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第25話 女神とのゲームに囚われた英雄
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「忘れられし愛の女神……?」
そんな名前の神様、聞いたこともない。
いや、それは果たして神の名なのだろうか。そこからしても不明である。
ベッドに寝転がったリュクレスは上を向いたままため息をついた。
「俺もあいつについてはよく知らないんだ。分かってるのは大昔の女神らしいってことくらいでな。もう自分を信仰する者は絶えて久しい……とか言ってたから」
「会ったことがあるんですか? 神様と」
それはそれで凄いことである。少なくとも、普通じゃない。
「ああ。なに、大したことないさ。普段は隠れてるけどあいつらはいつでもどこでも俺たちを見てる……らしいから。実際に会ったことがあるかどうかは、本当のところそんなに重要じゃないんだ」
「むぅ……、哲学……」
「まぁ神なんてそんなもんだよ。あいつらを人間の常識ではかれると思うな。それでな、『忘れられし愛の女神』――あいつは言ったんだ。その美貌を封じ真実の愛を見つけることができれば、絶大なる英雄の力を授けよう……ってな」
「うわ、本当におとぎ話みたいなことをしていたのですね、リュクレス様は」
「おとぎ話よりは現実の方がルールが込み入ってたがな。真実の愛の相手は聖女であること、とか」
「だからフィメリア様のストーカーを……?」
「当代の認定聖女といえばフィメリアしかいないからな。それから……」
と、リュクレスは自分ののど元の辺りを指差した。
「英雄力は、もう俺に宿っている。これが俺に与えられた飴ってわけだ。だが素顔を見られればこの飴は消えてしまう。そのかわり、聖女の愛を得ることができれば仮面を取っても英雄力は消えなくなる……つまりいくらでも素顔を見せ放題になるってことだ」
「なるほど……」
それが、リュクレスがフィメリアの愛を求める理由だったのか。
「俺は、お前に見せたいんだ……」
気がつけば、リュクレスはソールーナのほうに向いていた。
「天使再臨とうたわれたこの美貌を。一目見ただけで恋に落ちる恋愛提供者とすら呼ばれたこのイケメン顔を……」
「ふぇ……凄い……」
何が凄いって、ここまで言い切るリュクレスの自信が凄い。
「その俺の顔も見ずに俺に惚れるとは、お前は本当におかしな女だよ」
「ちょっと待ってください! 私べつに惚れてませんよ!?」
「照れるな照れるな。花園でキスされたのが効いたんだろ?」
「違います!」
それにもし惚れたのだとしたら、「お前を愛するつもりはない」なんて言った初夜のときに、一緒にいて退屈しなさそうだなぁ、なんて思ったときのことだろう……って、別に惚れてなどいないのだが。
「リュクレス様の馬鹿っ!」
ソールーナは枕を掴んでリュクレスに投げつけた。
「ぶっ」
「人のことからかわないでくださいっ!」
「ふふふふふ、可愛いな、お前」
枕投擲でも口を慎まないとは、さすが邪竜退治の英雄は強敵である。
かくなるうえは、実弾行使!
「くらえ、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!」
ぷすぷすぷすぷすぷすぷすぷすぷすっ。ソールーナはリュクレスの肩のあたりを高速指プッシュする。殴るのはさすがにどうかな、と思ったのだ。
「くすぐっ……、いや痛い。痛っ、痛いって。地味に攻撃力高いなおい」
言いながらもリュクレスはソールーナの手を取った。
「暴力的な解決方法をとるお嬢様には俺が分からせてやる必要があるな」
「え……」
くるん、と回転する景色。
リュクレスがソールーナをベッドに押し倒したのだ。
そんな名前の神様、聞いたこともない。
いや、それは果たして神の名なのだろうか。そこからしても不明である。
ベッドに寝転がったリュクレスは上を向いたままため息をついた。
「俺もあいつについてはよく知らないんだ。分かってるのは大昔の女神らしいってことくらいでな。もう自分を信仰する者は絶えて久しい……とか言ってたから」
「会ったことがあるんですか? 神様と」
それはそれで凄いことである。少なくとも、普通じゃない。
「ああ。なに、大したことないさ。普段は隠れてるけどあいつらはいつでもどこでも俺たちを見てる……らしいから。実際に会ったことがあるかどうかは、本当のところそんなに重要じゃないんだ」
「むぅ……、哲学……」
「まぁ神なんてそんなもんだよ。あいつらを人間の常識ではかれると思うな。それでな、『忘れられし愛の女神』――あいつは言ったんだ。その美貌を封じ真実の愛を見つけることができれば、絶大なる英雄の力を授けよう……ってな」
「うわ、本当におとぎ話みたいなことをしていたのですね、リュクレス様は」
「おとぎ話よりは現実の方がルールが込み入ってたがな。真実の愛の相手は聖女であること、とか」
「だからフィメリア様のストーカーを……?」
「当代の認定聖女といえばフィメリアしかいないからな。それから……」
と、リュクレスは自分ののど元の辺りを指差した。
「英雄力は、もう俺に宿っている。これが俺に与えられた飴ってわけだ。だが素顔を見られればこの飴は消えてしまう。そのかわり、聖女の愛を得ることができれば仮面を取っても英雄力は消えなくなる……つまりいくらでも素顔を見せ放題になるってことだ」
「なるほど……」
それが、リュクレスがフィメリアの愛を求める理由だったのか。
「俺は、お前に見せたいんだ……」
気がつけば、リュクレスはソールーナのほうに向いていた。
「天使再臨とうたわれたこの美貌を。一目見ただけで恋に落ちる恋愛提供者とすら呼ばれたこのイケメン顔を……」
「ふぇ……凄い……」
何が凄いって、ここまで言い切るリュクレスの自信が凄い。
「その俺の顔も見ずに俺に惚れるとは、お前は本当におかしな女だよ」
「ちょっと待ってください! 私べつに惚れてませんよ!?」
「照れるな照れるな。花園でキスされたのが効いたんだろ?」
「違います!」
それにもし惚れたのだとしたら、「お前を愛するつもりはない」なんて言った初夜のときに、一緒にいて退屈しなさそうだなぁ、なんて思ったときのことだろう……って、別に惚れてなどいないのだが。
「リュクレス様の馬鹿っ!」
ソールーナは枕を掴んでリュクレスに投げつけた。
「ぶっ」
「人のことからかわないでくださいっ!」
「ふふふふふ、可愛いな、お前」
枕投擲でも口を慎まないとは、さすが邪竜退治の英雄は強敵である。
かくなるうえは、実弾行使!
「くらえ、馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!」
ぷすぷすぷすぷすぷすぷすぷすぷすっ。ソールーナはリュクレスの肩のあたりを高速指プッシュする。殴るのはさすがにどうかな、と思ったのだ。
「くすぐっ……、いや痛い。痛っ、痛いって。地味に攻撃力高いなおい」
言いながらもリュクレスはソールーナの手を取った。
「暴力的な解決方法をとるお嬢様には俺が分からせてやる必要があるな」
「え……」
くるん、と回転する景色。
リュクレスがソールーナをベッドに押し倒したのだ。
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