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第二章 出会いと苦悩のチート君

嵐が去って

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喋るだけ喋って、僕の好みを聞くだけ聞いて、さっさとクリスは帰って行った。

「はぁ~。疲れたよ」

「ホント、悪ぃな。急に来て、『ジョーン様の家に案内しなさい!あんたなら顔パスでしょう?!』ってさ。
顔パスってなんだろうな?」

顔パス、という言葉を使ったのか。前世の記憶持ちなのは間違いないだろうな。

でもまだまだ確証には至ってない。

「友人っていうのは」

「嘘だよ嘘。年上に向かってあんたって言うような女性は俺の友達にはいねぇよ」

ため息をついて右手を左右に振って、ないない、とジェスチャーする。

「ナディアも年上にはちゃんとケイイ払うもんな。さすが侯爵令嬢だよな」

その言葉に、僕も頷く。

「とりあえず、次来ることがあったら今度は嫌だって言ってみようと思う」

「俺が困らない範囲で頼むな?」

そう言いつつも、気心知れた友人は笑っていた。



そしてそれからは、最初は気を張っていたけれど、1度もクリスが僕の家やロイの家に来ることもなかったのだった。

なんでだろう?
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