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5待ち伏せ
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紗々は、香典返しの住所から裕介の新しい住所を知る。
都心から2時間もかかる郊外だということがわかり、官舎をそのままに、その街にベースキャンプとなるような物件を探す。
当初購入予定だったのだが、3年間の期限付きで一軒家を借りられることになり、そこをベースキャンプとすることに決める。
そこの家主さんが、3年間海外赴任のため、家を空けるので、帰国するまでと言う条件。
家の中にある家具は自由に使ってもよいという条件も好都合。家に風を通すということが唯一の条件で、そんなもの、住んでいたら窓ぐらい開けるって、普通。
家はいくら窓を開け風邪を通していても、住まなければすぐ廃墟になってしまう。家主さんは、そのことを知っていて、格安で貸してくださるという。
でもベッドだけは、ちょっと……と言う気があり、新調した。
主に金曜の夜から月曜日の朝までその郊外で過ごし、月曜の夜から金曜日の朝までは官舎で過ごすという二重生活を始める。
裕介の身辺調査をした結果、行きつけの居酒屋があることがわかる。どうやら、鈴は料理が下手で、ほとんど外食に頼らざるを得ないらしい。
それでも毎晩のようには、さすがに外食は金銭的に続かない。普段は冷凍食品をチンするだけの食事で、週末だけ通っているということがわかる。
それで金曜日の夜には、紗々もその店に出入りするようにした。店主は一人暮らしの紗々に何かと気を使ってくれる。
男性ばかりの客から遠ざけ、カップルや女性客だけの席に近づけてくれる。
店で何度か、佐倉夫婦と鉢合わせたことがあったけど、裕介はこちらを見てくるだけで何も反応がない。
どうやったら、お近づきになれるのか?と思っていたら、思いがけなく鈴のほうが先に声をかけてきたのだ。
「ねぇ、アナタ、いつも一人で来ているけど、彼氏いないの?」
「つい最近、彼氏と別れて、同じ街に暮らすのがはばかられ、引っ越してきました。」
「へぇ!アナタみたいな美人さんでもフラれることがあるの?ウチは新婚で、この街に越してきたばかりなの。良かったらお友達になってくれない?」
なんで?紗々がフラれたと一方的に決めつけるの?幸せマウントを取っているつもりかしら?
「ええ。喜んで。」
それから裕介を交えて、3人は夜遅くまで語り合う。
次の日、ランチの約束をして、そのまま別れる。なんとなく見せつけられたようで気分が悪い。
でも、あの二人を地獄に叩き落とすまでは、頑張るしかない。
それからは、毎週のように金曜日の夜は、3人で居酒屋に合流して、土曜日は鈴とランチへ行き、ショッピングに行くようになったのだ。
「わぁ、ステキ。すずさん専業主婦なんだ。いいなぁ。」
鈴は勝ち誇ったような顔で、旦那はバツイチで、前の奥さんとは共働きだったので、『俺だけの鈴でいてくれって。』女性が外で働いていると、いろいろ誘惑があるでしょ?」
「ええ?では、旦那さんの離婚原因って、もしかしたら奥様の浮気だったりして?」
「ああ、それはない。むしろ逆。だって、旦那の前の奥さん、すごいブスなのよ。それであんなブスにもったいないと思って、盗っちゃった。」
「え?それって、略奪婚?かっこいいわね。」
お前がその手で殺した被害者のことを「ブス」と呼ぶな!殺すだけでは飽き足らず、イジメ、不倫、殺人と4度も侮辱しているなど、許されざる行為。
紗々は腸が煮えくり返るような思いをしているのに、そうとは気づかず、鈴は
「前の奥さん高校時代からの同級生でね。ブスのくせに成績だけ良くて、腹が立ったからイジメたのよ。旦那に聞かれたとき、『なんでもできる桜、あ、前の奥さんの名前ね。桜のことが羨ましくて、ついやってしまった』というと、「そうか」でそれ以上詮索されなかったのよ。」
