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「どなたか来ていらっしゃるのかしら?」
「アンタがロッテンマイヤー公爵夫人ね!私は、アンタの旦那の最愛の女性よ。ベルディと言うの。覚えといて頂戴」
「まあ!旦那様が、外に女の人を作っていらしたのね!信じられないけど、ベルディ様がそうおっしゃるのなら、そうかもしれないわね」
母は、スカーレットの姿を見つけると手招きをした。仕方なく、スカーレットは、父の妾となる第2夫人!?のベルディに淑女の礼を取る。
「はじめまして。ロッテンマイヤー家の長女スカーレットと申します」
「あっああ、貴女が第1王子様とご婚約されているお嬢様ですね。お噂はかねがね……公爵様から、娘が外国へ行ってしまうので、屋敷が広くなるから、引っ越してくるように言われまして、それでこちらに参りましたの」
一応、話のつじつまはあっているように見えるけど?本当に、父が王家との婚儀の前にそんなことを言ったとは思えない。
なぜなら、婚儀の前に妃の実家が妻妾同居するなんて話、聞いたことがない。前代未聞の話なので。
「それでしたら、父が帰ってくるまで、こちらにいらしてください。王家の方とも、相談しないと決められない事態ですので……両親やわたくしでは、判断がつきません」
スカーレットは家令を呼び、王家に使いを出すことにした。
「な、何よ、それ。まるで私が嘘を吐いていると思っているの!?」
また、金切り声を張りあげようとしているのを見て、
「いいえ。将来の王子妃の実家で、妻妾同居などと前例のないことですので、一応、王家に確認を取っているだけです。問題がないとわかれば、すぐにでもお部屋をご用意いたしましょう」
スカーレットは、使用人にエントランス前の庭先に、テーブルと椅子をセットさせ、お茶の用意を始めるように命じる。
「しばらくは、ここで待機していただけますか?父が不在のため、わたくしが当主の役目を代わって務めさせていただきます」
そこまで言うと、ベルディは恨めしそうな目でスカーレットを一瞥した後、黙って用意されたお茶とお菓子に手を伸ばす。
ベルディの方は、男爵令嬢だからか、まだそれらしき作法が身に着いていたが、リリアーヌの方は、まるで野良犬のように、ガツガツとケーキを貪っていて、とても義妹と呼べる代物ではなかった。
使用人も眉を顰めるも、スカーレットが何も言わないので、各自の持ち場に帰っていき、スカーレットも荷造りに精を出す。
スカーレットは、聖女の力があるので、亜空間に収納場所を作ることも可能で、だから荷物は、そんなには多くいらない。ドレスや宝石、書籍などは、すでに亜空間の中にしまい込んでいるから。でも、手ぶらで外国へ行くなどと外聞が悪いので、形だけの荷物を作り、それを馬車に乗せているに過ぎない。
だから昼までには、とっくに終わっている荷造りも、ベルディ母娘がいまだにエントランスにいるため、長引かせているのだ。
あの母娘が勝手に公爵邸に入り込まないように見張るため。まあ、あの結界をかいくぐり、中に入ることは不可能なことだけどね。
カラダはアナフィラキシーショックを受け、荷物はすべて溶けてなくなる。燃えるわけではない。氷のように跡形もなく、溶けてなくなるのだ。
もちろん、着ているドレスもなくなるのだが、そのことについて、発狂しても知らないから。強行突破すれば、全裸で死ぬ運命だけが残されている。ということは知らない方が幸せというもの。
夕方になり、父とともに、家令が戻ってきた。
王家の見解は、やはりというべきか、ベルディを妾として認めないというものだった。国民の模範となるべく王子妃の実家が、家庭内でトラブルを抱えてはいけないということが理由。
ということで、父は、ベルディを元の家に帰らせ、母には、平謝りしていた。
「違うんだ。ベルディのことは事故だったんだ。信じてくれ。たまたま泥酔してしまい、ベルディとそう言うことになったが、本当に記憶がないんだ。しかも、ベルディと関係を持ったのは、たった一度のことで、過ちというにも、覚えていなく記憶が飛んでしまっていて。それに、娘のリリアーヌの出産も月数がどう考えてもあわない。それでもベルディがアナタの子どもだと言い張るから……」
ははーん。スカーレットは、これはDNA鑑定が必要な案件だと思うが、この世界にDNA鑑定なんて存在するのか?答えは、否。どうして、王家、教会、ロッテンマイヤー家が納得するDNA鑑定と同じ結果を得られる方法を見つけ出し、提示することができるかを考えることにした。
父とベルディの間には、妾としての認識がそもそもない。愛人契約もしていない。月々、ロッテンマイヤー家から、お手当てが支払われているわけではない。
たまたま一夜を共にした相手が、大物だったから、妊娠した時に、ロッテンマイヤーとの間の子供だということにした方が、生まれてくるリリアーヌのためになると思ったのだ。
前々世の記憶を取り戻したスカーレットから見れば、わかる理屈だが、両親も、王家も気が付いていないようだった。
