ふしだらな悪役令嬢として公開処刑される直前に聖女覚醒、婚約破棄の破棄?ご冗談でしょ(笑)

青の雀

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聖女クリスティーヌ

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 「だいたい、おめぇは神さんのくせに、そんなこともわかってないのか?神さんも意外と世間知らずだの。若い娘、とりわけクリスティーヌは、姫様なんだぞ。それも病み上がりの姫さんに、可愛そうだとは思わねぇのかい?」

 俺は、赤クマ先生に絞られている。王城に泣きはらした目をして、帰るものだから、王家から苦情が来ているのである。

 「飴とムチって言葉知らねぇのか?たまには、姫さんに飴をやんな。でないと、心がつぶれちまって、討伐どころじゃねぇよ。」

 俺は、反省した。そうだ、クリスティーヌは、聖女様に覚醒したばかりで、まだ一度も神界の空気を吸っていないから、不死身ではないのである。それに、俺と……ゴニョゴニョもしていない。ただ、厳しく接していただけなのだ。優しい言葉もプレゼントも渡していない。俺は、すっかり嫌われてしまったんだろうな。

 俺は、王城へ行くと、明らかに不機嫌なクリスティーヌがいる。

 「今日は、息抜きをしよう。美味しいものを食べて、楽しいところへ行こう。」

 そういうと、パァッとクリスティーヌの顔が明るくなった。

「今日は鍛錬がお休みでいいのですね?」

 「そうさ、クリスティーヌは十分に頑張ってきた。だからご褒美さ。」

 では、では。着替えるからと、俺は私室を追い出されたのである。

 そして、華やかなドレスを纏ったクリスティーヌは美の女神かと見まがうほどに美しい。こんなにクリスティーヌは美人だったっけ?今日の行き先は決まったのである。神界だ。神界に行って、他の奴らに自慢してやろう。

 俺は、クリスティーヌの前に跪き、左手を差し出し、

 「聖女様、今日は一日、私とデートしてくださる、ご無礼をお許しくださいませ。」

 そして、クリスティーヌの右手の甲にキスを落としたのである。

 「うふふ。嫌ですわ。ミロク様ったら。」

 クリスティーヌは、顔を赤らめモジモジしている。可愛い♡

 俺のエスコートで、クリスティーヌは、見事、神界の結界をクリアしたのだ。

 初めに、幾重にも重なってできる虹の園を見せ、その上を歩く。滑るからと口実をつけて、クリスティーヌと手をつなぐ。それも指を絡めてつなぐ、恋人繋ぎである。

 最初は、恥ずかしがっていたクリスティーヌも虹の美しさに感動して、不確かな足元を一歩ずつ歩む。

 クリスティーヌがよろけたところを、すかさず腰を抱いた。役得、役得。

 「疲れただろう。何か甘いものをつまんでから、次は、海の底を案内しよう。」

 甘いものと聞いて、クリスティーヌの顔がほころぶ。やはり女性はスイーツが好きなのだ。

 俺は、兄嫁に頼んで、あらかじめいろいろ揃えてもらっている。

 マカロン、チョコレート、ケーキ、プリン、クッキーなどが所狭しと並んでいる。なぜか兄嫁のほかに、母まで、勢ぞろいしているのだ。

 「さぁさ、ミロクは出て行ってちょうだい。これからは、女子会タイムよ。」

 「ええーっ!まだ、深海を案内していないっていうのにぃ。」

 「そんなの、後でいいじゃない!時間はたっぷりあるんだからぁ。元人間の聖女として、みんなでお喋りしたいのよ。」

 「え?ここにいらっしゃる皆さんは、聖女様なのですか?」

 「まぁ、女神様や半神もいるけど、ほとんどが人間界で婚約破棄されて、ここへ流れ着いた者ばかりよ。」

 「さっさ。クリスティーヌ様も座って。」

 マ)「まずは自己紹介からね。お母様からどうぞ。」

 ビ)「え?わたくし?……それでは、わたくしは、ビクトリアと申します。アマテラスの家内、ミロクの母でございます。当年取って、2000歳ってところかしら?」

 マ)「つぎは、わたくしね。わたくしの名前は、マーガレット。アマテラス様の長男の嫁です。今日、ミロク様からお菓子を用意しといてくれって頼まれたので、女子会をやろうと皆様を招待いたしましたのよ。当年取って、1000歳というところね。」

