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第1章
8.卒業式
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そして、街に舞った学園の卒業式。その日の朝、王家からアレックス様からの迎えの馬車が来るはずなのに、いっこうに来ない。業を煮やしたお父様は、ロマノフ家で馬車を仕立て卒業式の会場に向かうことになった。
婚約してから一度も、アレックス様と向き合ったことがない。こんなことで、本当に明日、結婚式ができるのか不安で仕方がない。
護衛の騎士に聖騎士までいるのだが、エスコートしてくれるのはお父様。きっと神様がお嫁に行く前の最後の時間をお父様と過ごさせてくださっているといいように勘違いしていると、久しぶりにチャリンという電子音が響いた。
会場に入ると、まずは卒業証書と記念品の授与がある。それが済めば、祝賀パーティが行われるという段取りで、まずは、お父様は来賓席へ向かわれ、ルミアマリーゼは、卒業生の席に着く。席順は、クラス単位で座るが、誰もしゃべる人はいない。学園の生徒でいる間は、みんな平等だが、卒業してしまえば、それぞれ家格や爵位、身分さや職業によって序列ができてしまうので、在学中もそういう面もあったが、卒業してからは、さらにひどくなる。
学園長から順番に名前を呼ばれ、卒業証書と記念品の授与がある。
ルミアマリーゼの番が来たので、壇上に上がると「聖女様である」とわざわざ付け加えて言われたので、とても恥ずかしく思ってしまう。
でも、その時の父の様子は胸を張り、自分の娘であることを誇らしく思っているようなので、見ないようにしていた。
その会場の中で、ルミアマリーゼに明らかな敵意を向けてくる令嬢がいた。ピンク色のフワフワカールの女性だが、ルミアマリーゼから見て、初見の令嬢のようだった。誰かしら?
次の祝賀パーティに映ってから、その答えはすぐに分かった。どうやら、ルミアマリーゼの婚約者であるアレックス王子殿下の恋人のような存在だということで、それで敵意をむき出しにされていたことがわかる。
でもね。婚約者はルミアマリーゼただ一人で、結婚してからなら、側室を持つことの自由は認められている。
ルミアマリーゼは、内心、アンタが聖女様の役を引き受けてくれるのなら、わたくしはこんな世界からさっさとおさらばして、日本へ帰りたいのよ。そして、聖女様の力を遣って、もう一度健彦とやり直したいと本気で考えている。
婚約してから、ただの一度も顔を見せなかったアレックス殿下より、死の間際、悲痛な叫び声をあげてくれた健彦の方が人間としても、男としても、まだ許せる。
それで、どうしたいわけ?悠然と構えているルミアマリーゼをよそに、アレックスは声高に宣言しちゃったわけよ。
「聖女でありながら公爵令嬢ルミアマリーゼ、貴様との婚約は今をもって破棄するものとする!」
「左様でございますか?では、わたくしとの婚約は破棄でかまいませんわ。国王陛下もそれでよろしいのでございますわね?」
「アレックス!貴様、なんてことを言いだすのだ!」
「ですが、このような女と結婚しても、お飾りで満足に夜伽もできないではありませんか?」
へ?今、何て言った?
お飾り?夜伽がない?何よ、それ、聞いていないわよ?
「バカ者!理由は何だ?なぜ、聖女様との結婚は無理なのか訳を言え!」
「それは……、俺は男爵令嬢のリリアーヌのことを真に愛しております。それなのに、そこの聖女がこの愛するリリアーヌをさんざん学園内でイジメていたというではありませんか?俺はその話を聞いたとき、なんてゲスな女だと……はらわたが煮えくり返る思いをしました」
「はあ?聖女様には、24時間、聖騎士が片時も離れずにくっついているのだぞ?アレックスはそのようなこともわからないバカになってしまったのか?お前は、国教会を愚弄しているのか?」
「いや、そういうわけでは、ございませんが、とにかくリリアーヌを苛めるような性悪女とは結婚したくないと申し上げているのでございます」
「だから、他人を苛めるような時間が聖女様のどこにあるというのか!?と聞いておるのだ?聖騎士とロマノフ公爵家の護衛騎士を撒いて、そこのピンク頭を苛める時間など、聖女様にはないのだということを理解していないにも程がある」
「え……!そんなもの放課後にでも、授業時間の合間でも、いつでもやろうと思えばできるのでは?」
「バカか?お前は、もういい!そこのピンク頭、これへ」
今度はリリアーヌ嬢が呼ばれ、恐る恐る陛下の前に跪く。
「リリアーヌ・ドイル男爵令嬢と申したな?その方、本当に学園内で聖女様からいじめられたと申すのか?」
「は、はい。その通りでございます」
「ほう、いつ、どのような形でイジメを受けたのだ?」
「教科書を破り捨てられ、私を階段から突き落とし、バケツの汚水をかぶせられて、びしょ濡れになりました」
「その証拠や証人はいるのか?」
「いいえ、でも逃げていく神の色だけははっきりと覚えております。聖女様と同じプラチナブロンズでした。本当です。信じてください!」
会場内で、ざわざわし始め、また、アレックス殿下が激昂してくるのが分かったと思ったら、急にアレックス殿下から頭突きと共に体当たりを食わされて、後ろによろめいてしまう。はずみで、近くにそびえていた大理石の柱に頭ごと当たり、目の前が急に真っ暗に……。
その時、前世でよく使っていたアクリル板が目の前に現れ、「命と引き換えに1000万ポイントを遣いますか?」という文字が現れた。ビックリしたけど、とりあえずYESを選ぶと、急に会場のざわめきが聞こえてくるようになったけど、今の刃なんだったの?
