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3.お姉様と木都フェリル

49.お姉様と湯けむり温泉

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「ふう……」

 俺は湯船に浸かると大きく息を吐いた。

 目の前にははち切れんばかりの白く大きなバスト。

 うーん、いくら女になったとは言え、モア以外の体を見るなんてなかなか無いから、何だか気恥しいな。

 思わず目を逸らすと、横でモアが俺の手をがっしりと握った。

「うふふ、恥ずかしがらなくてもいいのよ? 女の子同士でしょ?」

 俺の方ににじり寄ってくるマロン。

「そ、そろそろ出ようかな」

 のぼせそうになった俺が立ち上がると、モアとマロンが同時に叫んだ。

「お姉さまの背中を流すっ!」
「お背中流します!」

 二人は顔を見合わせる。

「ムッ……!?」
「ムムムッ!?」

 モアとマロンが笑顔で見つめ合う。そしてしばらくにらみ合った二人は急に和解したようにこんなことを言い出した。

「半分づつ洗いましょうか♡」

「うん♡」

 二人がタオルと石鹸を持って俺に近寄ってくる。

「モアが前を洗うからー、マロンは後ろね!」
「おっけー」

 なんか勝手に役割分担まで決まってるし!

「さ、お姉さま、ここも洗おうね♡」
「ねえねえ、ココ、気持ちいい?」

 思い思いに俺の体を洗い始める二人。もー、好きにしてくれ!





「なんかぐったりしてねーか?」

 風呂から上がり、再びモンスターを退治し始めた俺にゼットが尋ねる。

「はは……そうかな……」

「疲れたのか? 少し休んでた方がいいんじゃね?」

 いやいや、ただの気疲れだから!

「大丈夫」

「いや、ホントにマジで顔色悪ぃよ!」

 そう言って俺を屋内へ引っ張っていくゼット。どうやらよっぽど顔色が悪かったらしい。

「のぼせたのかな。風呂場でモアとマロンが……」

 そこまで言って、俺は口をつぐんだ。そう言えば、コイツはマロンが好きなんだった。

 ゼットはため息をつく。

「なあ、お前、マロンのことはどう思ってるんだ?」

 真剣な顔で聞いてくるゼット。

「どうもこうも……だって、ほら、女の子同士だしさ」

 俺はポリポリと頭を掻いた。何でこうなるかなー、もう。

「じゃあお前は、マロンのことは何とも思ってないってことだな?」

 少し安心したような表情になるゼット。コイツ、本当にマロンの事が好きなんだな。

「なあ、ゼットは何でマロンの事が好きなんだ?」

 俺が尋ねると、ゼットは照れたように笑った。

「ほら、マロンてすげー胸がデカイじゃん?」

 やっぱ胸かーーーーい!!

「でもさマロンは絶対に露出度の高い衣装とかぴったりとした服とかを着ないんだよ。逆に胸がデカイのコンプレックスにしてていつもゆったりとした地味な服しか着ないんだよ。凄く慎ましやかで可愛いと思わないか!?」

「そ、そうだな」

 俺は言いながらも自分の服装を見た。

 胸の谷間がガッツリ見えるシャツに太ももを思い切り出したミニスカート。見せパンとはいえパンチラもバンバンしてる。

 俺としては布が少ないほうが動きやすいし、セクシーな衣装はカッコイイと思うのだが、女心というのはそう単純ではないらしい。

 自分の体を見られることを気にする女の子も多いらしいしな。

 多分だけど、俺は自分の体というよりもゲームで女キャラのアバターを操作しているような気分なんだよな。

 だから自分の体を見られることにもそんなに羞恥心が無いんだろう。

「まあ、この最近のマロンはちょっと違った感じに見えることは確かなんだが」

 確かに、最近のマロンは慎ましやかというよりはずいぶんアグレッシブに見える。

「たぶん、あれが本来のマロンなんだろうな。領主の娘だからって、ずいぶん我慢してきたところもあったんだろう」

 ゼットが落ち込んだようにうつむく。
 ともかく、こいつはこいつなりに、マロンに対して本気なのだろう。

「ゼット……本気なんだな」

「おう、俺の思いは本物だぜ」

 胸を張り堂々と言うゼット。俺はゼットの手を取った。

「よし、分かった! そこまで言うなら、俺はお前の恋を応援する!!」

「ありがとう!!」

 ゼットが俺の手を握り返す。


「ゼット、お姉さまに何をしているの」

 すると、モアが手を取り合う俺たちを見つけ、血相を変えて走ってくる。

「こ、こ、こ、こんな暗いところにお姉さまを連れ込んで2人きりで!」

 わなわなと震え出すモア。

「うわーん、ゼットのバカ! お姉さまと仲良くしないで!」

「仲良くなんてしてない!」

「で、でも、ライバル同士だった男女がくっつくとか、少女漫画でありがちなパターンだし」

 それはないと思うぜ。

「モ、モア、落ち着いて」

 俺はモアを落ち着かせようと立ち上がった。

「!!? あてっ!!」

 しかし、何かに足を取られ、俺は地面に顔を強打した。

「いてててて」

「大丈夫か!?」
「お姉さま! 大丈夫!?」

 見ると、足元に何か植物のツルのようなものが絡まってる。

「ああ。何か草に足を取られたみたいだ」

 俺は足に巻きついたツルを外そうとした。が、取れない。それどころか、俺が引っ張ると、ツルは余計に強く巻きついた。

「あれ?」


 何かがおかしい、そう思った時にはツルに引っ張られ、俺は地面を引きずられていた。

「うわあああ!!」

 違う、ただの草じゃない! モンスターだ、これ!!

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