都心から2時間もかかる郊外だということがわかり、官舎をそのままに、その街にベースキャンプとなるような物件を探す。
当初購入予定だったのだが、3年間の期限付きで一軒家を借りられることになり、そこをベースキャンプとすることに決める。
そこの家主さんが、3年間海外赴任のため、家を空けるので、帰国するまでと言う条件。
家の中にある家具は自由に使ってもよいという条件も好都合。家に風を通すということが唯一の条件で、そんなもの、住んでいたら窓ぐらい開けるって、普通。
家はいくら窓を開け風邪を通していても、住まなければすぐ廃墟になってしまう。家主さんは、そのことを知っていて、格安で貸してくださるという。
でもベッドだけは、ちょっと……と言う気があり、新調した。
主に金曜の夜から月曜日の朝までその郊外で過ごし、月曜の夜から金曜日の朝までは官舎で過ごすという二重生活を始める。
裕介の身辺調査をした結果、行きつけの居酒屋があることがわかる。どうやら、鈴は料理が下手で、ほとんど外食に頼らざるを得ないらしい。
それでも毎晩のようには、さすがに外食は金銭的に続かない。普段は冷凍食品をチンするだけの食事で、週末だけ通っているということがわかる。
それで金曜日の夜には、紗々もその店に出入りするようにした。店主は一人暮らしの紗々に何かと気を使ってくれる。
男性ばかりの客から遠ざけ、カップルや女性客だけの席に近づけてくれる。
店で何度か、佐倉夫婦と鉢合わせたことがあったけど、裕介はこちらを見てくるだけで何も反応がない。
どうやったら、お近づきになれるのか?と思っていたら、思いがけなく鈴のほうが先に声をかけてきたのだ。
「ねぇ、アナタ、いつも一人で来ているけど、彼氏いないの?」
「つい最近、彼氏と別れて、同じ街に暮らすのがはばかられ、引っ越してきました。」
「へぇ!アナタみたいな美人さんでもフラれることがあるの?ウチは新婚で、この街に越してきたばかりなの。良かったらお友達になってくれない?」
なんで?紗々がフラれたと一方的に決めつけるの?幸せマウントを取っているつもりかしら?
「ええ。喜んで。」
それから裕介を交えて、3人は夜遅くまで語り合う。
次の日、ランチの約束をして、そのまま別れる。なんとなく見せつけられたようで気分が悪い。
でも、あの二人を地獄に叩き落とすまでは、頑張るしかない。
それからは、毎週のように金曜日の夜は、3人で居酒屋に合流して、土曜日は鈴とランチへ行き、ショッピングに行くようになったのだ。
「わぁ、ステキ。すずさん専業主婦なんだ。いいなぁ。」
鈴は勝ち誇ったような顔で、旦那はバツイチで、前の奥さんとは共働きだったので、『俺だけの鈴でいてくれって。』女性が外で働いていると、いろいろ誘惑があるでしょ?」
「ええ?では、旦那さんの離婚原因って、もしかしたら奥様の浮気だったりして?」
「ああ、それはない。むしろ逆。だって、旦那の前の奥さん、すごいブスなのよ。それであんなブスにもったいないと思って、盗っちゃった。」
「え?それって、略奪婚?かっこいいわね。」
お前がその手で殺した被害者のことを「ブス」と呼ぶな!殺すだけでは飽き足らず、イジメ、不倫、殺人と4度も侮辱しているなど、許されざる行為。
紗々は腸が煮えくり返るような思いをしているのに、そうとは気づかず、鈴は
「前の奥さん高校時代からの同級生でね。ブスのくせに成績だけ良くて、腹が立ったからイジメたのよ。旦那に聞かれたとき、『なんでもできる桜、あ、前の奥さんの名前ね。桜のことが羨ましくて、ついやってしまった』というと、「そうか」でそれ以上詮索されなかったのよ。」
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