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新しい出会い
48.喧嘩
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瞬く間にシャルマン様の卒業式が来たのだ。
その翌日には、ジャクリーンとの結婚式が控えている。
ジャクリーンはエルモアとアルフレッドを連れ、1週間前からオルブライト国へ帰国して招待客への対応に当たっている。
新婚旅行は一応、異世界ニッポンへ行くつもりだが、向こうでは、マンションを出して、その都度寝泊まりするから、ほとんど日帰り感覚の新婚旅行?のつもりでいる。
ブルオード国からは、国王陛下とキャサリン王女、ヴィンセント第1王子殿下がそろって列席される予定。エルモアは、国境付近まで、出迎えに行く。早くキャサリン王女に会いたいのだろう。
卒業式も無事終わり、卒業記念祝賀パーティは欠席されることになってしまう。翌日の結婚式に備えて、早寝?されるつもりだとか。実際はマンションの中で、ジャクリーンとイチャつきたいだけなのかもしれない。
「今夜はキスマーク、ご遠慮してくださいね。明日ウエディングドレスの上から透けて見えたら困りますからね。」
「わかっているよ。でも明晩は覚悟しといてくれ。」
「明晩は、異世界へ行くのでしょ?」
「うん。でも……。」
「でも、なぁに?」
「二人っきりになりたい。」
「え?どういうこと?まさか?ハネムーンに誰かついてくる気?」
「いつも、なんだかんだと言って、ついてくるよ。」
「うっそぉー!いくら何でも新婚初夜に同伴したいと言ってくる人がいる?」
「わからないよ。とにかく異世界は、みんな行きたがるからな。」
「じゃ、異世界の外国へ行こうか?」
「え?そんなことできるか?」
「前世、マサチューセッツ病院に研修に行ったことがあって、たぶんまだ建っていたら、行けると思う。」
「まさちゅうせつ?どこにあるの?」
「メリケン国よ。ニッポンから太平洋という大きな海の向こう側にある国のことなの。」
「ニッポンより広い?」
「もちろん!たぶん、メリケン国なら目立たないと思うわ。アングロサクソン人だからね。」
「あん……?」
「いいの。いいの。肌の色も髪の色も、そうわたくしたちと変わらないから。紛れ込むのにはちょうどいいかもしれないけど、危険な国でもあるのよ。ちょっとね。そのため、ニッポンは平和ボケしていると、よく批判される一因でもあるの。」
「ふーん。」
「それとも、新婚旅行へ行くと見せかけ、領地でだらだら過ごすというのは、どう?」
「みんなが諦めて帰るまで、だらだら過ごすってことだね?それ、いいかも?」
「新しい馬車のサスペンションの乗り心地も試したいからね。」
「おお!あれ、評判がいいんだよ。あれからまだ乗っていないの?」
「あれからマンションを通ってばかりの移動だから、まだだから楽しみにしているね。」
そして、次の日、朝から大わらわ。アナザーライト家最後の日だからと、お風呂に入らされ、綺麗に磨かれる。
髪の毛も編み込まれ、上にまとめてくれた。ウエディングドレスを着るためのコルセットは、ボディスーツでもいいと言ったが、
「なりません。お嬢様、今日ばかりは普通のコルセットをなさいませ。」
渋々、従うジャクリーン。
結婚式は、王都にある大聖堂で行われる。
一度もリハーサルをしていなくて、ぶっつけ本番で、ヴァージンロードを父と歩く。
結婚するのは、さくらの時から数えて、これで3回目前世はマーロン様で教会の結婚式を経験しているから、リハーサルなしでも行けるのだ。
さくらの時は、神式で神棚?神殿?のようなものの前で、結婚式を挙げた。
文欽高島田の鬘がこめかみに食い込み痛かったということだけしか記憶がない。
前に待っているシャルマン様のところまで来ると、なぜか前世では置いていなかった水晶玉が置かれているので、少し気になる。司祭様の誓いの言葉に気をとられ、後は無我夢中でやり遂げ、最後に地階のキスをして終わるはずだった。
「せっかくのご縁なので、ここに列席している皆様からのご要望で、ご新婦様に水晶玉判定を受けていただこうと思いますが、よろしいでしょうか?」
「へ?無理、無理です。」
だって、水晶玉が反応するのは純潔の処女だけのはず。ここ2年間、ほとんど毎日ヤりまくっているジャクリーンに反応するはずがないということは、よくわかっている。
それでも大勢の賓客の前で、自分が処女ではないことを宣言することは勇気がいる。
真っ赤になって、モジモジしていると、どう誤解されてしまったか、恥ずかしがっていると勘違いされ、さらに強く勧められる。
いやいや、どう考えても、無理でしょ?シャルマン様に助けてもらおうと視線を送るが、シャルマン様は一向に気づいていらっしゃらないご様子で、素知らぬ顔をされている。そして、それどころか
「なぜ?早くしないの?」
「はぁ!? シャルマン様がそれを言う?」
ジャクリーンが窮地に立たされているというのに、だんだんと腹が立ってきた。
「え?なんで?ジャクリーン、簡単だよ。ほら、水晶玉の上に手をかざすだけで、聖女様かどうか判断できるのだから、さっさとやっちゃって終わらせようよ。」
「あほ!ばか!まぬけ!こんなデリカシーがない人だとは、思っていなかったわ。今の結婚は、取りやめにします。違約金でも何でも払いますから、もうシャルマン様とは、ハッキリ離婚しますからね!」
「ええ!どうして?待ってよ。さっき、愛しているって誓ったばっかりなのに。」
「どうしても、こうしてもないのよ!もうシャルマン様のことが嫌いになりましたわ。嫌いな人とは結婚できません。お互いに不幸になるだけですもの。」