 ゴ)「では、わたくしが自己紹介します。わたくしは女神ゴールデニア、年齢はいくつだろう?6000歳はいってると思うわ。いつも、わたくしが人間の聖女をスカウトしておりますのよ。今回はウエストリバレー国の司祭の夢枕に立ってやったら、あの人やっぱり粗相をして、でもクリスティーヌにお会いできて良かったわ。マーガレットのおかげね。」

 マ)「いやいや、お義姉様、それを言うのなら、ミロク様のおかげですわ。あの子がここへ連れてきてくれたんですから、ね、お義母様?」

 ビ)「そうですわね。あの子を褒めてやらないと、たまには気を付くところもあるのね。たまには。」

 全員で、クスクス笑う。
 見た目は、どう見ても同い年ぐらいにしか、見えないのに、みんなすごい年齢!

 ヒ)「次は、わたくしの番ですわね。わたくしは、ヒミコ、女神の娘で、アマテラスの孫になります。年齢は5000歳、一度人間界の王太子と結婚して、王妃を経験しています。夫が亡くなってから、神界に出戻ってきて、今は鍛冶の神のゴン六と再婚している半神です。」

 ゴ)「ゴンロクだなんて、旦那様をそんな風に言ってはいけませんわよ。」

 ヒ)「いいのよ。あいつ、わたくしより5000歳も年上なのに、わたくしがいないと何一つ身の回りのことができないのよ。ったく、やんなっちゃうわ。それでいて、甘えてきやがんの。」

 その言葉に、ビクトリアは噴き出す。そう、ビクトリアのところも相当年齢差がある夫婦なのだから。

 エ)「次は、わたくしの番ですわね。わたくしは、エリザベス、女神様の長男アルキメデスの妻でございます。3000歳?かしらね。マーガレット様、ごめんなさいね。ウチのバカ息子のサルトルがあなた様に余計なことをしてしまって。親として、謝ります。」

 マ)「ええ!? サルトルさまは、どこか遠くへ行かれたのではなかったのですか?」

 うっかり口を滑らしたエリザベスを他の元聖女たちが睨んでいる。

 エ)「ああ、ええっと、そうなのだけど、今は遠くにいて、もう神界には当分戻りそうになかったわね。嫌だわ、もうわたくし年のせいかボケてしまって。」

 シ)「次は、わたくし、シルヴィアと申します。人間界にいたころは、エリザベス様の二番手の聖女候補でしたが、神界へ来てから聖女として覚醒いたしました。今はアンダルシアという国で王妃をしております。主人は、アルキメデス様の弟でソクラテスと申します。年齢は4000歳だと思います。」

 エ)「あら、それではわたくしも4000歳ということになりますかしら?いいえ、主人が4000歳だと言っていたから、やっぱりわたくしは3000歳だと思うのですが……?」

 シ)「では、3000歳です。もう年齢が数えきれないのよ。」

 総勢7名もの女が集まれば姦しい。

 ゴ)「そういえば、八岐大蛇討伐、大変ですわね。わたくし達も何かお手伝いできることはないかしら。」

 マ)「そうわたくしもそのことを案じておりましたの。元聖女として、何かできることないかしら。」

 ビ)「だったら、聖女軍団を作りましょうよ。」

 ク)「でもいつもミロク様から、聖魔法の精度が鈍いって、怒られていますのよ。」

 全員)「「「「「「あいつが、そんな生意気なことを言っているの?」」」」」」

 その後は、全員で大笑いして、この日は散会となるが、聖女軍団の話はまだまだ続きます。
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