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翌日、アムステルダム公爵である伯父様が、魔法大学の案内状を持ってきてくれた。もう今年度の入試は終わっているらしく、1年待つのは大変だから、まずは聴講生として入学してみて、簡単なテストを受け魔力の状態などを鑑みて、2~3か月遅れで正式な学生になるのはどうかと提案してくれる。
もちろん聴講生として大学に行っている間の出席日数やレポートなどは、後日正式な学生になった時に加算されるから、先に聴講生として体験入学してみたらどうかという話だったのだ。
それはアリエールにとっても、願ってもない話で、すぐに承諾のサインをする。
「なんなら、これから大学へ行ってみる?レオナルドが2年生の籍を置いている。案内させるよ。」
叔父様は、ニコニコ顔でそう言ってくださるものだから、思わず頷いてしまう。
大学へ行ってみると、アリエールが知っている通っていた高等学園とは比べ物にならないぐらい規模が大きい。
教室も階段形式で後ろの席にいても、前の黒板が良く見える。
何よりも、学生が大勢いて皆楽しそうに笑っている。この大学は、ハーバムルトの王立大学で授業料は格安で、学食は何をどれだけ食べてもすべて無料と言うから驚く。
正門でレオナルドを待っていると、金髪で金の瞳を持った学生が声をかけてきた。
「君、新入生?可愛いね。お茶でもする?」
げ!いきなりナンパ?さすが大学生になれば、こんなこともあるのか?でも胸元から覗く胸板は厚そうで、タイプかも?
女神様は、気に入った男なら誰でも何度でも、味見すればいいとおっしゃっていたけど、いきなり押し倒すわけにはいかない。
ドキドキしながら、どうしようかと迷っていたら、レオナルドが馬車から降り、走って来てくれて
「ごめん。ごめん。待たせたね。」
「あれ?この娘、レオ(ナルド)の新しいカノジョ?」
さっきの金髪が、レオナルド兄さまに親し気に話しかける。
「あ、新しいというなよ!この娘は、俺の従兄妹のアリエール嬢だ。隣国から魔法留学のため来たのさ。」
「通りで。ずいぶんキラキラした綺麗な娘がいると思ったよ。紹介してくれよ。」
「あ、ああ。こちらは……。」
紹介してくれと言った金髪は、レオナルドの言葉を遮り。
「グレゴリーだ。アリエール嬢、お会いできて光栄です。」
いきなり、アリエールの前に跪いて、手の甲にキスをする。
っ!なんなの……この男性、かっこよすぎる!
さっき、鳴りやまった心臓の音がうるさいほどドキドキ聞こえてくる。それだけで真っ赤になってしまう。
それから3人で、大学施設を回り、いろいろ案内をしてくれる。
実は、レオナルドが来る前に一通り見た、とはとても言えない。
レオナルドとグレゴリーは同い年で幼馴染だということがわかる。
「それなら、大昔に会ったことがあるかもしれませんわね。」
「大昔と言うと……?」
「15年ぐらい前かな?お城みたいな大きな植え込みの迷路があったところでかくれんぼしたことがあるわ。」
「そういえば……、アリエールがオニになったのはいいが、迷子になって泣きながら俺たちを探していたら、城の人に保護されたことがあったな。あの後、親父からこっぴどく叱られたことを覚えているよ。」
「ええ!あの時の女の子が……、アリエール嬢?ずいぶん美しくなったね。誰かわからなかったよ。」
「ありがとう存じます。」
「そう言えば、あの時、大きくなったらグレゴ兄さまのお嫁様になるって、言ってくれてたけど、アレはまだ生きているか?」
「え⁉ うそ?そんなこと言った?」
どこをどう探しても、そんな記憶はない。でも、絶対言っていないという確証もない。
「あはは。やっぱり、忘れられていたか?だったら、15年ぶりに結婚というのは、無理があるかもしれないから、少し俺と付き合ってみないか?レオ、いいだろ?」
レオナルド兄様は、黙って頷く。
「……わたくしでよければ……。」
「いいに決まってるじゃないか。こんな美人、他の奴らに渡すものか。」
正式な聴講生になってから、いつもグレゴリー様がアリエールの番犬のように、行動を共にしてくださるようになったのだ。