司祭様も慌てられたご様子で、とにかく新郎新婦を控室へと案内される。
その翌日には、ジャクリーンとの結婚式が控えている。
ジャクリーンはエルモアとアルフレッドを連れ、1週間前からオルブライト国へ帰国して招待客への対応に当たっている。
新婚旅行は一応、異世界ニッポンへ行くつもりだが、向こうでは、マンションを出して、その都度寝泊まりするから、ほとんど日帰り感覚の新婚旅行?のつもりでいる。
ブルオード国からは、国王陛下とキャサリン王女、ヴィンセント第1王子殿下がそろって列席される予定。エルモアは、国境付近まで、出迎えに行く。早くキャサリン王女に会いたいのだろう。
卒業式も無事終わり、卒業記念祝賀パーティは欠席されることになってしまう。翌日の結婚式に備えて、早寝?されるつもりだとか。実際はマンションの中で、ジャクリーンとイチャつきたいだけなのかもしれない。
「今夜はキスマーク、ご遠慮してくださいね。明日ウエディングドレスの上から透けて見えたら困りますからね。」
「わかっているよ。でも明晩は覚悟しといてくれ。」
「明晩は、異世界へ行くのでしょ?」
「うん。でも……。」
「でも、なぁに?」
「二人っきりになりたい。」
「え?どういうこと?まさか?ハネムーンに誰かついてくる気?」
「いつも、なんだかんだと言って、ついてくるよ。」
「うっそぉー!いくら何でも新婚初夜に同伴したいと言ってくる人がいる?」
「わからないよ。とにかく異世界は、みんな行きたがるからな。」
「じゃ、異世界の外国へ行こうか?」
「え?そんなことできるか?」
「前世、マサチューセッツ病院に研修に行ったことがあって、たぶんまだ建っていたら、行けると思う。」
「まさちゅうせつ?どこにあるの?」
「メリケン国よ。ニッポンから太平洋という大きな海の向こう側にある国のことなの。」
「ニッポンより広い?」
「もちろん!たぶん、メリケン国なら目立たないと思うわ。アングロサクソン人だからね。」
「あん……?」
「いいの。いいの。肌の色も髪の色も、そうわたくしたちと変わらないから。紛れ込むのにはちょうどいいかもしれないけど、危険な国でもあるのよ。ちょっとね。そのため、ニッポンは平和ボケしていると、よく批判される一因でもあるの。」
「ふーん。」
「それとも、新婚旅行へ行くと見せかけ、領地でだらだら過ごすというのは、どう?」
「みんなが諦めて帰るまで、だらだら過ごすってことだね?それ、いいかも?」
「新しい馬車のサスペンションの乗り心地も試したいからね。」
「おお!あれ、評判がいいんだよ。あれからまだ乗っていないの?」
「あれからマンションを通ってばかりの移動だから、まだだから楽しみにしているね。」
そして、次の日、朝から大わらわ。アナザーライト家最後の日だからと、お風呂に入らされ、綺麗に磨かれる。
髪の毛も編み込まれ、上にまとめてくれた。ウエディングドレスを着るためのコルセットは、ボディスーツでもいいと言ったが、
「なりません。お嬢様、今日ばかりは普通のコルセットをなさいませ。」
渋々、従うジャクリーン。
結婚式は、王都にある大聖堂で行われる。
一度もリハーサルをしていなくて、ぶっつけ本番で、ヴァージンロードを父と歩く。
結婚するのは、さくらの時から数えて、これで3回目前世はマーロン様で教会の結婚式を経験しているから、リハーサルなしでも行けるのだ。
さくらの時は、神式で神棚?神殿?のようなものの前で、結婚式を挙げた。
文欽高島田の鬘がこめかみに食い込み痛かったということだけしか記憶がない。
前に待っているシャルマン様のところまで来ると、なぜか前世では置いていなかった水晶玉が置かれているので、少し気になる。司祭様の誓いの言葉に気をとられ、後は無我夢中でやり遂げ、最後に地階のキスをして終わるはずだった。
「せっかくのご縁なので、ここに列席している皆様からのご要望で、ご新婦様に水晶玉判定を受けていただこうと思いますが、よろしいでしょうか?」
「へ?無理、無理です。」
だって、水晶玉が反応するのは純潔の処女だけのはず。ここ2年間、ほとんど毎日ヤりまくっているジャクリーンに反応するはずがないということは、よくわかっている。
それでも大勢の賓客の前で、自分が処女ではないことを宣言することは勇気がいる。
真っ赤になって、モジモジしていると、どう誤解されてしまったか、恥ずかしがっていると勘違いされ、さらに強く勧められる。
いやいや、どう考えても、無理でしょ?シャルマン様に助けてもらおうと視線を送るが、シャルマン様は一向に気づいていらっしゃらないご様子で、素知らぬ顔をされている。そして、それどころか
「なぜ?早くしないの?」
「はぁ!? シャルマン様がそれを言う?」
ジャクリーンが窮地に立たされているというのに、だんだんと腹が立ってきた。
「え?なんで?ジャクリーン、簡単だよ。ほら、水晶玉の上に手をかざすだけで、聖女様かどうか判断できるのだから、さっさとやっちゃって終わらせようよ。」
「あほ!ばか!まぬけ!こんなデリカシーがない人だとは、思っていなかったわ。今の結婚は、取りやめにします。違約金でも何でも払いますから、もうシャルマン様とは、ハッキリ離婚しますからね!」
「ええ!どうして?待ってよ。さっき、愛しているって誓ったばっかりなのに。」
「どうしても、こうしてもないのよ!もうシャルマン様のことが嫌いになりましたわ。嫌いな人とは結婚できません。お互いに不幸になるだけですもの。」
司祭様も慌てられたご様子で、とにかく新郎新婦を控室へと案内される。
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