「アレックス!お前はなんてことをしでかしたのだ!聖女様は国家の宝だぞ、それをお前の身勝手な愛人のせいで、聖女様を死に至らしめようとするなど、あってはならないことをしでかしたのだぞ!聖女様との婚約破棄は認める。いや、破棄というよりも、王家都合による解消ということにさせてもらう。アレックス、お前は廃嫡の上、廃籍する。誰か、このばかとそこの嘘つき女を連れて行け!なお、女は聖女様を冤罪に落とし、愚弄した罪で死罪とするものとする!」
「えっえー!ちょっと、待ってよ。なんでアタシが死罪になるのよ?」
「最後に教えてやろう。この学園には、そこら中に監視魔法が施されていてな、お前が自分で教科書を破り捨てているところや階段から自分で転がり落ちている画像が見えているのだよ」
「うっそ!?」
そこへリリアーヌの父であるドイル男爵が到着し、陛下に跪くよりも先に、リリアーヌ嬢を張り倒す。
「バカ者!学園に行き、いい男を捕まえろとは言ったが、婚約者がいる男はダメだとあれほど口を酸っぱくしていったことを理解できなかったのか?よりによって、殿下を誑かすとは……」
「だってぇ、聖女様だって、言うだけでたいしてきれいでもないくせにズルイでしょ?」
「リリアーヌ!、お前よりも数千倍賢いぞ!家格もウチみたいなどん尻の男爵位ではなく一番上の公爵位の令嬢だということを知っていて、この父を困らせるつもりで……殿下を唆したのか!?」
誑かしたうえで、唆すなんて、極悪人ではないの?
あの時、訳が分からないまま思わず1000万円?を遣ったみたいだけど、コレって保険で出るの?いや、そんなことより、お飾りで、夜伽もないってどういうことよ?
婚約してから一度も、アレックス様と向き合ったことがない。こんなことで、本当に明日、結婚式ができるのか不安で仕方がない。
護衛の騎士に聖騎士までいるのだが、エスコートしてくれるのはお父様。きっと神様がお嫁に行く前の最後の時間をお父様と過ごさせてくださっているといいように勘違いしていると、久しぶりにチャリンという電子音が響いた。
会場に入ると、まずは卒業証書と記念品の授与がある。それが済めば、祝賀パーティが行われるという段取りで、まずは、お父様は来賓席へ向かわれ、ルミアマリーゼは、卒業生の席に着く。席順は、クラス単位で座るが、誰もしゃべる人はいない。学園の生徒でいる間は、みんな平等だが、卒業してしまえば、それぞれ家格や爵位、身分さや職業によって序列ができてしまうので、在学中もそういう面もあったが、卒業してからは、さらにひどくなる。
学園長から順番に名前を呼ばれ、卒業証書と記念品の授与がある。
ルミアマリーゼの番が来たので、壇上に上がると「聖女様である」とわざわざ付け加えて言われたので、とても恥ずかしく思ってしまう。
でも、その時の父の様子は胸を張り、自分の娘であることを誇らしく思っているようなので、見ないようにしていた。
その会場の中で、ルミアマリーゼに明らかな敵意を向けてくる令嬢がいた。ピンク色のフワフワカールの女性だが、ルミアマリーゼから見て、初見の令嬢のようだった。誰かしら?
