6人の皿

hinatakano

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午前4時頃、食堂では小さなパーティーが開かれた。

「これアンタが作ったん!?」小さな弁当をつまみながら野崎が言う。

「えへへ。料理だけは得意なんです」

「けどさ、アンタみたいな子がなんでこんなゲーム参加したん?そんな多額の借金あるようには見えへんけど」

「それが私もよく分からなくて…。気づいたらこういうのが毎日来るんです」

成瀬はそう言って携帯を見せた。

「ご登録ありがとうございます…2日以内に下記の口座へ…ご、50万!?…てこれ架空請求やん!こんなん払ったらあかんで!」

「え…そうなんですか?」

「それでこの人たちにゲームに参加しろって言われたの?」コロッケを頬張りなが

ら神楽が言う。

「いえ、そういうわけじゃないんです。私がお金に困ってるって話を友人にしたら、このゲームのことを知ってる人を紹介してくれて…」

「まぁ裏で繋がってる可能性もあるわね。とにかく今後はこういうのは相手にしな

 いことよ」

「そう言うアンタは?」野崎が神楽に聞く。

「私はね…」神楽はそう言うと思いつめた顔をした。

「な、なに?そんな深刻なことなん?」

少し黙った後に神楽は口を開いた。

「兄が死んだの。…いいえ、ライアーゲームに殺されたのよ」

「こ、殺された!?まさか1億が返せへんかったから?」

「ううん、兄はそれなりに返済能力はあったの。会社も経営してたし。けど強引な取り立てに得意先とも次々と縁を切るハメになって最終的には会社も失った…。程なく自ら命を絶ったわ」

「それでゲームに参加して復讐を?いくら何でも主催者に勝てるわけあらへん…」

「そうね…こんな状態じゃ返す言葉もないわ。けどこれ以上兄のような人を出したくないの」神楽はそう言うと成瀬を見つめた。

「と、とりあえず今はアイツを倒すことだけ考えへんと…」

「そうね…。けど彼は部屋に鍵をかけて籠ってるみたいだからもう奪うことも壊すことも難しいわ。何とか部屋から出す方法があればいいんだけど…」

「俺が手を貸してやろうか?」

3人が悩んでいると加藤が食堂に顔を出した。

「いつから聞き耳立てとったんや。アンタの手なんかいらへんわ!」

「待って。手を貸してくれるってそれ本当?百目鬼と協力してるあなたがこちらに手を貸す理由を教えてもらえないかしら」

「協力っつーかよ、お前らといるよりはアイツといた方がマシだと思っただけだ。実際真宮はダイヤを手にできたしな。だが勝ちが確定したアイツからそれはもう期待できねえ。つまり俺としてはアイツを窮地に陥れたいわけよ」

「…なるほどね。実に利己的で信用に値するわ。手を組みましょう」

「神楽!それホンマに言うてんの!?コイツはウチらを裏切っておまけに皿を割られた時も荷担したんやで!」

「まあまあ、大行は細謹を顧みずよ」

「どゆう意味?」

「細かいことは気にするなってこと」神楽はそう言うと最後のウインナーを口に入れた。
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