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王都の王立学園の卒業式でのこと
「公爵令嬢エスメラルダ・アルフォンス、貴様とは、今ここで婚約を破棄するものとする。」
「理由は何かお聞かせいただくことが可能でございましょうか?」
「ふん、白々しいことを、ここにいる男爵令嬢リリアーヌ・ドイルをさんざん虐めてきたではないか?見ろ、かわいそうに貴様が怖くて、震えているではないか?」
「わたくしのどこに非があると言いうのですか?わたくしは、淑女としての心構えを諭しただけです。そもそも、婚約者の居る男性に色目を遣い、婚約者から奪っていいものでしょうか?リリアーヌ様は、わたくしから何もかも奪って、それが幸せですか?そんな形で手に入れた幸せは必ず、滅します。」
「言いたいことは、それだけか?俺は男爵令嬢リリアーヌ・ドイルと結婚する。貴様は未来の国母を虐めた罪で拘束させてもらうこととする。」
「冤罪です。虐めなどしておりません。」
「問答無用だ。騎士!こやつを連れていけ!」
エスメラルダは、修道院へ送られ、生涯幽閉されることになる。家族とも一切連絡が取れないまま、孤独死するのである。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
気が付くと、エスメラルダは若返っていた!? いや、なんとなくだけど手に皺がない。それに公爵家の自分の部屋に寝ているような気がする。
エスメラルダは、確かに修道院の石造りの部屋に長年押し込められていたのだ。公爵令嬢であったことから、労役はなく、ただ本を読んで過ごしていた。お祈りの時間だけ、部屋の外に出られたが、それ以外は、ずっと薄暗い部屋に閉じ込められていたのだ。
「お嬢様、お目覚めになられましたか?今日は卒業式でございますわよ。」
ということは、断罪される日に戻ってきたのか?今日、エスメラルダは、宰相の息子で従兄弟のカルロス・アルフォンス、騎士団長の息子でセシリオ、教皇の息子でクリストバルと第2王子殿下のベルナルド様、それに殿下の浮気相手の男爵令嬢リリアーヌ・ドイルにありもしない無実の罪で断罪され、修道院に送られてしまう。
いやだ。いやだ。仮病を使って卒業式に出ない?セブリアン叔父様が宰相でパーティに出席されるのに、仮病なんて使ったら、バレバレになる。
この日に戻ったということは、何か意味があるのかもしれない。意を決して、卒業式へ行く準備をする。
そして、使用人や家族に今生の別れをして家を出る。
「卒業式に行くぐらいで、何を大げさにしているのだ。」
みんなに呆れられるが、本当にもう帰ってこれないので、ここできちんとお別れを言っておかなければという気になる。
そして、卒業式。前世と同じように集団に取り囲まれる。
「公爵令嬢エスメラルダ・アルフォンス、貴様とは、今ここで婚約を破棄するものとする。」
「理由は何かお聞かせいただくことが可能でございましょうか?」
「ふん、白々しいことを、ここにいる男爵令嬢リリアーヌ・ドイルをさんざん虐めてきたではないか?見ろ、かわいそうに貴様が怖くて、震えているではないか?」
「わたくしのどこに非があると言いうのですか?わたくしは、淑女としての心構えを諭しただけです。そもそも、婚約者の居る男性に色目を遣い、婚約者から奪っていいものでしょうか?リリアーヌ様は、わたくしから何もかも奪って、それが幸せですか?そんな形で手に入れた幸せは必ず、滅します。」
「言いたいことは、それだけか?俺は男爵令嬢リリアーヌ・ドイルと結婚する。貴様は未来の国母を虐めた罪で拘束させてもらうこととする。」
「冤罪です。虐めなどしておりません。」
「問答無用だ。騎士!こやつを連れていけ!」
エスメラルダは、修道院へ送られるはずが、途中、馬車が大きく揺れた。空を飛んでいるかのような浮遊感の後、急激に落下していき衝撃がカラダに伝わったところで意識がなくなる。
「公爵令嬢エスメラルダ・アルフォンス、貴様とは、今ここで婚約を破棄するものとする。」