いつも優しくエスコートしてくださり、「アリエール綺麗だ。愛しているよ。」を挨拶同然、連発してくださる。
初対面の時は、アリエールが押し倒すつもりでいたのだが、今はいつアリエールを押し倒してくださるかを心待ちにするようになっていく。
もちろん聴講生として大学に行っている間の出席日数やレポートなどは、後日正式な学生になった時に加算されるから、先に聴講生として体験入学してみたらどうかという話だったのだ。
それはアリエールにとっても、願ってもない話で、すぐに承諾のサインをする。
「なんなら、これから大学へ行ってみる?レオナルドが2年生の籍を置いている。案内させるよ。」
叔父様は、ニコニコ顔でそう言ってくださるものだから、思わず頷いてしまう。
大学へ行ってみると、アリエールが知っている通っていた高等学園とは比べ物にならないぐらい規模が大きい。
教室も階段形式で後ろの席にいても、前の黒板が良く見える。
何よりも、学生が大勢いて皆楽しそうに笑っている。この大学は、ハーバムルトの王立大学で授業料は格安で、学食は何をどれだけ食べてもすべて無料と言うから驚く。
正門でレオナルドを待っていると、金髪で金の瞳を持った学生が声をかけてきた。
「君、新入生?可愛いね。お茶でもする?」
げ!いきなりナンパ?さすが大学生になれば、こんなこともあるのか?でも胸元から覗く胸板は厚そうで、タイプかも?
女神様は、気に入った男なら誰でも何度でも、味見すればいいとおっしゃっていたけど、いきなり押し倒すわけにはいかない。
ドキドキしながら、どうしようかと迷っていたら、レオナルドが馬車から降り、走って来てくれて
「ごめん。ごめん。待たせたね。」
「あれ?この娘、レオ(ナルド)の新しいカノジョ?」
さっきの金髪が、レオナルド兄さまに親し気に話しかける。
「あ、新しいというなよ!この娘は、俺の従兄妹のアリエール嬢だ。隣国から魔法留学のため来たのさ。」
「通りで。ずいぶんキラキラした綺麗な娘がいると思ったよ。紹介してくれよ。」
「あ、ああ。こちらは……。」
紹介してくれと言った金髪は、レオナルドの言葉を遮り。
「グレゴリーだ。アリエール嬢、お会いできて光栄です。」
いきなり、アリエールの前に跪いて、手の甲にキスをする。
っ!なんなの……この男性、かっこよすぎる!
さっき、鳴りやまった心臓の音がうるさいほどドキドキ聞こえてくる。それだけで真っ赤になってしまう。
それから3人で、大学施設を回り、いろいろ案内をしてくれる。
実は、レオナルドが来る前に一通り見た、とはとても言えない。
レオナルドとグレゴリーは同い年で幼馴染だということがわかる。
「それなら、大昔に会ったことがあるかもしれませんわね。」
「大昔と言うと……?」
「15年ぐらい前かな?お城みたいな大きな植え込みの迷路があったところでかくれんぼしたことがあるわ。」
「そういえば……、アリエールがオニになったのはいいが、迷子になって泣きながら俺たちを探していたら、城の人に保護されたことがあったな。あの後、親父からこっぴどく叱られたことを覚えているよ。」
「ええ!あの時の女の子が……、アリエール嬢?ずいぶん美しくなったね。誰かわからなかったよ。」
「ありがとう存じます。」
「そう言えば、あの時、大きくなったらグレゴ兄さまのお嫁様になるって、言ってくれてたけど、アレはまだ生きているか?」
「え⁉ うそ?そんなこと言った?」
どこをどう探しても、そんな記憶はない。でも、絶対言っていないという確証もない。
「あはは。やっぱり、忘れられていたか?だったら、15年ぶりに結婚というのは、無理があるかもしれないから、少し俺と付き合ってみないか?レオ、いいだろ?」
レオナルド兄様は、黙って頷く。
「……わたくしでよければ……。」
「いいに決まってるじゃないか。こんな美人、他の奴らに渡すものか。」
正式な聴講生になってから、いつもグレゴリー様がアリエールの番犬のように、行動を共にしてくださるようになったのだ。
いつも優しくエスコートしてくださり、「アリエール綺麗だ。愛しているよ。」を挨拶同然、連発してくださる。
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