次の祝賀パーティに映ってから、その答えはすぐに分かった。どうやら、ルミアマリーゼの婚約者であるアレックス王子殿下の恋人のような存在だということで、それで敵意をむき出しにされていたことがわかる。
でもね。婚約者はルミアマリーゼただ一人で、結婚してからなら、側室を持つことの自由は認められている。
ルミアマリーゼは、内心、アンタが聖女様の役を引き受けてくれるのなら、わたくしはこんな世界からさっさとおさらばして、日本へ帰りたいのよ。そして、聖女様の力を遣って、もう一度健彦とやり直したいと本気で考えている。
婚約してから、ただの一度も顔を見せなかったアレックス殿下より、死の間際、悲痛な叫び声をあげてくれた健彦の方が人間としても、男としても、まだ許せる。
それで、どうしたいわけ?悠然と構えているルミアマリーゼをよそに、アレックスは声高に宣言しちゃったわけよ。
「聖女でありながら公爵令嬢ルミアマリーゼ、貴様との婚約は今をもって破棄するものとする!」
「左様でございますか?では、わたくしとの婚約は破棄でかまいませんわ。国王陛下もそれでよろしいのでございますわね?」
「アレックス!貴様、なんてことを言いだすのだ!」
「ですが、このような女と結婚しても、お飾りで満足に夜伽もできないではありませんか?」
へ?今、何て言った?
お飾り?夜伽がない?何よ、それ、聞いていないわよ?
「バカ者!理由は何だ?なぜ、聖女様との結婚は無理なのか訳を言え!」
「それは……、俺は男爵令嬢のリリアーヌのことを真に愛しております。それなのに、そこの聖女がこの愛するリリアーヌをさんざん学園内でイジメていたというではありませんか?俺はその話を聞いたとき、なんてゲスな女だと……はらわたが煮えくり返る思いをしました」
「はあ?聖女様には、24時間、聖騎士が片時も離れずにくっついているのだぞ?アレックスはそのようなこともわからないバカになってしまったのか?お前は、国教会を愚弄しているのか?」
「いや、そういうわけでは、ございませんが、とにかくリリアーヌを苛めるような性悪女とは結婚したくないと申し上げているのでございます」
「だから、他人を苛めるような時間が聖女様のどこにあるというのか!?と聞いておるのだ?聖騎士とロマノフ公爵家の護衛騎士を撒いて、そこのピンク頭を苛める時間など、聖女様にはないのだということを理解していないにも程がある」
「え……!そんなもの放課後にでも、授業時間の合間でも、いつでもやろうと思えばできるのでは?」
「バカか?お前は、もういい!そこのピンク頭、これへ」
今度はリリアーヌ嬢が呼ばれ、恐る恐る陛下の前に跪く。
「リリアーヌ・ドイル男爵令嬢と申したな?その方、本当に学園内で聖女様からいじめられたと申すのか?」
「は、はい。その通りでございます」
「ほう、いつ、どのような形でイジメを受けたのだ?」
「教科書を破り捨てられ、私を階段から突き落とし、バケツの汚水をかぶせられて、びしょ濡れになりました」
「その証拠や証人はいるのか?」
「いいえ、でも逃げていく神の色だけははっきりと覚えております。聖女様と同じプラチナブロンズでした。本当です。信じてください!」
会場内で、ざわざわし始め、また、アレックス殿下が激昂してくるのが分かったと思ったら、急にアレックス殿下から頭突きと共に体当たりを食わされて、後ろによろめいてしまう。はずみで、近くにそびえていた大理石の柱に頭ごと当たり、目の前が急に真っ暗に……。
その時、前世でよく使っていたアクリル板が目の前に現れ、「命と引き換えに1000万ポイントを遣いますか?」という文字が現れた。ビックリしたけど、とりあえずYESを選ぶと、急に会場のざわめきが聞こえてくるようになったけど、今の刃なんだったの?
「アレックス!お前はなんてことをしでかしたのだ!聖女様は国家の宝だぞ、それをお前の身勝手な愛人のせいで、聖女様を死に至らしめようとするなど、あってはならないことをしでかしたのだぞ!聖女様との婚約破棄は認める。いや、破棄というよりも、王家都合による解消ということにさせてもらう。アレックス、お前は廃嫡の上、廃籍する。誰か、このばかとそこの嘘つき女を連れて行け!なお、女は聖女様を冤罪に落とし、愚弄した罪で死罪とするものとする!」
「えっえー!ちょっと、待ってよ。なんでアタシが死罪になるのよ?」
「最後に教えてやろう。この学園には、そこら中に監視魔法が施されていてな、お前が自分で教科書を破り捨てているところや階段から自分で転がり落ちている画像が見えているのだよ」
「うっそ!?」
そこへリリアーヌの父であるドイル男爵が到着し、陛下に跪くよりも先に、リリアーヌ嬢を張り倒す。
「バカ者!学園に行き、いい男を捕まえろとは言ったが、婚約者がいる男はダメだとあれほど口を酸っぱくしていったことを理解できなかったのか?よりによって、殿下を誑かすとは……」
「だってぇ、聖女様だって、言うだけでたいしてきれいでもないくせにズルイでしょ?」
「リリアーヌ!、お前よりも数千倍賢いぞ!家格もウチみたいなどん尻の男爵位ではなく一番上の公爵位の令嬢だということを知っていて、この父を困らせるつもりで……殿下を唆したのか!?」
誑かしたうえで、唆すなんて、極悪人ではないの?
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