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翌朝、目覚めた時は、夢の中でナニしていたかと思えるぐらい汗をびっしょりかいていて、気持ち悪いからお風呂に入ったぐらい。
何気なく朝食の時、リチャード殿下の方を見ると、難しい顔をされている。やっぱり昨夜聞いた話は本当のことだったのだろうか?でも、ニュースソースは明かせない。
迷った挙句、ロアンヌは、殿下も知らんぷりされているので、わざわざロアンヌから言うこともないだろうと、何も言わないことに決める。
でも、なんだかモヤモヤする。でも、言わないんだから、絶対に!
「さっきからロアンヌは、なんで百面相をしているんだね?何か楽しいことでもあったか?」
「は?……いえ、別に……、殿下の方こそ、朝から難しいお顔を去れていたようですが?」
げ!知らない間に、顔に出ていたなんて、恥ずかしい。なんとか、ごまかそうと話をふって見る。
「う……む。伝書鳩が、どこかに行ってしまったようなのだ」
「え?追跡が失敗したということなのですか?」
「いや、そうではないのだが……、戻ったところに巣箱はなかったというか……人が住んでいそうな場所ではなかったというべきか」
「それでは、また捜査はイチからやり直しですわね」
「そうなんだ。番(つがい)作戦はうまくいくと思ったのだがな」
「伝書鳩や魔法鳥でなければ、手紙は届けられないのでしょうか?」
「ん?それはどういう意味だ?」
「いえ、たとえば伝令のようなもので、内容だけを手紙にするようなことはできないのか、と思いまして」
うまく伝えられないけど、例えば経由地点があった場合、本来の送り主から経由地点を通り、経由地点から王城なり離宮なりに送ったと考えれば、経由地点に人がっ済んでいなくても問題はない。
経由地点は、その場所に行く用事のある人物に頼めばよいだけのことで、本来の送り主は別のところにいれば、それは可能というか、アリバイが成立するのではと考える。
「うーむ。可能性がないわけではないな。ある意味、行商人なら、いつもその場所を通ることがあれば、むしろ可能であるな。早速、伝書鳩を見失ったあたりをよく通りがかる者たちを洗い出すとするか」
「その場所は、一体どういうところなのでございますか?何もない岩場とも、砂漠とも、聞いているが、要するに草木が生えているところがなく険しい場所と聞いている」
昨夜、ロバートと出会った場所とは違うようだ。あの場所へは行ったことはないが、辺り一面花が咲き誇っていて、何の花だったかは記憶にないが、綺麗で幻想的な景色だった。そういえば、人は死ぬとき、死んですぐの頃、お花畑を歩いていくという話をよく耳にする。
ロバートとお花畑で会ったのだから、きっとあれは、死後の世界だと思う。ロバートは死んだからこそ、この現実世界のことが見えるのであって、もう生きてはいないと考える方が妥当だろうか。
ひょっとすれば、あのお花畑はこの世と死後の世界を結ぶ面会所のようなところなのかもしれない。
でも、もう二度と会えなくなってしまったロバートとの逢引きは正直なところ、複雑である。昔、確かにロバートのことを愛していた。だけど、今も愛しているとは言えない。
リチャード殿下のことをロバートは悪く言うが、あの時は、この選択しか考えられなかったことも事実で、それをわかってくれとは、言えないが、娼婦呼ばわりされるほど、ふしだらなことも不義理なこともしていないと思う。
それにウイリアムを産んだことで、将来の国母になる道が開けたといっても過言ではない。
どの道、もう会うこともないだろうから、クヨクヨしていても始まらない。まさか、今夜も化けて出てくるなんてことないわよね!?
果たしてロバートに逆恨みされているのかしら。自分は死んで、生き残った婚約者の幸せを願うことはないのか?
その婚約者が罪人同様に、修道院へ入れられ、一生を神様に捧げることを本気で望んでいるのか?何のために生まれてきたかわからない。
でももし、ロバートが本当は生き残っていて、今まで出てこなかったのは、何らかの事情や手違いがあり、あるいは自分のことをすっかり忘れていたのだったとしたら、唯一の家族同然のロアンヌが、王家と婚姻を結び、親友のリチャードの子供を孕んでいると知ったら、絶望するだろうか?
そう考えると、今度のロミオメールは理不尽だが、納得が行くというもの。
少なくとも、モントリオール家のカトリーヌ犯人説より、説得力があるように感じられるが、このことはあくまでロアンヌの推論である。何の証拠もなし。まして、実はロバートが生きていた。なんて、突拍子もないこと、考えにくい。
もし、生きていたら、真っ先にロアンヌに連絡をするのが、当然だと思うし、事故から1年以上経ってから、実は生きていました。だから、結婚や出産をするのはやめてくれ。なんて、お門違いも甚だしいところ。
つらつらとまたしても、考え事をしてしまう.今夜もリチャード殿下は書斎で休まられる模様。せっかくの新婚旅行だというのに、領地から利休に来た日に一度だけ、愛し合っただけで、それからというもの、リチャードはなぜか書斎に籠りきりのまま、出てこようとしない。
ロアンヌから、書斎に押しかけでもしたら、それこそ、はしたない女と思われてしまう。
何気なく朝食の時、リチャード殿下の方を見ると、難しい顔をされている。やっぱり昨夜聞いた話は本当のことだったのだろうか?でも、ニュースソースは明かせない。
迷った挙句、ロアンヌは、殿下も知らんぷりされているので、わざわざロアンヌから言うこともないだろうと、何も言わないことに決める。
でも、なんだかモヤモヤする。でも、言わないんだから、絶対に!
