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第四話 友達
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課題を初めて4時間が経過しただろうか。そろそろ日も暮れて来て部活動をやっている生徒も帰宅し始めた頃、俺らも課題が半分くらい終わっていた。
「んー疲れたー」
由愛はグッと背伸びをして机にグタッと脱力し身を任せる。
「だね、今日はもう終わりにしよっか」
「そうするか」
俺は解き終わったプリントを七色に手渡す。
「今日は手伝ってくれてありがと。これだけ終われば後は自力で何とかなると思う」
「そうか、終わりそうになかったら言ってくれ、また手伝うから」
「うん、ありがと」
七色は小さく微笑んだ。
その笑顔に少しドキッと胸が高鳴るのを感じたが、ぐっと唾を呑み込みなかった事にする。
「それじゃ帰りましょ」
七色は移動させてた机を元あった場所に戻しながら言った。
「その前にもう一つだけ、お願いがあるんだけど良いかな?」
七色は俯き気味にそう言葉を零す。
「ん? なんだ?」
「二人の連絡先、交換したいなって。もちろん迷惑だったら無理にとは言わない。でも折角出来た友達だからこれからも仲良くしたいなって。ダメかな?」
「良いわよ、私も交換したいって思ってたし。あんたも良いわよね?」
由愛は七色から俺へと視線を向けた。
「まぁ良いけど」
「ありがと」
七色は嬉しそうにカバンからスマホを取り出した。
俺はスマホのロックを解除し、七色にスマホを渡した。
今考えるとこの学校の生徒と連絡先交換するの初めてかもしれない。
二年になって進級した時、一度だけクラスの男子からクラスグループに入らないかと声をかけられたが、その時面倒くさくて断ってしまった。
そのせいもあり、未だ俺の連絡ツールには親の連絡先しか入っていないのだ。
初めて交換する相手が男友達じゃなくて、銀髪jkと幼馴染とは誰が予想しただろうか。こんなの神様でも予想不可能だろう。
と、そんな事を考えてる合間に、友達登録は終わったようで七色は俺にスマホを返してきた。
返されたスマホの画面には新しく七色恋珀と姫野由愛と言う名が追加されていた。
*
「何とか課題半分終わって良かったな」
由愛との帰り道。俺は安堵の声を漏らす。
「まぁ三人がかりでやって半分しか終わって無いのも問題だと思うけどね」
由愛は道に落ちていた石ころを蹴りながらそう答える。
言われてみれば三人でやって半分しか終わらない課題量ってどれだけため込んでたんだよ。
「そういえばあんたって恋珀とどうやって知り合ったの? 昨日知り合ったばっかりとは聞いたけど、肝心なところ聞いてなかったわ」
由愛は思い出したかの様にはっと目を大きくさせる。
「昨日、帰る途中電車でスマホ落としちゃって、困ってたら七色が届けてくれたってだけだよ」
「そうだったんだ。じゃあ今日課題手伝ったのもその恩返し的な?」
コロコロと石を蹴りながら疑問を投げかけてくる。
「まぁ、そんな所かな。ていうかあんまり考えずに行動してた所あるけど」
「はぁ、お人よしね」
「困ってる人を見捨てるよりはマシだろ」
中学までの俺だったら、いや今も多分困っている人がいても俺は助けないだろう。
他人との関係はトラブルが付き物、そのトラブルを乗り越えてまで他人と良好な関係を築くのと、トラブルを避けるため他人との一切の関わりを断つの、二択だったら俺は真っ先に後者を選ぶはずだ。
なのに何故かあの子、七色恋珀だけにはそうじゃなかった。
でも何故あの時俺が手助けしたのかは俺も分からない。
まぁこれ以上あの子と関わる事は無いだろうから、これで最初で最後のお節介にはなると思うが。
「それじゃ、私こっちだから」
「あぁ、また明日」
「うん。また明日、学校で」
