくださいませ。ロバート様愛しています。側妃でもいいから置いてくださいませ。」
マーガレットちゃんが泣きながら、ロバートにすがっている。
「そうか、仕方あるまいな。」
そして二人は王宮の王太子の部屋へと入って行ったのである。二人は部屋に入るなり抱き合い、始めてしまったから、どうしよう?お互いの服を脱がせ合いっこしている。
どうする?どうする?出歯亀よろしく私たちは他人の情事を覗き見ることになるとは。
ま、マーガレットちゃんがこれで幸せなら、レイカとしては何も言うことがない。
そっと、私たちは部屋を出ることになり、聖女部屋に鍵をかけ、防音魔法とともに愛し合うことにしたのである。
クチュクチュと水音が響く中、心ゆくまで愛し合い。そのまま転移魔法を使い、菊池先輩を探しに行くことにする。
菊池先輩は、というとこちらも出歯亀をしていたのである。というか、ほとんど痴漢というべきか?透明人間になっていることを利用して娼館の部屋で果てた男の代わりに娼婦に跨っている。
「ばっかみたい。」
「東大生の品位を疑う。」
空間から突如聞こえてきた日本語に菊池先輩はうろたえる。
「この女を連れて行っていいか?」
「その女性、先輩のこと知ってるの?」
「たぶん、リリアーヌというんだ。」
「ふーん。いっそのこと帰らなくてもいいんじゃない?帰りたくないでしょ?」
「うーん。それもそうなんだが、リリアーヌと一緒にいられるのなら帰りたい。もう二度と夢幻の小説を改ざんしないから、返してよ、頼む。」
「わかったわ。それじゃ。」
「さっきの聖女部屋にあった紙とペンでさらさらと書く。」
気が付けば、私たちは、菊池先輩とリリアーヌさんもご一緒で、階段の下で落ちていたのである。
チャイムの主は郵便屋さんだった。書留が来ているらしくハンコを探して受け取った。差出人を見ると菊池先輩から出会った。
「どういうこと?」
「あんまり佐々波さんが迎えに来てくれないから、異世界で魔法鳥を飛ばしたんだ。」
「魔法鳥って、異世界まで届くの?すごいね!」
菊池先輩はリリアーヌさんを伴って、寮へ帰って行ったけど、大騒ぎになるだろうな。
私たちは、両方の両親に紹介し合って、結婚を前提に付き合うことを認めてもらいました。医者は医者同士結婚するのが理想なので、小鳥遊さんのご両親からは、ずいぶん喜ばれました。ウチのお父さんは、ムスっとしていたけどね。まだ1年生、将来のことはわからないけど、順調に愛を育てていければいいなぁ。
佐々波麗華は、大学の夏休みも終わり、後期が始まる頃、久しぶりにサークルのboxへ行ったら、菊池先輩が最近、大学に来ていないことに気づく。他の先輩が
「寮にもバイト先にもいないから、どうしたんだろう。」と話しているのを聞き、ようやく異世界に置いてけぼりにしておいたことを忘れていたのである。
あれは、どのお話の中だったかしら?アンスターシアちゃんが出てくる話だったはず。麗華は書いた尻から自分の小説であっても、忘れていく主義なのである。なんて、題だったかしら?題がわからないと、その小説の中には、入れない。もう2か月近く前になるから、記憶の片隅にもない。
よく思い出せないので、そういえば松永みどりさんという女性と知り合いになったんだっけ。松永さんに聞いてみることにしたのだが、東都医科大学付属病院へ行くと、もう松永さんは退院された後で、個人情報になるからと言って、ご自宅のご住所を教えてもらえなかったのである。
困ったな。菊池先輩、今頃どうしてるかな?もう、それからというもの先輩のことが気になって気になって仕方がない。サークルでも授業でも、ついに!ボーイフレンドが怒り出した。別に彼氏ってわけじゃないし、付き合っているわけでもないのに。ボーイフレンドは同じ医学部の1年生でやはり開業医の息子さん、名前は小鳥遊大輔くん。