「理由は何かお聞かせいただくことが可能でございましょうか?」
「ふん、白々しいことを、ここにいる男爵令嬢リリアーヌ・ドイルをさんざん虐めてきたではないか?見ろ、かわいそうに貴様が怖くて、震えているではないか?」
「わたくしのどこに非があると言いうのですか?わたくしは、淑女としての心構えを諭しただけです。そもそも、婚約者の居る男性に色目を遣い、婚約者から奪っていいものでしょうか?リリアーヌ様は、わたくしから何もかも奪って、それが幸せですか?そんな形で手に入れた幸せは必ず、滅します。」
「言いたいことは、それだけか?俺は男爵令嬢リリアーヌ・ドイルと結婚する。貴様は未来の国母を虐めた罪で拘束させてもらうこととする。」
「冤罪です。虐めなどしておりません。」
「問答無用だ。騎士!こやつを連れていけ!」
エスメラルダは、修道院へ送られ、生涯幽閉されることになる。家族とも一切連絡が取れないまま、孤独死するのである。
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気が付くと、エスメラルダは若返っていた!? いや、なんとなくだけど手に皺がない。それに公爵家の自分の部屋に寝ているような気がする。
エスメラルダは、確かに修道院の石造りの部屋に長年押し込められていたのだ。公爵令嬢であったことから、労役はなく、ただ本を読んで過ごしていた。お祈りの時間だけ、部屋の外に出られたが、それ以外は、ずっと薄暗い部屋に閉じ込められていたのだ。
「お嬢様、お目覚めになられましたか?今日は卒業式でございますわよ。」
ということは、断罪される日に戻ってきたのか?今日、エスメラルダは、宰相の息子で従兄弟のカルロス・アルフォンス、騎士団長の息子でセシリオ、教皇の息子でクリストバルと第2王子殿下のベルナルド様、それに殿下の浮気相手の男爵令嬢リリアーヌ・ドイルにありもしない無実の罪で断罪され、修道院に送られてしまう。
いやだ。いやだ。仮病を使って卒業式に出ない?セブリアン叔父様が宰相でパーティに出席されるのに、仮病なんて使ったら、バレバレになる。
この日に戻ったということは、何か意味があるのかもしれない。意を決して、卒業式へ行く準備をする。
そして、使用人や家族に今生の別れをして家を出る。
「卒業式に行くぐらいで、何を大げさにしているのだ。」
みんなに呆れられるが、本当にもう帰ってこれないので、ここできちんとお別れを言っておかなければという気になる。
そして、卒業式。前世と同じように集団に取り囲まれる。
「公爵令嬢エスメラルダ・アルフォンス、貴様とは、今ここで婚約を破棄するものとする。」
「理由は何かお聞かせいただくことが可能でございましょうか?」
「ふん、白々しいことを、ここにいる男爵令嬢リリアーヌ・ドイルをさんざん虐めてきたではないか?見ろ、かわいそうに貴様が怖くて、震えているではないか?」
「わたくしのどこに非があると言いうのですか?わたくしは、淑女としての心構えを諭しただけです。そもそも、婚約者の居る男性に色目を遣い、婚約者から奪っていいものでしょうか?リリアーヌ様は、わたくしから何もかも奪って、それが幸せですか?そんな形で手に入れた幸せは必ず、滅します。」
「言いたいことは、それだけか?俺は男爵令嬢リリアーヌ・ドイルと結婚する。貴様は未来の国母を虐めた罪で拘束させてもらうこととする。」
「冤罪です。虐めなどしておりません。」
「問答無用だ。騎士!こやつを連れていけ!」
エスメラルダは、修道院へ送られるはずが、途中、馬車が大きく揺れた。空を飛んでいるかのような浮遊感の後、急激に落下していき衝撃がカラダに伝わったところで意識がなくなる。
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2024年12月追記
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