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「……最後まで、しちゃいましたね」
「しちゃったねえ」

 あれから一旦果てた後、ベッドに移動した二人はもう一回戦とばかりに睦みあった。
 気怠い空気が流れる中、心地よい疲れとお互いの温もりを感じながら、体を寄せ合いぎこちなく話をし始める。

「……あの、今更なんですけど、これから俺達どうします?」
「どうしますって、どういう意味?」
「いや、あの、その、これから……こんなことがあったから言うわけでもないですけど、俺と付き合ってもらえないかな、なんて……」

 繋いだ手を更にギュッと強く握りしめ、血液が頬に集中するのを感じながら創は視線を宙に彷徨わせる。

「……断る、って言ったら?」
「えっ!どうしてですかっ?」

 そんな返事を想定していなかった創は、ガバリと飛び起き香菜の顔をまじまじと見つめる。

「だって、好きじゃない人と付き合うのって不毛だと思うのよ」
「はあっ?」

 目の前のこの人は、一体何を言っているのだろう。
 部屋に連れ込んでおいて?
 人を誘っておいて?
 セックスまでしておいて?

 なのに『好きじゃない人と付き合うのは不毛だ』と?


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