「呼びかけても返事もしないで、気もそぞろって感じだけど、何か心配事か?……麗華から見たら、俺は頼りないかもしれないけど、友達だろ?何かあったら、相談ぐらいは乗るぜ。」
「実はね、信じてもらえないかもしれないけど、ラノベ研究会に入っているの知っているよね。」
「うん。趣味で小説書いているって、入学式の時、言ってたよな。」
「そのサークルの先輩に菊池先輩というのがいてね、私が書いた小説のstoryを勝手に改ざんしていたのよ。」
「それはひどいな。」
「でしょ。それで小説の結末が変わるたびに、私が異世界へ呼ばれてしまうの。とても信じられる話ではないけど、私は私が書いた小説の中に聖女として召喚されてしまうのよ。それも高校生の時から、夏休みに入ってすぐ2回目の召喚で行ってみたら、子宮がんで東都医科大学病院に入院していた人が一人目の聖女でね。」
「えと、ちょっと待って。すごい話になってきたね。ちょっと整理するから。」
そういって小鳥遊くんは、ノートにメモしながら聞いてくれた。
「高校生の時に一回召喚されたんだね。それから2度目が夏休みに入ってすぐ、それが菊池先輩と……?東都医科大病院に……。」
「んとね、どこから説明すればいいのか……。2度目から言うね。2度目は東都大病院で子宮がんの全摘手術した人が、まず一人目の聖女として召喚されるのね。それで物語の主人公はアンスターシアちゃんという名前なんだけど、王太子殿下から婚約破棄されてしまうわけよ。それでアンスターシアちゃんは、隣国へ逃げて、そこの王太子殿下の舞踏会で運命の出会いをして、幸せに暮らすというstoryを菊池先輩が勝手に、アンスターシアちゃんの婚約破棄後、側妃としてその王太子に召し上げられるという設定に勝手に変えちゃったのよ。それに最初に召喚された聖女様は、子供が産めないという理由で王宮から追い出されてしまうの。」
「ふむふむ、なるほど。」
「2回目の聖女召喚がされたのね。今度は私が聖女として召喚されたけど、逃げ出すのよ。18歳でバカ王太子のおもちゃになって抱かれるのって、ひどいでしょ?それで逃げ出した後、偶然、松永みどりさんに会うのよ。そして松永さんを東都大病院に送り返してから、菊池先輩は自分が私の小説を改ざんしたことを白状したのよ。それで責任取らせるつもりで異世界へ連れて行ったのだけど、忘れて帰ってきたから困っているの。」
「うん、凄い話だけど。だったら、異世界へもう一度行って、連れ戻せばいいでしょ?」
「それが小説のタイトルを忘れちゃって、どの小説だったかわからないのよ。」
「なんだ、そんな話なら一緒に探してあげるよ。」
「でもね、私の小説って似たような話ばかり書いているから、どれがどれかわからなくなってしまって。」
もう麗華は、ほとんど泣きそうな顔で小鳥遊くんを見る。
「大丈夫だよ。二人で探せば半分の時間で見つけられるよ。」
「ありがとう。小鳥遊くん。」
「これからは大輔って呼んでくれよ。おれもレイカって呼ぶからさ。」
「ありがとう、大輔君。」
それから私たちは付き合うようになった。とりあえず、我が家に大輔君に来てもらって、時々キスしながら、PCのデータを大輔君に見てもらいながら探すことにしたのである。
「へえ、君がペンネーム夢幻だったとはな、俺も時々、ラノベを高校時代から、読んでいたんだ。」
「えへ。恥ずかしい。」
「この恋愛描写は実体験?」
「いやいや、想像だよ。それと女子高だったから、友達に聞いた話とかを織り交ぜて書いていたよ。」
「ねえ、ちょっと実際にやってみようか?」
「え?」
いつの間にか大輔君がレイカの隣に来て、レイカのブラウスをまくり始めている。
「ちょっと、ヤダ!」
