10 / 33
10.
しおりを挟む
「話は、承知した。それでアリエールは、どうしたいのだ?」
「この国に居たら、また王家につかまってしまいそうで、怖いので母の祖父母が住む隣国に行きたいです。」
「同じ相手と二度も婚約はできないことは、誓約魔法でなくても、我が国の法律で決まっているが平気で婚前交渉に踏み切るバカには理解できないことだろうな。」
「なるほどな。それで王家では一人しか王子が生まれないのか。先にアリエールの婚約が決まったから、俺はいまだに婚約者がいないままだけど、却って、それがよかったことなのかもしれないな。そんな誓約魔法をされたら、たまったもんじゃない。」
エドワード兄さまは肩をすぼめてみせる。
「浮気防止のためとはいえ、フリーチェお婆様も、いくらなんでもやり過ぎだ。」
「絶倫だが、浮気できないカラダも困ったものだな。妃以外の女とできないというのもな。これは慎重に妃を選ばなければ、ひどい目に遭うかもしれないってことだな。」
「なんでも聖女フリーチェ様は、7人兄弟の末娘で、上の御兄弟はすべて異母兄弟であったといわれるから、きっと絶倫は、曾々祖父の遺伝子なのよ。」
それからというもの、隠密裏にアリエールの脱出計画は進められる。
ルクセンブルク家では、アリエールが脱出してから、生き返ったことを公表するつもりで、それまでは使用人にかん口令を敷いている。
アリエールは生き返ってから、ドレスを着ようにも胸がゴソゴソで、今までさんざんジークフリートに弄ばれていた胸ではないから、サイズが小さいままなのだ。でもそのドレスはお気に入りのピンクのフリルとリボンがふんだんにあしらわれているものだから、なんとかバストを大きくして、着られるようにしたい。
風呂場で、侍女の目を盗んでいくら自分で揉みしだいても、一向に大きくならない。
でも「胸だけ揉んで」なんてこと、誰にも言えないし、頼めない。ドレスを取るか、胸を取るか、3年待てば元通りのバストサイズに戻るはず。でも、清いカラダのままなら戻らないかもしれない。
悶々と悩んでいると夢に、ステファニー女神様が現れ、18歳の頃の肉体を修復したから、これを着る?と言われて、大きく頷く。
自殺で受けた衝撃をすべて自殺前のカラダに戻して、処女膜は再生し、清いカラダに戻したということなので、安心する。
女神様が言われるには、聖女様の力があれば、何度でも膜は再生できるものらしい。だから、気に入った男がいれば、味見を兼ねて何度でもカラダを重ねていいということ。でも今までのお妃教育とは、真逆の提案に驚き、躊躇は隠せない。
「あのね。地上では妙な倫理観があるけど、そもそも神界のほうが淫らよ。オーガズムは決して悪いことではないの。女性は感じてこそ清らかなオーラを纏えるものなのよ。だからジークフリートは罰せられてしかるべきってことなのよ。」
「とことん男を求めて、生命力あふれるオーラを身に着けて頂戴。出なければ、アリエールを生き返らせた意味がないもの。」
言われてみればその通りで、ジークフリートに凌辱されている間、ずっと死にたいという自殺願望があった。あれは、一度もイっていないから、ただ犯されて怖かったことと不快だっただけ。
元より愛されてもいない男からの愛撫は、気持ち悪いだけ。そんなものバストが大きくなろうがならないであろうが、絶対触られたくないものだから。
翌日、お気に入りのドレスに身を纏ったアリエールは、隣国に向け出発する。侍女は、元からのアリエール専属だったミランダ。子爵家の娘で行儀見習いとして仕えてきてくれている。
「本当に、隣国について来てくれていいの?」
「もちろんですわよ。お嬢様と共に隣国へ行けて、最高に嬉しゅうございます。」
他に護衛の騎士が2人ついて来てくれることになったのだが、途中で、騎士が着替えているところをたまたま見てしまったアリエールは、その筋肉に一目惚れしてしまい、いつか必ずあの筋肉に抱かれたいと思うようになったことは言うまでもない。
だって、ジークフリートなどと比べ物にならないぐらい胸板が厚かったのですもの。馬車で揺られている最中、ひとりでニヤニヤしていたら、ミランダに怪訝そうな顔で見られ恥ずかしくなる。
すべては生命力あふれる清らかなオーラのためよ。と内心、言い訳をする。
「この国に居たら、また王家につかまってしまいそうで、怖いので母の祖父母が住む隣国に行きたいです。」
「同じ相手と二度も婚約はできないことは、誓約魔法でなくても、我が国の法律で決まっているが平気で婚前交渉に踏み切るバカには理解できないことだろうな。」
「なるほどな。それで王家では一人しか王子が生まれないのか。先にアリエールの婚約が決まったから、俺はいまだに婚約者がいないままだけど、却って、それがよかったことなのかもしれないな。そんな誓約魔法をされたら、たまったもんじゃない。」
エドワード兄さまは肩をすぼめてみせる。
「浮気防止のためとはいえ、フリーチェお婆様も、いくらなんでもやり過ぎだ。」
「絶倫だが、浮気できないカラダも困ったものだな。妃以外の女とできないというのもな。これは慎重に妃を選ばなければ、ひどい目に遭うかもしれないってことだな。」
「なんでも聖女フリーチェ様は、7人兄弟の末娘で、上の御兄弟はすべて異母兄弟であったといわれるから、きっと絶倫は、曾々祖父の遺伝子なのよ。」
それからというもの、隠密裏にアリエールの脱出計画は進められる。
ルクセンブルク家では、アリエールが脱出してから、生き返ったことを公表するつもりで、それまでは使用人にかん口令を敷いている。