「アンタがロッテンマイヤー公爵夫人ね!私は、アンタの旦那の最愛の女性よ。ベルディと言うの。覚えといて頂戴」
「まあ!旦那様が、外に女の人を作っていらしたのね!信じられないけど、ベルディ様がそうおっしゃるのなら、そうかもしれないわね」
母は、スカーレットの姿を見つけると手招きをした。仕方なく、スカーレットは、父の妾となる第2夫人!?のベルディに淑女の礼を取る。
「はじめまして。ロッテンマイヤー家の長女スカーレットと申します」
「あっああ、貴女が第1王子様とご婚約されているお嬢様ですね。お噂はかねがね……公爵様から、娘が外国へ行ってしまうので、屋敷が広くなるから、引っ越してくるように言われまして、それでこちらに参りましたの」
一応、話のつじつまはあっているように見えるけど?本当に、父が王家との婚儀の前にそんなことを言ったとは思えない。
なぜなら、婚儀の前に妃の実家が妻妾同居するなんて話、聞いたことがない。前代未聞の話なので。
「それでしたら、父が帰ってくるまで、こちらにいらしてください。王家の方とも、相談しないと決められない事態ですので……両親やわたくしでは、判断がつきません」
スカーレットは家令を呼び、王家に使いを出すことにした。
「な、何よ、それ。まるで私が嘘を吐いていると思っているの!?」
また、金切り声を張りあげようとしているのを見て、
「いいえ。将来の王子妃の実家で、妻妾同居などと前例のないことですので、一応、王家に確認を取っているだけです。問題がないとわかれば、すぐにでもお部屋をご用意いたしましょう」
スカーレットは、使用人にエントランス前の庭先に、テーブルと椅子をセットさせ、お茶の用意を始めるように命じる。
「しばらくは、ここで待機していただけますか?父が不在のため、わたくしが当主の役目を代わって務めさせていただきます」
そこまで言うと、ベルディは恨めしそうな目でスカーレットを一瞥した後、黙って用意されたお茶とお菓子に手を伸ばす。
ベルディの方は、男爵令嬢だからか、まだそれらしき作法が身に着いていたが、リリアーヌの方は、まるで野良犬のように、ガツガツとケーキを貪っていて、とても義妹と呼べる代物ではなかった。
使用人も眉を顰めるも、スカーレットが何も言わないので、各自の持ち場に帰っていき、スカーレットも荷造りに精を出す。
スカーレットは、聖女の力があるので、亜空間に収納場所を作ることも可能で、だから荷物は、そんなには多くいらない。ドレスや宝石、書籍などは、すでに亜空間の中にしまい込んでいるから。でも、手ぶらで外国へ行くなどと外聞が悪いので、形だけの荷物を作り、それを馬車に乗せているに過ぎない。
だから昼までには、とっくに終わっている荷造りも、ベルディ母娘がいまだにエントランスにいるため、長引かせているのだ。
あの母娘が勝手に公爵邸に入り込まないように見張るため。まあ、あの結界をかいくぐり、中に入ることは不可能なことだけどね。
カラダはアナフィラキシーショックを受け、荷物はすべて溶けてなくなる。燃えるわけではない。氷のように跡形もなく、溶けてなくなるのだ。
もちろん、着ているドレスもなくなるのだが、そのことについて、発狂しても知らないから。強行突破すれば、全裸で死ぬ運命だけが残されている。ということは知らない方が幸せというもの。
夕方になり、父とともに、家令が戻ってきた。
王家の見解は、やはりというべきか、ベルディを妾として認めないというものだった。国民の模範となるべく王子妃の実家が、家庭内でトラブルを抱えてはいけないということが理由。
ということで、父は、ベルディを元の家に帰らせ、母には、平謝りしていた。
「違うんだ。ベルディのことは事故だったんだ。信じてくれ。たまたま泥酔してしまい、ベルディとそう言うことになったが、本当に記憶がないんだ。しかも、ベルディと関係を持ったのは、たった一度のことで、過ちというにも、覚えていなく記憶が飛んでしまっていて。それに、娘のリリアーヌの出産も月数がどう考えてもあわない。それでもベルディがアナタの子どもだと言い張るから……」
ははーん。スカーレットは、これはDNA鑑定が必要な案件だと思うが、この世界にDNA鑑定なんて存在するのか?答えは、否。どうして、王家、教会、ロッテンマイヤー家が納得するDNA鑑定と同じ結果を得られる方法を見つけ出し、提示することができるかを考えることにした。
父とベルディの間には、妾としての認識がそもそもない。愛人契約もしていない。月々、ロッテンマイヤー家から、お手当てが支払われているわけではない。
たまたま一夜を共にした相手が、大物だったから、妊娠した時に、ロッテンマイヤーとの間の子供だということにした方が、生まれてくるリリアーヌのためになると思ったのだ。
前々世の記憶を取り戻したスカーレットから見れば、わかる理屈だが、両親も、王家も気が付いていないようだった。
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