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オフィスラブ
23.来訪
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翌日、会社へ行くつもりだったけど、昨日の今日のことで、もう頭がいっぱいになってしまう。
会社には、「まだ体調が悪いので、お休みします」と連絡を入れる。生まれて初めてのずる休みを経験するつもり。
さて、電話はしたものの、今日は一日何して遊ぼうかな。
とりあえず、着替えて出かける用意をしよう。ウインドウショッピングして、お茶して、それから……、後は未定というところ。
美味しそうなケーキがあれば、買ってみたい。
このお休みの間に、制服の洗濯をしなきゃ、クリーニングを朝出して夕方OKならいいはず。
最初は、急なずる休みに時間を持て余すと思ったけれど、こうしてみるとやることはけっこうあると思う。
部屋の掃除も何か月間かサボったみたいで、ところどころに埃が浮いているのを目にする。
病は気から、気というのは空気とも関連がある。きれいな空気の場所にいないと身も心もボロボロになってしまうものだから、掃除をしよう。
何もお出かけができないまま、あっという間に1日が過ぎてしまう。まあ、クリーニングと夕飯の買い物のための外出はしたぐらいで、これなら明日もずる休みしようかしらね。
明日こそは、ケーキを食べるぞ!
夕方になり、クリーニングを受け取りのため、外へ出ようとしてドアを開けたら、そこに社長が立っていた。
「やっぱり、結婚前のマンションにいたんだ。昨日、自宅からいなくなって、心配してたんだ。」
「?」
「え……と、社長ですか?中へどうぞ。」
美織は、社長を中に入れる。
一応、結婚していたのだから、変なことはしないだろう。
コーヒーを沸かし、社長の目の前に置く。
「ちょっと、そこまで出ますけど、すぐ戻ってきますから、これでも飲んで待っていてください。」
「いや、そこまでなら、一緒に行こう。」
なぜか、社長と会社の制服を取りに行く羽目になろうとは……。
「どうだ?体調は?」
「あまり……。」
「無理しないで、ゆっくり休め。」
「明日も、お休みください。」
「もちろんだよ。退院したからと言って、すぐに仕事に復帰しなくても大丈夫だ。」
美織は、マンションから100メートルのところにあるクリーニング店で、制服を受け取る。
「今夜、飯でも一緒に食わないか?」
「昨日、カレーを作っておきました。」
「ああ。美味かったよ。久しぶりの美織のカレーライスとても美味しかった。」
「まだ、あるのでは?」
「え、あ、うん。お鍋に残っている。」
「それがなくなったら、誘ってください。」
「でも、ご飯が……。」
「昨夜のご飯、もう全部ないのですか?おかまの中を水に入れて、ご飯粒が取りやすいようにしてくれましたか?それに、炊飯器が使えなくても、佐藤のご飯の買い置きがあったので、電子レンジでチンしたら、いいですよ。カレーを全部、食べてからでないと、一緒には行きません。」
社長は、叱られた犬みたいに、しょんぼりしている。
「昨日もカレー、今日もカレーだと飽きる。」
「はぁ!?本当に、社長と結婚していたって信じてほしければ食べなさい!」
「美織が一緒に帰ってくれたら、食べる。」
「信じられない!こんな男性と結婚していたなんて、どこがよくて一緒になったのか、わからないわ。やっぱり、嘘だったのか?それとも弱みを握られていて、脅されて仕方なく結婚したとか?」
「わかった。カレーは食べるよ。完食する。約束するから。そのかわり、明日は俺とデートしてほしい。」
「……。」
「無理にとは、言わない。だけど、結婚していた時、美織が悦んでくれたことを一つずつ、これから始めていきたいと思っている。だから、もう一度最初から、愛情を紡ぐというのは、どうだろうか?」
「ひとつ、お聞きしてもいいですか?社長にとって、多摩川美織はどういった女性ですか?」
会社には、「まだ体調が悪いので、お休みします」と連絡を入れる。生まれて初めてのずる休みを経験するつもり。
さて、電話はしたものの、今日は一日何して遊ぼうかな。
とりあえず、着替えて出かける用意をしよう。ウインドウショッピングして、お茶して、それから……、後は未定というところ。
美味しそうなケーキがあれば、買ってみたい。
このお休みの間に、制服の洗濯をしなきゃ、クリーニングを朝出して夕方OKならいいはず。
最初は、急なずる休みに時間を持て余すと思ったけれど、こうしてみるとやることはけっこうあると思う。
部屋の掃除も何か月間かサボったみたいで、ところどころに埃が浮いているのを目にする。
病は気から、気というのは空気とも関連がある。きれいな空気の場所にいないと身も心もボロボロになってしまうものだから、掃除をしよう。
何もお出かけができないまま、あっという間に1日が過ぎてしまう。まあ、クリーニングと夕飯の買い物のための外出はしたぐらいで、これなら明日もずる休みしようかしらね。
明日こそは、ケーキを食べるぞ!
夕方になり、クリーニングを受け取りのため、外へ出ようとしてドアを開けたら、そこに社長が立っていた。
「やっぱり、結婚前のマンションにいたんだ。昨日、自宅からいなくなって、心配してたんだ。」
「?」
「え……と、社長ですか?中へどうぞ。」
美織は、社長を中に入れる。
一応、結婚していたのだから、変なことはしないだろう。
コーヒーを沸かし、社長の目の前に置く。
「ちょっと、そこまで出ますけど、すぐ戻ってきますから、これでも飲んで待っていてください。」
「いや、そこまでなら、一緒に行こう。」
なぜか、社長と会社の制服を取りに行く羽目になろうとは……。
「どうだ?体調は?」
「あまり……。」
「無理しないで、ゆっくり休め。」
「明日も、お休みください。」
「もちろんだよ。退院したからと言って、すぐに仕事に復帰しなくても大丈夫だ。」
美織は、マンションから100メートルのところにあるクリーニング店で、制服を受け取る。
「今夜、飯でも一緒に食わないか?」
「昨日、カレーを作っておきました。」
「ああ。美味かったよ。久しぶりの美織のカレーライスとても美味しかった。」
「まだ、あるのでは?」
「え、あ、うん。お鍋に残っている。」
「それがなくなったら、誘ってください。」
「でも、ご飯が……。」
「昨夜のご飯、もう全部ないのですか?おかまの中を水に入れて、ご飯粒が取りやすいようにしてくれましたか?それに、炊飯器が使えなくても、佐藤のご飯の買い置きがあったので、電子レンジでチンしたら、いいですよ。カレーを全部、食べてからでないと、一緒には行きません。」
社長は、叱られた犬みたいに、しょんぼりしている。
「昨日もカレー、今日もカレーだと飽きる。」
「はぁ!?本当に、社長と結婚していたって信じてほしければ食べなさい!」
「美織が一緒に帰ってくれたら、食べる。」
「信じられない!こんな男性と結婚していたなんて、どこがよくて一緒になったのか、わからないわ。やっぱり、嘘だったのか?それとも弱みを握られていて、脅されて仕方なく結婚したとか?」
「わかった。カレーは食べるよ。完食する。約束するから。そのかわり、明日は俺とデートしてほしい。」
「……。」
「無理にとは、言わない。だけど、結婚していた時、美織が悦んでくれたことを一つずつ、これから始めていきたいと思っている。だから、もう一度最初から、愛情を紡ぐというのは、どうだろうか?」
「ひとつ、お聞きしてもいいですか?社長にとって、多摩川美織はどういった女性ですか?」
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