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プロ
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俺は立て続けに2児の父となった。前世は娘にしか恵まれなかったが、今世は男の子ばかりで、やっと家庭内に味方ができた気分で嬉しい。
長男の名前は大輔の子だから大吉、はなまるコメディアンから名付けられたものではなく、花園の父がおみくじから名付けたそうだ。
そして次男の名は、大安(ひろやす)こちらは安林の父が、花園家に対抗して名付けたものらしい。最初、中吉、小吉も考えたらしく、それではかわいそうだからと、大安になったとか?
大をひろと読ませても、呼び名?あだ名はだいあんだから、「だいちゃん」と呼ぶと二人とも返事をしてしまうから混乱する。
半神同士のカップルから生まれた子も半神になるらしく、生まれた時からすべてを備わっているという。羨ましい限りだ。
成長するにつれ、苦労を伴うかもしれないが、それも立派な半神になるための過程だからやむを得ない。
いつものように保育園の送迎は、どちらかができるほうがすることになっている。夫婦で行けるときは夫婦で行くこともある。
保育園は住宅地の中にひっそりと建っている。最近は、マンションの一室を保育園にしているところもあるが、小さいが園庭もあるので、この保育園を選んだのだ。
子供の声がうるさいと近所から苦情が来ることもあるので、中はすべて防音設備にしてある。園庭で遊ぶ声は辛抱してもらっていると言うところ。
なんせ、この保育園が建つ前までは、田んぼと畑だらけだったので、近隣から苦情が来ることもなかったのだが、保育園ができてから、ポツリぽつりと住宅が建ち、胃また立派な住宅街になっている。
あとから引っ越してきたのだから、ということでみんな辛抱しているというわけだ。
今日は、たまたま帰りが同じになったので、一緒に迎えに行く。
保育園の近くまで来ると何やら騒々しい。救急車とパトカー、それに警察の規制線が張ってある。
事件か?事故か?俺は心配になり、保育園に向かって走り出す。
ふと横を見るとまりあも宙を飛んで走っている。
そうだ。宙を飛べばそれだけ早く走れる。
宙と言っても、空高く飛ぶわけではない。ほんの地面から10センチほどのところを飛ぶ、そうすると地面の抵抗がなく水たまりや石ころなどの障害物なく走れる。
保育園の前まで付き、警察官に「保護者です。何があったのですか?」
なんと!大吉と大安を狙っての誘拐未遂事件が起こったらしい。だが大吉も大安も小さくても半神の身、当然他の園児のように「ハイそうですか。」とはいかない。
抵抗されて、騒がれたために犯人は、保育園に立てこもってしまったらしい。
それまでも十分事件なのだが、ますます事件は大きくなる。と言うか犯人に災いが起こってしまう。
園児を全員、持っていたロープで縛ろうとしても、すぐ解けてしまうのだ。それに子供たちの泣き声と「おしっこ!」の連発で、困り果てる。
口にガムテープを貼ろうにも、なぜだか貼った途端、蝶々に代わって、飛び立っていく。
「動くな!動いたら、ガキを一人ずつぶっ殺すぞ!」
ナイフをちらつかせ脅しても、そのナイフがお菓子のチョコレートになってしまい、子供たちから「頂戴!ちょうだい!」とせがまれる始末。
諦めて逃げ出そうとしたら、あんなにすぐ解けたロープがひとりでに動き、犯人を縛り上げてしまう。
保母さんは、警察から事情を聴かれている様子。
大吉と大安は、俺たち二人の姿を見て、駆け寄ってくる。
「パパ!ママ!」
警察は子供たちから事情を聴くことを諦め、子供は帰ってもいいらしい。
警察官の一人が俺を見て、サインを求めてくる。快く応じていると保育園がサイン会場のようになる。
まりあと子供たちを先に帰し、噂を聞きつけた近隣の住人、マスコミ関係までもがサイン会、握手会に列をなす。
いつの間にか腰縄を付けた犯人までもが並んでいる。犯人は俺に
「スイヤセン。おふくろが病気で、治療費がなく医者に診せられないもんだから、つい出来心で。」
「そうか。」
だからと言って、俺は罪を軽減してくれなど嘆願書は書かない。
むしろ厳罰に処してほしいという意見書を付けたいぐらいだ。
チームの事務局を通さずサイン会をしてしまったことは、お咎めなしとなってよかった。
それから保育園側は、俺の屋敷の一部を借り受けたいと申し出てきたが、断わった。屋敷には特に秘密はないが、俺たち家族は半神であるという秘密がある。
なにかと世間様とは関わらない方がお互いのためなのだということを家族によく言い聞かせる。
妻が管理栄養士だということも、保育園が借りたいと申し出た理由の一つである。
それにこの屋敷はもともとシトロエンオーナーの持ち物だったから、文化財的な意味合いもあるのかもしれないということを理由にして、今の所有者の意向だけでは、決められないと言えば、保育園側は折れてくれたのだ。
俺はあれから何度も契約を更新し、今はまだシトロエンにいる。妻のまりあも産休、育休を取得して継続雇用している。
もうそろそろ潮時かとも思う。ニッポンにさえいれば、よそのチームに移籍してもいいだろう。そろそろ移籍を本気で考えるときが来たのかもしれない。
長男の名前は大輔の子だから大吉、はなまるコメディアンから名付けられたものではなく、花園の父がおみくじから名付けたそうだ。
そして次男の名は、大安(ひろやす)こちらは安林の父が、花園家に対抗して名付けたものらしい。最初、中吉、小吉も考えたらしく、それではかわいそうだからと、大安になったとか?