「いいじゃないか?けっこうエロい作品だって、あったよ。」
「あぁん。ダメよ、こんなところで。ぁん。」
「すごいもうこんなに濡れてる!」
「いや、言わないで。」
そのままイチャイチャしていたら、もう夜になって、レイカの母が帰ってきたから作業とイチャイチャを中断して、大輔君は晩御飯を食べて、そのまま帰っちゃった。
まだ、大人の一線は超えていないけど、もう時間の問題になってしまったわ。次の日も大学帰り、大輔君はウチへ来て、またイチャイチャ。もう小説を探すことより、大輔君も私も行為に夢中になっていた時、誰かが玄関チャイムを押したので、私たちは慌てて身づくろいを正して玄関に行こうとして、二人とも階段から落ちてしまった。
その瞬間、真っ白い光に包まれて……嫌な予感。
気が付いたらヨーロッパの大聖堂のようなところで寝転がされていた、いつもと違うのは、大輔君と一緒だということ。
「おお!成功したようだが、余計なものがくっついてきたな。」
「男のほうは、殺してしまおうか?」
{だ、だめ!大輔君を殺させるわけにはいかない!}
咄嗟に、大輔君に隠蔽魔法をかけることにする。
「ん?男のほうは消えたぞ?元の世界に戻ってくれたか?」
「まあよいわ。聖女様が無事ならそれでよい。」
「ここはどこですか?」
{とりあえず、どの小説の中に入り込んだのか確かめないとね。}
「ようこそ我がグリーンベルト国へ。」
{グリーンベルト?そんな小説書いたっけ?}
そしたら、大輔君が覚えていてくれていたみたいで、『天罰』だよ、と小声で教えてくれた。ヒロインがマーガレットちゃんね。確か、最初に召喚された聖女様はニッポンの老人ホームから召喚された90歳女性だったはず。どうされたのかしら?最初の聖女様。また、菊池先輩が改ざんした?
「さ、さ、聖女様はお疲れでしょう。詳しい話は明日にでもしましょう。お部屋をご用意しておりますゆえに、どうぞごゆるりとなさってくださいませ。」
私たちは(レイカと透明人間の大輔君)聖女部屋へ案内され、そこで湯あみをして、もちろん大輔君は、してないよ。ただ裸は見られた。恥ずかしいけど、仕方がないわ。
侍女が下がった後、大輔君にネグリジェを脱がされて、そこでついに!大人の一線を越えてしまったわ。もう、これでどんなに菊池先輩がstoryを改ざんしても聖女として召喚されない?かどうかはわからないが、吊り橋効果というべきか?私たちは家ではできなかったあんなこと、こんなことをやりまくったのである。
一応、廊下に声が漏れたら恥ずかしいので防音魔法を施したから、かなり大声での嬌声や喘いでも聞こえることはなかったのである。
若い二人が満足するまで、やり終えた時はすでに空が白ばみ始めていた。お互いの体に浄化魔法をかけて、綺麗にしたところで脱出だけど、先に大輔君だけを返そうとしたら、大輔君がレイカと行動を共にすると言ってくれたの。嬉しい。それでこそ恋人よね。
さて、ここから脱出するのだけど、また透明人間作戦で行こう。
すっかり朝陽が昇ってから、ノックの音がしたけど、返事しなかったら「失礼します。」の声とともに侍女が来たのだが、私たちは、透明人間になって、息を殺している。
侍女は慌てて出て行き、他の誰かを連れてきた、王太子か?誰でもいいけど。騎士もいる。
「聖女様はいずこへ?」
「まさか?昨日の男と一緒に逃げたか?」
「見張りの騎士が昨夜は一晩中、音もせず、扉も開かなかったらしい。」
「となると、秘密の抜け穴から、外へ出られたのだろうか?」
柱時計を右へ動かすと、扉が現れ、そこへ王太子をはじめとする騎士団の連中も皆そこから出て行き、部屋には誰もいなくなったのである。
私たちは、手に手を取って、厨房に忍び込み、すぐ食べられるものを片っ端から食べて、異空間にしまえるものは仕舞っていく。
