1 / 33
1.
しおりを挟む
ピチャピチャ、パンっパんっ。
淫猥な音だけが響いている。
嬌声を上げることも許されないアリエールは必死に耐えている。もっとも嬌声や喘ぎ声を上げるなとは、強制されていないのだが……意地でも相手に感じていると知られたくないから我慢しているのだ。
でもカラダは、そんな意志に反して素直に反応している。
相手の男は、5歳の時から決まっている相手、王太子殿下のジークフリートだ。子供のころからの政略で無理やり婚約させられた相手なのだが、このジークフリート殿下からは、なぜか嫌われている。
ジークフリートは、さすがに王子様だけあり、銀色の髪の毛と銀色の瞳を持っていて、なかなかのイケメンだったから、アリエールは一目で恋に落ちてしまったのが、そもそもの間違いの始まり。
アリエールもその頃は今は、嫌われているかもしれないけれど、ずっと思い続けていれば、いつかは王子様もアリエールのことを好きになってくださる日が来ると信じて、恋焦がれてその日が来ることをずっと待っていたのだ。
でも、年頃になり性に興味が湧いた王子にとっては、相手の婚約者を抱く?犯す?行為は都合が良かったということだけで、抱かれている。
ジークフリートは、気持ちがいいのか、時折、くぐもった声を漏らしているが、行為の最中もその前後も愛の言葉はなく、いきなり「脱げ!」「足を開け!」「後ろを向いて、尻をつき出せ!」と命令口調ばかりなのだ。
つまりジークフリートの性欲処理係だというわけ。
ジークフリートの命令を鵜呑みにして、その通りにしても「はしたない女」「淫乱女」と罵られるばかりの毎日。妊娠はしないように、最初は王子から渡された避妊薬を飲んでいたが、薬を飲む行為そのものが嫌で、自分に避妊魔法と不感症魔法をかけてしまったのだ。だから別に無理に声を我慢しているわけではない。でないと、こんな屈辱に耐えられず、とうの昔に舌を噛みきって自害しているだろう。
お妃教育で、しょっちゅう王宮に出入りしていたアリエールは、昔はよくジークフリートの部屋に立ち寄り、「今日はこんなことを習った」などを報告がてらしていたのだが、あまりにも塩対応で結局は、泣いて帰るということが日常茶飯事だったのだ。
その関係が変わったのは、お妃教育で王妃は、どんな時も無表情でなければいけません、と習うようになってから、今までは初恋の相手だったジークフリートにまっすぐ自分の気持ちをぶつけていたが、それができなくなってしまってからだ。
お妃教育が終わっても、ジークフリートの部屋には寄らず、まっすぐ家へ帰るようになってから、急にジークフリートの部屋に連れ込まれるようになった。
もともと塩対応だったけど、まさか襲われるとは思っていなかったことに驚きは隠せない。最初、必死になって抵抗するも、男の力にはあっという間に組み伏せられ抵抗する術などない。
さすがに王太子からこんなひどい仕打ちをされていることは、誰にも言えない。
アリエールは、ルクセンブルク公爵家の一人娘で、すぐその上には1歳違いの兄がいるだけで、父公爵からは眼の中に入れてもいたくないと言われるほどの容姿。金髪でエメラルドグリーンの瞳を持つ、お人形のような容姿なのだ。
わざわざ政略で王太子殿下なんぞと婚約しなくても、いくらでも恋愛結婚できる容姿を持っているというのに、よりにもよってなんで、あんな王子の婚約者に選ばれたのか不可思議でたまらない。
それにどういうわけか魔法の才能だけは、人一倍強い。父方の曾祖母が聖女様だった血をそっくりそのままアリエールにだけ受け継がれているようだ。でも、このことは家族にも内緒にしている。
この国は聖女であることを知られてしまっては、自由に生きられない。曾祖母は、アリエールの秘められた才能をいち早く気づき、死ぬ間際にその魔力を隠すように遺言したのだ。
だからジークフリートから凌辱されても、不感症魔法と避妊魔法が守ってくれる。
淫猥な音だけが響いている。
嬌声を上げることも許されないアリエールは必死に耐えている。もっとも嬌声や喘ぎ声を上げるなとは、強制されていないのだが……意地でも相手に感じていると知られたくないから我慢しているのだ。
でもカラダは、そんな意志に反して素直に反応している。
相手の男は、5歳の時から決まっている相手、王太子殿下のジークフリートだ。子供のころからの政略で無理やり婚約させられた相手なのだが、このジークフリート殿下からは、なぜか嫌われている。
ジークフリートは、さすがに王子様だけあり、銀色の髪の毛と銀色の瞳を持っていて、なかなかのイケメンだったから、アリエールは一目で恋に落ちてしまったのが、そもそもの間違いの始まり。
