前世調理師の婚約破棄された公爵令嬢料理人録 B級グルメで王太子殿下の胃袋を掴めるように頑張ります!

青の雀

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2 ぶり大根

 ミルフィーユの店は新装開店したのである。

 さて、今日は何を作ろうかしら。

 ミルフィーユは前世記憶を取り戻してから、必要な食材、調理器具は思い浮かべるだけで手に入るようになったのである。
 たとえば、圧力鍋があったら便利なのに、思うだけで知らない間に圧力鍋が手に入っていた、お米が欲しいと願うだけで、知らない間にコシヒカリが5kg入りの袋が10袋足元に転がっているという状態である。

 今日は前世の息子が好きだったお大根を使った料理、おでんにぶり大根、お揚げと大根の炊いたものの3種類を作ろうと思っている。大根餅もいいかもしれない。
 昨日、圧力鍋が手に入ったから♪

 大根は米ぬかもしくは米のとぎ汁でまず湯がく。それをそれぞれに出汁ないしは味付けして、もう一度焚くのだけど、いったん冷まさなければいけない。非常に手が込んでいると言えば、込んでいるのよ。大根は冷めていく過程で味がしみ込むからである。

 湯がく時間を圧力鍋で短縮するということ。
 ぶり大根と言えば、やっぱり日本酒よね。あといろいろお酒を思い浮かべたらケース単位でビールに焼酎、ウィスキー、ブランデー、シャンパン、ワインが出てきたのである。これなら、カフェバーができそうね。

 お大根に味が染みているうちに、息子の好きなお菓子作りを始める。シュークリームにマカロン、パイ生地と思っていたら、冷凍のパイ生地がいつの間にかある。これでパイ生地を使ったスープもできるわ。
 名前にちなんで、ミルフィーユとマドレーヌを作ることにした。ミルフィーユは結構邪魔くさい。ついでに姉のショコラティエも作ろう。

 今日は、ファミリー客が多いので、ちょうどいいわ。デザートが充実している。

 お忍びで姉夫婦が来てくれた。お忍びと言っても騎士の護衛がぞろぞろついて来たので目立って仕方がないわ。

 仕方なく、2階の個室へ案内する。
 姉の名前のお菓子を作ったからと提供したら、大喜びされてしまって、今度のお茶会に使うからと1000個もご注文いただけたわよ、ついでにマドレーヌとミルフィーユを出したら、これ贈答用にテイクアウトしたら、売れるわよ。と言われたので、検討することにしたわ。

 実はね、こんなものもあるのよ。シュークリームとマカロンも出すと「かわいい」次のお茶会までにまた1000個ずつ追加注文いただけましたわ。

 そういえば、前世ニッポンの記憶によれば、マカロンが作れるおもちゃが売っていたような気がする。ウチの息子は、料理屋の息子のせいか、女の子のような調理できるおもちゃを欲しがったわ。普通は、電車、バス、乗り物が多いでしょう。それなのに、調理器具を欲しがったわね。カエルの子はカエル、ってことかしら。

 前世ニッポン人だった記憶は、料理を作っていたことしか、記憶にないわ。自分の名前も旦那の名前も息子の名前も何もかも忘れている。ただ、店が千利休の時代からある老舗だったことは、覚えている。当然、店の名前も覚えていない。

 大根に味が染みたころ、次々とお客様が来られた。お酒とぶり大根を一緒に提供したら、「うまい!」「もっと、酒をくれ!」

 お料理とお酒はセットにして出すべきね。女性や小さいお子さんは、ダメだけど。そのうち、お酒だけ(付きだしはセットするけど)でのオーダーも増えてくる。店内でトラブルになっても、公爵家の護衛の騎士が常駐してくれているから、安心です。

 お酒だけのオーダーは、やめようか?お料理とセットでないと酔っ払いに来られても困るから。

 そう思っていたところに、仕事帰りに衛兵や騎士が大挙して押し寄せてきたのである。今まで、お酒を飲んで騒いでいた連中が、あっという間に静かに飲んでくれるようになって助かったわ。

 どうやら、義兄が宣伝してくれたみたいで、この店の料理はお酒とともに美味しい。と聞いてきた、とわんさか来てくれたのである。

 この日から毎日、仕事帰りに来てくれるようになったので、もう店の中でトラブルを起こす人もいなくなり、安泰になります。

 王宮内に、割引券でもおこうかしら。
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