そして正面から堂々と出て行こうとして、ハッと気づいた。確か、前に他の作家さんが書いていらした作品の中に異空間通路をクローゼットの中に仕込むと、どこからでも、そこへ行けるというものがあった。この前、アンスターシアちゃんの時、それと同じ手法を使って成功しているから、聖女部屋にもその仕掛けをするため戻る。幸い、まだ誰もいない。どこかへ行くことより、ここにいたほうが、ひょっとしたら安全かもしれない。
だが、菊池先輩を探しにも行かなければならないから、むやみやたらに動くよりしばらくここにいることを大輔君に提案してみると、「同感。」と言われたので、ほっとする。
その日の夜は王宮で催し物があったみたいで人の出入りが多い。ひょっとしたら、新しい聖女としてのお披露目があったのかもしれない。
興味本位でレイカは、パーティを覗くことに。
「公爵令嬢マーガレット・スコッティ、貴様との婚約は今をもって破棄させてもらおう。今までの妃教育、大儀であった。」
まさに婚約破棄の現場に来てしまったのである。さて、これからマーガレットは隣国に行って王太子殿下と結婚することになるのだが……。
え? うっそぉー!
「嫌です。わたくしを捨てないでくださいませ。ロバート様愛しています。側妃でもいいから置いてくださいませ。」
マーガレットちゃんが泣きながら、ロバートにすがっている。
「そうか、仕方あるまいな。」
そして二人は王宮の王太子の部屋へと入って行ったのである。二人は部屋に入るなり抱き合い、始めてしまったから、どうしよう?お互いの服を脱がせ合いっこしている。
どうする?どうする?出歯亀よろしく私たちは他人の情事を覗き見ることになるとは。
ま、マーガレットちゃんがこれで幸せなら、レイカとしては何も言うことがない。
そっと、私たちは部屋を出ることになり、聖女部屋に鍵をかけ、防音魔法とともに愛し合うことにしたのである。
クチュクチュと水音が響く中、心ゆくまで愛し合い。そのまま転移魔法を使い、菊池先輩を探しに行くことにする。
菊池先輩は、というとこちらも出歯亀をしていたのである。というか、ほとんど痴漢というべきか?透明人間になっていることを利用して娼館の部屋で果てた男の代わりに娼婦に跨っている。
「ばっかみたい。」
「東大生の品位を疑う。」
空間から突如聞こえてきた日本語に菊池先輩はうろたえる。
「この女を連れて行っていいか?」
「その女性、先輩のこと知ってるの?」
「たぶん、リリアーヌというんだ。」
「ふーん。いっそのこと帰らなくてもいいんじゃない?帰りたくないでしょ?」
「うーん。それもそうなんだが、リリアーヌと一緒にいられるのなら帰りたい。もう二度と夢幻の小説を改ざんしないから、返してよ、頼む。」
「わかったわ。それじゃ。」
「さっきの聖女部屋にあった紙とペンでさらさらと書く。」
気が付けば、私たちは、菊池先輩とリリアーヌさんもご一緒で、階段の下で落ちていたのである。
チャイムの主は郵便屋さんだった。書留が来ているらしくハンコを探して受け取った。差出人を見ると菊池先輩から出会った。
「どういうこと?」
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私たちは、両方の両親に紹介し合って、結婚を前提に付き合うことを認めてもらいました。医者は医者同士結婚するのが理想なので、小鳥遊さんのご両親からは、ずいぶん喜ばれました。ウチのお父さんは、ムスっとしていたけどね。まだ1年生、将来のことはわからないけど、順調に愛を育てていければいいなぁ。
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