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新しい出会い
56.虫垂炎
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ジャクリーンは、学園を中退し、レバトリーの領地に引っ込む覚悟でいた。そして、8月に大検を受け、来年は異世界の大学を受け、もう一度医学の道を志すつもりでいる。
春になれば、男爵令嬢のリリアーヌ様がやってきて、その一年後には卒業式の場で断罪という悲劇が起きる。
それを回避するために学園には近寄らない方が念のためにいいだろうと思ってのこと。
でもその前に、レストランやマンションは、本郷とはくっつけているが、京大の研究室にくっつけていないことを今更ながらに気づいた。
そうだ。京都へ行こう。
自分一人で行く方が楽だし、安全なことは十分承知しているが、言い訳というか口実がないとなかなか貴族の夫人は出かけることもままならない。
ある夜、思い切って、シャルマン様におねだりしてみることにした。
「ねえ、シャルマン様。」
その時、シャルマンは、背中がぞっと冷える気がした。何か良からぬことが起こるような気がしたからだ。
たいてい、ジャクリーンが甘えて言うときには、何か裏がある時、もう足掛け3年の付き合いになるから、なんとなくわかる。
でも無視などできない。後がコワイから。
「なんだい?」
「新婚旅行、さんざんだったからもう一度、今度は二人っきりで行きたいな。」
「また異世界へか?」
「ええ。初夜もちゃんとやりたいし。ね?いいでしょ?」
シャルマンは返事に窮している。
なぜなら、絶対に二人きりになどなれないからで、王都のタウンハウスの地下を通ることになれば、またぞろぞろと屋敷の者が付いてくるに決まっている。
そうなると、ジャクリーンは、いつものように機嫌が悪くなる。
異世界語が話せるジャクリーンの負担が増えるからで、こればかりは他の者に代わりができないので、致し方がない。
「タウンハウスの地下室を通らずに行ける方法があるのなら、別だが……?」
「あるわ。マンションから本郷に行き、そこから新幹線で京都へ行くの。そしたら誰にも見られずに異世界へ行ける。」
「そんなにうまくいくかな?」
「新婚旅行に行くとしか言わなければ、うまくいくわよ。」
「ここの使用人に話せば、王都の使用人に筒抜けになるのだぞ?」
「だったら、夜逃げしましょう。」
「は?夜逃げって……?」
「みんなが寝静まったころを見計らって、家を出るのです。そうか、朝方でもいいかもしれません。」
「いやいや、それはいくら何でもやりすぎだろ?」
「どうして?シャルマン様と二人きりになりたいだけなのに。早く子作りがしたいの。」
「本当にそれだけか?何か他の理由があるからではないのか?」
へへ。バレてる。
「異世界では、鏡張りの部屋があるのよ。そこで楽しみたいの。シャルマン様は、そんなところへ行ってみたくはないの?男と女が愛し合うためだけのお部屋があるのよ。」
シャルマンは、ゴクリと生唾を飲み込む音を立ててしまう。
「そこでは、わたくしをどんな風にしようとも、それはシャルマン様の自由よ。シャル様だけのジャッキーにしてほしいの。」
上目づかいで見つめられれば、すぐその場で押し倒してしまいたいぐらいジャクリーンは艶っぽい微笑みを湛えている。
「そこでは、俺の言うことを何でも聞くというのだな?嫌がったり抵抗したりしないというのなら。行ってもいいぞ。」
う……、ちょっとコワイけど、今は頷くしかない。シャルマン様を内緒で異世界に連れていく方法はコレしか思い浮かばない。
シャルマン様は、どちらかと言えば、むっつりスケベタイプ。前世の医者に多いタイプなのだが、だから慣れていると言えば、慣れているけど、普段が真面目だからハメを外されると怖い。
ちょっとエッチな下着を買って、それで挑発でもしようかしらね。
ラブホに行くことを条件にしてしまって、ちょっぴり後悔しているが、背に腹は代えられない。
どうしてもIPS細胞を盗み見したい。できたら理化学研究所にも、出入り口を作りたいところだが、それはまたの機会にしよう。
とにかく今は、一刻も早く京大へ行きたい。
「だったら、これから行こうよ。その部屋で、ジャクリーンのいうことが本当だったら、ジャクリーンの好きなところへ行ってもいい。その間、俺が邪魔ならその間どこかへ行っている。でももし邪魔でなければ、俺も連れて行け。」
もう条件をのむしかないほどにまでも、追い詰められていく。
そして、昼間、ふつうに仕事をして、夜ご飯の後に決行することとし、誰にも知られないように細心の注意を払う。
いつものように食事をして、リビングへ引き上げていく。旅行者っぽいパンツスーツに着替えて折りたたみの傘と帽子をリュックサックに入れる。
何事もなかったかのように装い、マンションからレストランへ出て、シャルマンが来るのを待つ。いつまで経っても、シャルマンは来ない。
待ちくたびれて、マンションに戻ると、出かける服を着て、シャルマン様が苦しそうにのたうち回っていらっしゃる。
「大丈夫でございますか?」
額に触れるとすごい熱が出ている。
そういえば、さっき食事の時、寒気がすると言っていたような?
