転生令息は攻略拒否！？～前世の記憶持ってます！～

第二章 出会いと苦悩のチート君

偶然の解決

「そうだったんだね、フレージア。悪かった。
仕事に構ってばかりで、お前のことを考えきれなかった俺を、許してくれるか？」

そう、僕は途中から聞いていた、部屋に入ってきた人物レッフェリー男爵の存在に気づいていた。

気づけたなら、もう僕の出番はない。

夫婦の、一組のカップルのすれ違いが不安を生み、ネガティブになってしまったのだから。

後は二人で乗り越えてほしい。

「いえ、いえ、言えなかった私にも非があります。あなたが落ちていく私を見て、自分がどうしていいかもわからないという表情をしていたのも気づいていたのに。
あぁ、私はなんと罪深い」

「そんなことはない。俺がもっと言っていれば、不安にさせることもなかっただろう。今でも愛しているよ、フレージア」

「！リジュート・・・。私もっ、愛していますっ！」

夫人は座ったままだったけれど、2人は固く抱きしめ合った。

今が最後の幸せの絶頂かしら、とか言い出すのを、そんなことないさ、と今まで言わなかった分を埋めるかのように甘い言葉を吐き続ける夫婦を見ていられないので、抱きしめる前あたりで僕はさっさと退散した。

じゃあなぜその後を知っているかというと、トーマス君から聞いたからだ。

お礼を言おうとしたら僕がいないのに気付いた夫婦が、トーマス君を介して伝えようとしたらしい。

後は彼自身が余裕を持てるようになってくれれば問題解決、だな。