アリエールは生き返ってから、ドレスを着ようにも胸がゴソゴソで、今までさんざんジークフリートに弄ばれていた胸ではないから、サイズが小さいままなのだ。でもそのドレスはお気に入りのピンクのフリルとリボンがふんだんにあしらわれているものだから、なんとかバストを大きくして、着られるようにしたい。
風呂場で、侍女の目を盗んでいくら自分で揉みしだいても、一向に大きくならない。
でも「胸だけ揉んで」なんてこと、誰にも言えないし、頼めない。ドレスを取るか、胸を取るか、3年待てば元通りのバストサイズに戻るはず。でも、清いカラダのままなら戻らないかもしれない。
悶々と悩んでいると夢に、ステファニー女神様が現れ、18歳の頃の肉体を修復したから、これを着る?と言われて、大きく頷く。
自殺で受けた衝撃をすべて自殺前のカラダに戻して、処女膜は再生し、清いカラダに戻したということなので、安心する。
女神様が言われるには、聖女様の力があれば、何度でも膜は再生できるものらしい。だから、気に入った男がいれば、味見を兼ねて何度でもカラダを重ねていいということ。でも今までのお妃教育とは、真逆の提案に驚き、躊躇は隠せない。
「あのね。地上では妙な倫理観があるけど、そもそも神界のほうが淫らよ。オーガズムは決して悪いことではないの。女性は感じてこそ清らかなオーラを纏えるものなのよ。だからジークフリートは罰せられてしかるべきってことなのよ。」
「とことん男を求めて、生命力あふれるオーラを身に着けて頂戴。出なければ、アリエールを生き返らせた意味がないもの。」
言われてみればその通りで、ジークフリートに凌辱されている間、ずっと死にたいという自殺願望があった。あれは、一度もイっていないから、ただ犯されて怖かったことと不快だっただけ。
元より愛されてもいない男からの愛撫は、気持ち悪いだけ。そんなものバストが大きくなろうがならないであろうが、絶対触られたくないものだから。
翌日、お気に入りのドレスに身を纏ったアリエールは、隣国に向け出発する。侍女は、元からのアリエール専属だったミランダ。子爵家の娘で行儀見習いとして仕えてきてくれている。
「本当に、隣国について来てくれていいの?」
「もちろんですわよ。お嬢様と共に隣国へ行けて、最高に嬉しゅうございます。」
他に護衛の騎士が2人ついて来てくれることになったのだが、途中で、騎士が着替えているところをたまたま見てしまったアリエールは、その筋肉に一目惚れしてしまい、いつか必ずあの筋肉に抱かれたいと思うようになったことは言うまでもない。
だって、ジークフリートなどと比べ物にならないぐらい胸板が厚かったのですもの。馬車で揺られている最中、ひとりでニヤニヤしていたら、ミランダに怪訝そうな顔で見られ恥ずかしくなる。
すべては生命力あふれる清らかなオーラのためよ。と内心、言い訳をする。
1
あなたにおすすめの小説
婚約辞退いたします。だってこの国、沈みますもの
鍛高譚
恋愛
「婚約はお断りいたします――この国は近い将来、崩壊しますので」
そう言い放ったのは、社交界でも目立たない子爵令嬢、マリン・アクアリウム。
ある日、とある舞踏会に突如現れた王太子ガイア殿下。
誰もが驚く中、なんと彼はマリンに婚約を申し出る。
周囲は騒然。「子爵令嬢が王太子妃!?」「断る理由などないはず!」
――だが、彼女は断った。「この国は、もうすぐ滅びます」――と。
そんな不吉な言葉を口にしたことで、彼女は“狂言癖のある嘘つき令嬢”と噂され、
家族にさえ見放され、ついには国外追放の身に。
だが、彼女の予言は本物だった――
数年後、王国に未曾有の大災厄が迫る。
国土が崩れ、海に沈む都市。人々が絶望する中、思い出されるのは、
あの舞踏会でただひとり“滅び”を告げた少女の名。
「彼女なら、この国を救えるかもしれない……」
皮肉にも“追放令嬢”マリンは、再び王都に呼び戻され、
滅びゆく国で最後の希望として担ぎ上げられる。
信じてもらえなかった過去。
それでも人々の命を守ろうと奔走するマリン。
そして、王子ガイアが差し伸べた、あの日と変わらぬ手。
――たとえ国が滅んでも、あなたとともに歩んでいきたい。
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
働きませんわ。それでも王妃になります
鷹 綾
恋愛
「私は働きませんわ」
そう宣言して、王太子から婚約破棄された公爵令嬢エルフィーナ。
社交もしない。慈善もしない。政務にも口を出さない。
“怠け者令嬢”と陰で囁かれる彼女を、王太子アレクシスは「王妃に相応しくない」と切り捨てた。
――だが彼は知らなかった。
彼女が動かないからこそ、王家は自力で立つことを覚えたのだということを。
エルフィーナは何もしない。
ただ保証を更新せず、支援を継続せず、静かに席を外すだけ。
その結果――
王家は自らの足で立つことを強いられ、王太子は“誰の力にも頼らない王”へと変わっていく。
やがて外圧が王国を揺らしたとき、彼は気づく。
支配でも依存でもなく、並んで立てる存在が誰だったのかを。
「君と並びたい」
差し出されたのは、甘い救済ではない。
対等という選択。
それでも彼女の答えは変わらない。
「私は働きませんわ」
働かない。
支配しない。
けれど、逃げもしない。
これは――
働かないまま王妃になる、公爵令嬢の静かなざまあ恋愛譚。
優雅で、合理的で、そしてどこまでも強い。
“何もしない”という最強の選択が、王国を変えていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる