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人魚を釣り上げた俺

アリーシャ

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 俺の趣味は、魚釣りである。
 会社が休みの土曜日、海で魚を釣っていた。
 その日は、大物が釣れた。1m50㎝ぐらいの長さが釣れた。
 いつもは、キャッチ&リリースをする俺だが、その日釣れた魚は鱗が妙に美しく艶めかしかった。
 俺は、釣り仲間に自慢するため、魚拓にもせず、水槽に入れ持ち帰った。
 
 「今度、暇ができたら俺ん家に来いや。すげぇ、大物が釣れたんだ。いっぺん見せてやるよ。」幼馴染の友に電話した。

 日曜日の朝、水槽のふたを開け、俺は、驚いた。
 水槽の中には、人魚がいた。なかなかの美形だ。
 ブロンドの髪をなびかせ、濃紺の瞳、おっぱいは大きくて先っぽがピンク色していた。
 見た瞬間、鼻血が出た。

 俺は、あわててブラジャーを買って、人魚に着けさせた。
 おっぱいを、放り出されていたら、欲情して仕方がないからだ。

 月曜日、仕事から帰って、コンビニ弁当をつついていたら、人魚が目に入った。
 少しだけなら、触ってもいいかな?
俺の釣果なのだから、焼こうが煮ようが触ろうが、俺の自由の筈だ。
 
 一応、人魚に聞いた。
 人魚は、黙って頷いてくれた。
 ラッキーだと思った。

 水槽の中では、感じが出ないので、ベッドの上にビニールシートを敷き、人魚を寝かせた。
 俺は、服が濡れるのがイヤなので、裸になった。
 
 最初は唇にキスをした。柔らかい唇だった。
 口の中に舌を滑り込ませた。口の中には、舌があり絡ませてきた。

 キスだけでも、儲けものだと思った。
 俺は、彼女いない歴=年齢だった。
 まだ、童貞である。

 この人魚相手に、練習をしてから風俗へ行けば、馬鹿にされることも少ないだろう。
 とことん練習させてもらおう。
 たとえ最後までは無理だとしても、それは、自分で処理すればいいのだから。

 俺は、ブロンドのうなじに沿って、唇を這わせた。
 ついで、おっぱいを揉み始めた。

 「!」

 驚いたことに、人魚が喘ぎ声を出し始めた。
 その声は、人間と変わらない声だった。

 「お前、喋れるのか?」俺は、手を止めずに聞いた。

 「はい。釣り上げてくださり、ありがとうございます。」

 「名前はあるのか?」

 息も絶え絶えに、

 「アリーシャと申します。ご主人様♡」

 いやいや、俺は主人じゃないから、いや、俺が釣り上げたから俺のモノか?

 俺は下半身の人魚の鱗を撫でた。
 これが、本物の女ならな、と思いながら撫で続けた。
 すると、何やら感触が変わったような気がした。
 気のせいだ。俺は、欲求不満だったから、気のせいだ。
 恐る恐る下半身を見たら、魚の部分が人間の体になっていた。

 俺は迷わず、むしゃぶりついた。
 アリーシャの足の間に膝を割り込ませ、腰を愛撫した。
 足の指の1本1本を舐め、しゃぶりつくした。
 足の親指と親指の間に顔を埋め、においを嗅いだが、魚臭くなかった。

 アリーシャは乱れまくって、ベッドのシーツを掴んだ。
 ついに、俺は童貞を卒業した。やったぜ!

 不思議なことに、その翌日(火曜日)から俺はモテまくった。

 駅の売店で、おばちゃんにおまけしてもらった。
 会社で出張の精算をしてもらおうと、総務へ行ったら、いつもは汚いものを見るような目で見られるのが当たり前の美人から、手を握られた。

 「大丈夫ですか?どこか具合でも、お悪いんですか?」と聞いても、笑顔で

 「今夜、空いています。デートに誘ってください。」と言われた。

 俺には、アリーシャがいる。今夜もアリーシャを抱くのだ。

 「今夜は先約があります。」つれなく返事をし、席に戻った。

 昼飯を食べようと近くの定食屋へ入ったら、俺だけおかずが一品多かった。

 その後もラッキー続きだった。

 これは、きっとアリーシャのおかげだ、と思って、喜び勇んで帰宅した。

 それからアリーシャとめくるめく快楽の日々を過ごした。仕事も人間関係も絶好調になった。
 金曜日の夜が来た。
 明日で、アリーシャと出会って、1週間になる。
 今夜は、一晩中、アリーシャを離さないと決めていた。

 アリーシャを水槽から出して、ビニールシートをベッドに敷く。
 ベッドサイドには、マムシドリンク剤と会社帰りに買ったオモチャ、Hな下着を用意した。

 俺は、全裸になって、事に及んだ。




 土曜日の朝、幼馴染が来た。
 玄関に鍵はかかっていたが、鍵のありかを知っていたので、そのままドアを開けて入り込んだ。

 あいつは、いなかった。
 「留守かな?」と思い、水槽がある部屋に行った。

 見事な美しい魚が泳いでいた。

 「自慢したくなるわけだ。」

 しばらく、魚を眺めていたら妙な気分になってきた。
 「?」と思いながらも、あいつが帰ってくるのを待った。
 いつまで経っても、あいつは帰って来ないから、置手紙をして、水槽ごと家へ持って帰ることにした。
 なぜか、水槽から「私を連れて帰って。」という声が聞こえたような気がしたからだ。





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