由愛は手をひらひらと振って曲がり角を曲がって行った。
久々に由愛と一緒に帰宅したなと少し懐かしい気持ちになりながら、俺は家までの帰路を進むのだった。
「んー疲れたー」
由愛はグッと背伸びをして机にグタッと脱力し身を任せる。
「だね、今日はもう終わりにしよっか」
「そうするか」
俺は解き終わったプリントを七色に手渡す。
「今日は手伝ってくれてありがと。これだけ終われば後は自力で何とかなると思う」
「そうか、終わりそうになかったら言ってくれ、また手伝うから」
「うん、ありがと」
七色は小さく微笑んだ。
その笑顔に少しドキッと胸が高鳴るのを感じたが、ぐっと唾を呑み込みなかった事にする。
「それじゃ帰りましょ」
七色は移動させてた机を元あった場所に戻しながら言った。
「その前にもう一つだけ、お願いがあるんだけど良いかな?」
七色は俯き気味にそう言葉を零す。
「ん? なんだ?」
「二人の連絡先、交換したいなって。もちろん迷惑だったら無理にとは言わない。でも折角出来た友達だからこれからも仲良くしたいなって。ダメかな?」
「良いわよ、私も交換したいって思ってたし。あんたも良いわよね?」
由愛は七色から俺へと視線を向けた。
「まぁ良いけど」
「ありがと」
七色は嬉しそうにカバンからスマホを取り出した。
俺はスマホのロックを解除し、七色にスマホを渡した。
今考えるとこの学校の生徒と連絡先交換するの初めてかもしれない。
二年になって進級した時、一度だけクラスの男子からクラスグループに入らないかと声をかけられたが、その時面倒くさくて断ってしまった。
そのせいもあり、未だ俺の連絡ツールには親の連絡先しか入っていないのだ。
初めて交換する相手が男友達じゃなくて、銀髪jkと幼馴染とは誰が予想しただろうか。こんなの神様でも予想不可能だろう。
と、そんな事を考えてる合間に、友達登録は終わったようで七色は俺にスマホを返してきた。
返されたスマホの画面には新しく七色恋珀と姫野由愛と言う名が追加されていた。
*
「何とか課題半分終わって良かったな」
由愛との帰り道。俺は安堵の声を漏らす。
「まぁ三人がかりでやって半分しか終わって無いのも問題だと思うけどね」
由愛は道に落ちていた石ころを蹴りながらそう答える。
言われてみれば三人でやって半分しか終わらない課題量ってどれだけため込んでたんだよ。
「そういえばあんたって恋珀とどうやって知り合ったの? 昨日知り合ったばっかりとは聞いたけど、肝心なところ聞いてなかったわ」
由愛は思い出したかの様にはっと目を大きくさせる。
「昨日、帰る途中電車でスマホ落としちゃって、困ってたら七色が届けてくれたってだけだよ」
「そうだったんだ。じゃあ今日課題手伝ったのもその恩返し的な?」
コロコロと石を蹴りながら疑問を投げかけてくる。
「まぁ、そんな所かな。ていうかあんまり考えずに行動してた所あるけど」
「はぁ、お人よしね」
「困ってる人を見捨てるよりはマシだろ」
中学までの俺だったら、いや今も多分困っている人がいても俺は助けないだろう。
他人との関係はトラブルが付き物、そのトラブルを乗り越えてまで他人と良好な関係を築くのと、トラブルを避けるため他人との一切の関わりを断つの、二択だったら俺は真っ先に後者を選ぶはずだ。
なのに何故かあの子、七色恋珀だけにはそうじゃなかった。
でも何故あの時俺が手助けしたのかは俺も分からない。
まぁこれ以上あの子と関わる事は無いだろうから、これで最初で最後のお節介にはなると思うが。
「それじゃ、私こっちだから」
「あぁ、また明日」
「うん。また明日、学校で」
由愛は手をひらひらと振って曲がり角を曲がって行った。
久々に由愛と一緒に帰宅したなと少し懐かしい気持ちになりながら、俺は家までの帰路を進むのだった。
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