聖女のひ孫~婚約破棄されたのなら自由に生きます

青の雀

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 「話は、承知した。それでアリエールは、どうしたいのだ?」

 「この国に居たら、また王家につかまってしまいそうで、怖いので母の祖父母が住む隣国に行きたいです。」

 「同じ相手と二度も婚約はできないことは、誓約魔法でなくても、我が国の法律で決まっているが平気で婚前交渉に踏み切るバカには理解できないことだろうな。」

 「なるほどな。それで王家では一人しか王子が生まれないのか。先にアリエールの婚約が決まったから、俺はいまだに婚約者がいないままだけど、却って、それがよかったことなのかもしれないな。そんな誓約魔法をされたら、たまったもんじゃない。」

 エドワード兄さまは肩をすぼめてみせる。

 「浮気防止のためとはいえ、フリーチェお婆様も、いくらなんでもやり過ぎだ。」

 「絶倫だが、浮気できないカラダも困ったものだな。妃以外の女とできないというのもな。これは慎重に妃を選ばなければ、ひどい目に遭うかもしれないってことだな。」

 「なんでも聖女フリーチェ様は、7人兄弟の末娘で、上の御兄弟はすべて異母兄弟であったといわれるから、きっと絶倫は、曾々祖父の遺伝子なのよ。」

 それからというもの、隠密裏にアリエールの脱出計画は進められる。

 ルクセンブルク家では、アリエールが脱出してから、生き返ったことを公表するつもりで、それまでは使用人にかん口令を敷いている。

 アリエールは生き返ってから、ドレスを着ようにも胸がゴソゴソで、今までさんざんジークフリートに弄ばれていた胸ではないから、サイズが小さいままなのだ。でもそのドレスはお気に入りのピンクのフリルとリボンがふんだんにあしらわれているものだから、なんとかバストを大きくして、着られるようにしたい。

 風呂場で、侍女の目を盗んでいくら自分で揉みしだいても、一向に大きくならない。

 でも「胸だけ揉んで」なんてこと、誰にも言えないし、頼めない。ドレスを取るか、胸を取るか、3年待てば元通りのバストサイズに戻るはず。でも、清いカラダのままなら戻らないかもしれない。

 悶々と悩んでいると夢に、ステファニー女神様が現れ、18歳の頃の肉体を修復したから、これを着る?と言われて、大きく頷く。

 自殺で受けた衝撃をすべて自殺前のカラダに戻して、処女膜は再生し、清いカラダに戻したということなので、安心する。

 女神様が言われるには、聖女様の力があれば、何度でも膜は再生できるものらしい。だから、気に入った男がいれば、味見を兼ねて何度でもカラダを重ねていいということ。でも今までのお妃教育とは、真逆の提案に驚き、躊躇は隠せない。

 「あのね。地上では妙な倫理観があるけど、そもそも神界のほうが淫らよ。オーガズムは決して悪いことではないの。女性は感じてこそ清らかなオーラを纏えるものなのよ。だからジークフリートは罰せられてしかるべきってことなのよ。」

 「とことん男を求めて、生命力あふれるオーラを身に着けて頂戴。出なければ、アリエールを生き返らせた意味がないもの。」

 言われてみればその通りで、ジークフリートに凌辱されている間、ずっと死にたいという自殺願望があった。あれは、一度もイっていないから、ただ犯されて怖かったことと不快だっただけ。

 元より愛されてもいない男からの愛撫は、気持ち悪いだけ。そんなものバストが大きくなろうがならないであろうが、絶対触られたくないものだから。

 翌日、お気に入りのドレスに身を纏ったアリエールは、隣国に向け出発する。侍女は、元からのアリエール専属だったミランダ。子爵家の娘で行儀見習いとして仕えてきてくれている。

 「本当に、隣国について来てくれていいの?」

 「もちろんですわよ。お嬢様と共に隣国へ行けて、最高に嬉しゅうございます。」

 他に護衛の騎士が2人ついて来てくれることになったのだが、途中で、騎士が着替えているところをたまたま見てしまったアリエールは、その筋肉に一目惚れしてしまい、いつか必ずあの筋肉に抱かれたいと思うようになったことは言うまでもない。

 だって、ジークフリートなどと比べ物にならないぐらい胸板が厚かったのですもの。馬車で揺られている最中、ひとりでニヤニヤしていたら、ミランダに怪訝そうな顔で見られ恥ずかしくなる。

 すべては生命力あふれる清らかなオーラのためよ。と内心、言い訳をする。
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