すぐに着衣を緩め、応急処置をする。
ジャクリーンは、医師の直感としてアッペを疑うが確信が持てない。レントゲンでもあれば?兄のところには歯科用のレントゲンしかない。歯に照準があっているので。他のところは、ぼやけて映らない。
レントゲン者を買おうにも、その車をどこに置いたらいいかわからない。一番一目につかないところと言えば、ブルオードの領地だが……、アルフレッドに贈与した土地。
とにかく女子寮を通り、エルモアに連絡してみることにした。
春になれば、男爵令嬢のリリアーヌ様がやってきて、その一年後には卒業式の場で断罪という悲劇が起きる。
それを回避するために学園には近寄らない方が念のためにいいだろうと思ってのこと。
でもその前に、レストランやマンションは、本郷とはくっつけているが、京大の研究室にくっつけていないことを今更ながらに気づいた。
そうだ。京都へ行こう。
自分一人で行く方が楽だし、安全なことは十分承知しているが、言い訳というか口実がないとなかなか貴族の夫人は出かけることもままならない。
ある夜、思い切って、シャルマン様におねだりしてみることにした。
「ねえ、シャルマン様。」
その時、シャルマンは、背中がぞっと冷える気がした。何か良からぬことが起こるような気がしたからだ。
たいてい、ジャクリーンが甘えて言うときには、何か裏がある時、もう足掛け3年の付き合いになるから、なんとなくわかる。
でも無視などできない。後がコワイから。
「なんだい?」
「新婚旅行、さんざんだったからもう一度、今度は二人っきりで行きたいな。」
「また異世界へか?」
「ええ。初夜もちゃんとやりたいし。ね?いいでしょ?」
シャルマンは返事に窮している。
なぜなら、絶対に二人きりになどなれないからで、王都のタウンハウスの地下を通ることになれば、またぞろぞろと屋敷の者が付いてくるに決まっている。
そうなると、ジャクリーンは、いつものように機嫌が悪くなる。
異世界語が話せるジャクリーンの負担が増えるからで、こればかりは他の者に代わりができないので、致し方がない。
「タウンハウスの地下室を通らずに行ける方法があるのなら、別だが……?」
「あるわ。マンションから本郷に行き、そこから新幹線で京都へ行くの。そしたら誰にも見られずに異世界へ行ける。」
「そんなにうまくいくかな?」
「新婚旅行に行くとしか言わなければ、うまくいくわよ。」
「ここの使用人に話せば、王都の使用人に筒抜けになるのだぞ?」
「だったら、夜逃げしましょう。」
「は?夜逃げって……?」
「みんなが寝静まったころを見計らって、家を出るのです。そうか、朝方でもいいかもしれません。」
「いやいや、それはいくら何でもやりすぎだろ?」
「どうして?シャルマン様と二人きりになりたいだけなのに。早く子作りがしたいの。」
「本当にそれだけか?何か他の理由があるからではないのか?」
へへ。バレてる。
「異世界では、鏡張りの部屋があるのよ。そこで楽しみたいの。シャルマン様は、そんなところへ行ってみたくはないの?男と女が愛し合うためだけのお部屋があるのよ。」
シャルマンは、ゴクリと生唾を飲み込む音を立ててしまう。
「そこでは、わたくしをどんな風にしようとも、それはシャルマン様の自由よ。シャル様だけのジャッキーにしてほしいの。」
上目づかいで見つめられれば、すぐその場で押し倒してしまいたいぐらいジャクリーンは艶っぽい微笑みを湛えている。
「そこでは、俺の言うことを何でも聞くというのだな?嫌がったり抵抗したりしないというのなら。行ってもいいぞ。」
う……、ちょっとコワイけど、今は頷くしかない。シャルマン様を内緒で異世界に連れていく方法はコレしか思い浮かばない。
シャルマン様は、どちらかと言えば、むっつりスケベタイプ。前世の医者に多いタイプなのだが、だから慣れていると言えば、慣れているけど、普段が真面目だからハメを外されると怖い。
ちょっとエッチな下着を買って、それで挑発でもしようかしらね。
ラブホに行くことを条件にしてしまって、ちょっぴり後悔しているが、背に腹は代えられない。
どうしてもIPS細胞を盗み見したい。できたら理化学研究所にも、出入り口を作りたいところだが、それはまたの機会にしよう。
とにかく今は、一刻も早く京大へ行きたい。
「だったら、これから行こうよ。その部屋で、ジャクリーンのいうことが本当だったら、ジャクリーンの好きなところへ行ってもいい。その間、俺が邪魔ならその間どこかへ行っている。でももし邪魔でなければ、俺も連れて行け。」
もう条件をのむしかないほどにまでも、追い詰められていく。
そして、昼間、ふつうに仕事をして、夜ご飯の後に決行することとし、誰にも知られないように細心の注意を払う。
いつものように食事をして、リビングへ引き上げていく。旅行者っぽいパンツスーツに着替えて折りたたみの傘と帽子をリュックサックに入れる。
何事もなかったかのように装い、マンションからレストランへ出て、シャルマンが来るのを待つ。いつまで経っても、シャルマンは来ない。
待ちくたびれて、マンションに戻ると、出かける服を着て、シャルマン様が苦しそうにのたうち回っていらっしゃる。
「大丈夫でございますか?」
額に触れるとすごい熱が出ている。
そういえば、さっき食事の時、寒気がすると言っていたような?
すぐに着衣を緩め、応急処置をする。
ジャクリーンは、医師の直感としてアッペを疑うが確信が持てない。レントゲンでもあれば?兄のところには歯科用のレントゲンしかない。歯に照準があっているので。他のところは、ぼやけて映らない。
レントゲン者を買おうにも、その車をどこに置いたらいいかわからない。一番一目につかないところと言えば、ブルオードの領地だが……、アルフレッドに贈与した土地。
とにかく女子寮を通り、エルモアに連絡してみることにした。
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