浮気者と罵られ婚約破棄された公爵令嬢は、追放されて女神になる。

青の雀

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 マリアンヌとロベルタはマウスレイクの隣国マサチュータッツ国に来ている。父公爵を冒険者ギルドで登録させてから、いったん帰国させ、国王陛下の許しをもらってから、合流しようということになったのだが、そんな公爵を国王陛下がお許しになるとも思えず、苦肉の策でマリアンヌが説得したのである。

 幼い時の夢はかなったのだから、もういいでしょう?というのが本音である。いくらウィリアム殿下が失脚されたとはいえ、マリアンヌとロベルタの国外追放はまだ、生きている。

 これからは、本当に女神としてやっていけるの?まるで、あの時、自分に暗示をかけるみたいに父に宣言してしまったマリアンヌ。だが、本当は不安で仕方がない。最低でも聖女の力はあるらしいので、なんとかなるでしょう、とは思っているのだが。

 マサチュータッツ国、メトグルコという街にたどり着いたのである。とにかく今日の宿を確保して、それからどうするのかを話し合うつもりでいる。

 街の門をくぐると、また騒ぎになったのである。

 マリアンヌは、自分の姿がそれほど特異と思っていなく、なぜ騒がれるのかわからないでいる。

 ロベルタは、そんなマリアンヌを不思議に思うが黙っている。ロベルタは自分でもマリアンヌの影響を受けて、輝いているという自覚がある。マウスレイクでの教会から、ずっと気づいているのだ。だから、この先も何があろうとずっとマリアンヌと一緒にいたい。マリアンヌと離れたら、自分は本当にただの犯罪者になってしまうと思っているのだ。伯爵令息よりも騎士団長の息子であった時よりも、眷属と呼ばれる今のほうが、ずっと光栄なのである。

 「ようこそ、おいでくださいました女神さま。」

 気づけば、一人の老人がマリアンヌの足元に跪いている。

 「お迎え、ご苦労。」

 涼しい顔をして答えるものの、内心心臓バクバクである。
 その老人は、この街を修める領主で伯爵の地位にあったアーノルド・メトグルコという人でした。マウスレイク国から、女神様が来られるという情報を入手して、王都から領地へ戻ってきたばかりであったのだ。

 「ささ、狭苦しい処ではございますが、今宵はゆっくりと滞在してくださいませ。」

 案内された部屋は、広さ100畳分はあろうかという、だだっ広い部屋に豪華な調度品の数々、これのどこが狭いねん!とツッコミ入れたくなるような広さであったのである。

 ただ天蓋付きのベッドが一つしかない。え?いやいや、ありえない!どういうこと?と思っていたら、ロベルタ様が何かを察してくださり、自分は廊下で寝ますから、と仰ってくださり、ほっと一安心しました。

 ロベルタ様が廊下に出てくださり、ホッとしているとあの伯爵様がいらっしゃって、女神様と眷属様であるから、不埒な関係ではないと思ったとかなんとか、なんなのよ!いったい?

 ちょっとムカついたので、早々にこの街を離れようと思う。
 結局、メトグルコでは、部屋を見ただけで、そこへ泊ることはなく、立ち去ることを決意したのである。

 門から出て行こうとすると門番と押し問答になったので、めんどくさくなって、女神の力をほんの少し使ったら、門番が気絶しちゃったので、その間にそそくさと出て行くことにした。

 だって、眷属様と敬わっていながら、眷属用の部屋がないって、どういうこと?マリアンヌがロベルタを慰み者にしているととらえられたのか?この国、けっこうアタマに来る!

 いったん、マウスレイク国へ戻ろうか?とりあえず、女神の力を遣い、マウスレイク国に帰ることにしたのだが、あまりにも腹が立ったので、メトグルコの天候を1年間、雨ばかりにしてやったわ。ざまあみろ。

 激怒していたら、なぜか神の力が使えるようになっていたのだ。使えるものは遣う。

 転移で、いったんロベルタ様とともにマウスレイクへ戻り、反対側の国へ出発することにしたのだ。

 「ほんとアタマにくるマサチュータッツ国だったわね。もう二度と行ってやるもんですか!」

 「でも向こう一年間は、雨がやまないのでしょう?」

 「一生にしても良かったぐらいだけど、一年でいいでしょう。甘い?」

 「いや、お優しいと思いました。

 その後、アーノルド・メトグルコがマリアンヌたちの行方を求めて、世界中回ったのは言うまでもない。一年間雨が降り続いて、作物は根腐れして収穫ができないのであろう。神の怒りがどんなものか思い知れ!一年で、雨は止む予定だから、大丈夫よ。

 マウスレイクへ戻ってから、今度は反対側の門から出ることにしたのである。
 門番に「女神様まだいらっしゃったのですね。今度はいつ来られます?」なんて、減らず口を叩かれたわ。

 でもそれほど腹は立たない。

 「また、いやな国があったら、大雨を降らせて、帰ってくるわ。今度は雪にしようかしらね。」

 笑って、手を振って出国する。

 さぁて、お次の国はどうだろうか?

 マリアンヌは自分が神であった時の記憶はまだない。いつか思い出したいと願っても仕方がないことだが、まだまだかかるようです。
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