大をひろと読ませても、呼び名?あだ名はだいあんだから、「だいちゃん」と呼ぶと二人とも返事をしてしまうから混乱する。
半神同士のカップルから生まれた子も半神になるらしく、生まれた時からすべてを備わっているという。羨ましい限りだ。
成長するにつれ、苦労を伴うかもしれないが、それも立派な半神になるための過程だからやむを得ない。
いつものように保育園の送迎は、どちらかができるほうがすることになっている。夫婦で行けるときは夫婦で行くこともある。
保育園は住宅地の中にひっそりと建っている。最近は、マンションの一室を保育園にしているところもあるが、小さいが園庭もあるので、この保育園を選んだのだ。
子供の声がうるさいと近所から苦情が来ることもあるので、中はすべて防音設備にしてある。園庭で遊ぶ声は辛抱してもらっていると言うところ。
なんせ、この保育園が建つ前までは、田んぼと畑だらけだったので、近隣から苦情が来ることもなかったのだが、保育園ができてから、ポツリぽつりと住宅が建ち、胃また立派な住宅街になっている。
あとから引っ越してきたのだから、ということでみんな辛抱しているというわけだ。
今日は、たまたま帰りが同じになったので、一緒に迎えに行く。
保育園の近くまで来ると何やら騒々しい。救急車とパトカー、それに警察の規制線が張ってある。
事件か?事故か?俺は心配になり、保育園に向かって走り出す。
ふと横を見るとまりあも宙を飛んで走っている。
そうだ。宙を飛べばそれだけ早く走れる。
宙と言っても、空高く飛ぶわけではない。ほんの地面から10センチほどのところを飛ぶ、そうすると地面の抵抗がなく水たまりや石ころなどの障害物なく走れる。
保育園の前まで付き、警察官に「保護者です。何があったのですか?」
なんと!大吉と大安を狙っての誘拐未遂事件が起こったらしい。だが大吉も大安も小さくても半神の身、当然他の園児のように「ハイそうですか。」とはいかない。
抵抗されて、騒がれたために犯人は、保育園に立てこもってしまったらしい。
それまでも十分事件なのだが、ますます事件は大きくなる。と言うか犯人に災いが起こってしまう。
園児を全員、持っていたロープで縛ろうとしても、すぐ解けてしまうのだ。それに子供たちの泣き声と「おしっこ!」の連発で、困り果てる。
口にガムテープを貼ろうにも、なぜだか貼った途端、蝶々に代わって、飛び立っていく。
「動くな!動いたら、ガキを一人ずつぶっ殺すぞ!」
ナイフをちらつかせ脅しても、そのナイフがお菓子のチョコレートになってしまい、子供たちから「頂戴!ちょうだい!」とせがまれる始末。
諦めて逃げ出そうとしたら、あんなにすぐ解けたロープがひとりでに動き、犯人を縛り上げてしまう。
保母さんは、警察から事情を聴かれている様子。
大吉と大安は、俺たち二人の姿を見て、駆け寄ってくる。
「パパ!ママ!」
警察は子供たちから事情を聴くことを諦め、子供は帰ってもいいらしい。
警察官の一人が俺を見て、サインを求めてくる。快く応じていると保育園がサイン会場のようになる。
まりあと子供たちを先に帰し、噂を聞きつけた近隣の住人、マスコミ関係までもがサイン会、握手会に列をなす。
いつの間にか腰縄を付けた犯人までもが並んでいる。犯人は俺に
「スイヤセン。おふくろが病気で、治療費がなく医者に診せられないもんだから、つい出来心で。」
「そうか。」
だからと言って、俺は罪を軽減してくれなど嘆願書は書かない。
むしろ厳罰に処してほしいという意見書を付けたいぐらいだ。
チームの事務局を通さずサイン会をしてしまったことは、お咎めなしとなってよかった。
それから保育園側は、俺の屋敷の一部を借り受けたいと申し出てきたが、断わった。屋敷には特に秘密はないが、俺たち家族は半神であるという秘密がある。
なにかと世間様とは関わらない方がお互いのためなのだということを家族によく言い聞かせる。
妻が管理栄養士だということも、保育園が借りたいと申し出た理由の一つである。
それにこの屋敷はもともとシトロエンオーナーの持ち物だったから、文化財的な意味合いもあるのかもしれないということを理由にして、今の所有者の意向だけでは、決められないと言えば、保育園側は折れてくれたのだ。
俺はあれから何度も契約を更新し、今はまだシトロエンにいる。妻のまりあも産休、育休を取得して継続雇用している。
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