「さっきからロアンヌは、なんで百面相をしているんだね?何か楽しいことでもあったか?」
「は?……いえ、別に……、殿下の方こそ、朝から難しいお顔を去れていたようですが?」
げ!知らない間に、顔に出ていたなんて、恥ずかしい。なんとか、ごまかそうと話をふって見る。
「う……む。伝書鳩が、どこかに行ってしまったようなのだ」
「え?追跡が失敗したということなのですか?」
「いや、そうではないのだが……、戻ったところに巣箱はなかったというか……人が住んでいそうな場所ではなかったというべきか」
「それでは、また捜査はイチからやり直しですわね」
「そうなんだ。番(つがい)作戦はうまくいくと思ったのだがな」
「伝書鳩や魔法鳥でなければ、手紙は届けられないのでしょうか?」
「ん?それはどういう意味だ?」
「いえ、たとえば伝令のようなもので、内容だけを手紙にするようなことはできないのか、と思いまして」
うまく伝えられないけど、例えば経由地点があった場合、本来の送り主から経由地点を通り、経由地点から王城なり離宮なりに送ったと考えれば、経由地点に人がっ済んでいなくても問題はない。
経由地点は、その場所に行く用事のある人物に頼めばよいだけのことで、本来の送り主は別のところにいれば、それは可能というか、アリバイが成立するのではと考える。
「うーむ。可能性がないわけではないな。ある意味、行商人なら、いつもその場所を通ることがあれば、むしろ可能であるな。早速、伝書鳩を見失ったあたりをよく通りがかる者たちを洗い出すとするか」
「その場所は、一体どういうところなのでございますか?何もない岩場とも、砂漠とも、聞いているが、要するに草木が生えているところがなく険しい場所と聞いている」
昨夜、ロバートと出会った場所とは違うようだ。あの場所へは行ったことはないが、辺り一面花が咲き誇っていて、何の花だったかは記憶にないが、綺麗で幻想的な景色だった。そういえば、人は死ぬとき、死んですぐの頃、お花畑を歩いていくという話をよく耳にする。
ロバートとお花畑で会ったのだから、きっとあれは、死後の世界だと思う。ロバートは死んだからこそ、この現実世界のことが見えるのであって、もう生きてはいないと考える方が妥当だろうか。
ひょっとすれば、あのお花畑はこの世と死後の世界を結ぶ面会所のようなところなのかもしれない。
でも、もう二度と会えなくなってしまったロバートとの逢引きは正直なところ、複雑である。昔、確かにロバートのことを愛していた。だけど、今も愛しているとは言えない。
リチャード殿下のことをロバートは悪く言うが、あの時は、この選択しか考えられなかったことも事実で、それをわかってくれとは、言えないが、娼婦呼ばわりされるほど、ふしだらなことも不義理なこともしていないと思う。
それにウイリアムを産んだことで、将来の国母になる道が開けたといっても過言ではない。
どの道、もう会うこともないだろうから、クヨクヨしていても始まらない。まさか、今夜も化けて出てくるなんてことないわよね!?
果たしてロバートに逆恨みされているのかしら。自分は死んで、生き残った婚約者の幸せを願うことはないのか?
その婚約者が罪人同様に、修道院へ入れられ、一生を神様に捧げることを本気で望んでいるのか?何のために生まれてきたかわからない。
でももし、ロバートが本当は生き残っていて、今まで出てこなかったのは、何らかの事情や手違いがあり、あるいは自分のことをすっかり忘れていたのだったとしたら、唯一の家族同然のロアンヌが、王家と婚姻を結び、親友のリチャードの子供を孕んでいると知ったら、絶望するだろうか?
そう考えると、今度のロミオメールは理不尽だが、納得が行くというもの。
少なくとも、モントリオール家のカトリーヌ犯人説より、説得力があるように感じられるが、このことはあくまでロアンヌの推論である。何の証拠もなし。まして、実はロバートが生きていた。なんて、突拍子もないこと、考えにくい。
もし、生きていたら、真っ先にロアンヌに連絡をするのが、当然だと思うし、事故から1年以上経ってから、実は生きていました。だから、結婚や出産をするのはやめてくれ。なんて、お門違いも甚だしいところ。
つらつらとまたしても、考え事をしてしまう.今夜もリチャード殿下は書斎で休まられる模様。せっかくの新婚旅行だというのに、領地から利休に来た日に一度だけ、愛し合っただけで、それからというもの、リチャードはなぜか書斎に籠りきりのまま、出てこようとしない。
ロアンヌから、書斎に押しかけでもしたら、それこそ、はしたない女と思われてしまう。
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