アリエールもその頃は今は、嫌われているかもしれないけれど、ずっと思い続けていれば、いつかは王子様もアリエールのことを好きになってくださる日が来ると信じて、恋焦がれてその日が来ることをずっと待っていたのだ。
でも、年頃になり性に興味が湧いた王子にとっては、相手の婚約者を抱く?犯す?行為は都合が良かったということだけで、抱かれている。
ジークフリートは、気持ちがいいのか、時折、くぐもった声を漏らしているが、行為の最中もその前後も愛の言葉はなく、いきなり「脱げ!」「足を開け!」「後ろを向いて、尻をつき出せ!」と命令口調ばかりなのだ。
つまりジークフリートの性欲処理係だというわけ。
ジークフリートの命令を鵜呑みにして、その通りにしても「はしたない女」「淫乱女」と罵られるばかりの毎日。妊娠はしないように、最初は王子から渡された避妊薬を飲んでいたが、薬を飲む行為そのものが嫌で、自分に避妊魔法と不感症魔法をかけてしまったのだ。だから別に無理に声を我慢しているわけではない。でないと、こんな屈辱に耐えられず、とうの昔に舌を噛みきって自害しているだろう。
お妃教育で、しょっちゅう王宮に出入りしていたアリエールは、昔はよくジークフリートの部屋に立ち寄り、「今日はこんなことを習った」などを報告がてらしていたのだが、あまりにも塩対応で結局は、泣いて帰るということが日常茶飯事だったのだ。
その関係が変わったのは、お妃教育で王妃は、どんな時も無表情でなければいけません、と習うようになってから、今までは初恋の相手だったジークフリートにまっすぐ自分の気持ちをぶつけていたが、それができなくなってしまってからだ。
お妃教育が終わっても、ジークフリートの部屋には寄らず、まっすぐ家へ帰るようになってから、急にジークフリートの部屋に連れ込まれるようになった。
もともと塩対応だったけど、まさか襲われるとは思っていなかったことに驚きは隠せない。最初、必死になって抵抗するも、男の力にはあっという間に組み伏せられ抵抗する術などない。
さすがに王太子からこんなひどい仕打ちをされていることは、誰にも言えない。
アリエールは、ルクセンブルク公爵家の一人娘で、すぐその上には1歳違いの兄がいるだけで、父公爵からは眼の中に入れてもいたくないと言われるほどの容姿。金髪でエメラルドグリーンの瞳を持つ、お人形のような容姿なのだ。
わざわざ政略で王太子殿下なんぞと婚約しなくても、いくらでも恋愛結婚できる容姿を持っているというのに、よりにもよってなんで、あんな王子の婚約者に選ばれたのか不可思議でたまらない。
それにどういうわけか魔法の才能だけは、人一倍強い。父方の曾祖母が聖女様だった血をそっくりそのままアリエールにだけ受け継がれているようだ。でも、このことは家族にも内緒にしている。
この国は聖女であることを知られてしまっては、自由に生きられない。曾祖母は、アリエールの秘められた才能をいち早く気づき、死ぬ間際にその魔力を隠すように遺言したのだ。
だからジークフリートから凌辱されても、不感症魔法と避妊魔法が守ってくれる。
1
あなたにおすすめの小説
婚約辞退いたします。だってこの国、沈みますもの
鍛高譚
恋愛
「婚約はお断りいたします――この国は近い将来、崩壊しますので」
そう言い放ったのは、社交界でも目立たない子爵令嬢、マリン・アクアリウム。
ある日、とある舞踏会に突如現れた王太子ガイア殿下。
誰もが驚く中、なんと彼はマリンに婚約を申し出る。
周囲は騒然。「子爵令嬢が王太子妃!?」「断る理由などないはず!」
――だが、彼女は断った。「この国は、もうすぐ滅びます」――と。
そんな不吉な言葉を口にしたことで、彼女は“狂言癖のある嘘つき令嬢”と噂され、
家族にさえ見放され、ついには国外追放の身に。
だが、彼女の予言は本物だった――
数年後、王国に未曾有の大災厄が迫る。
国土が崩れ、海に沈む都市。人々が絶望する中、思い出されるのは、
あの舞踏会でただひとり“滅び”を告げた少女の名。
「彼女なら、この国を救えるかもしれない……」
皮肉にも“追放令嬢”マリンは、再び王都に呼び戻され、
滅びゆく国で最後の希望として担ぎ上げられる。
信じてもらえなかった過去。
それでも人々の命を守ろうと奔走するマリン。
そして、王子ガイアが差し伸べた、あの日と変わらぬ手。
――たとえ国が滅んでも、あなたとともに歩んでいきたい。
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる