チートが無いのに聖女様~なぜだか囲まれてます~

深郷由希菜

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魔法修行

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馬車で向かう次の街は、結構な時間がかかるらしいのでその間の休憩に魔法を教えてもらうことになった。

最初は渋っていたけれど、初級だけでいいという私のお願いに根負けした2人。

その結果、私が使えるのは光と水だということが判明した。

他の魔法は頑張ってもできなかったので、そういうことなんだろう。

二つも属性あったんだね、と言わんばかりの勇者はさておき、私は初級以上の魔法を使えるように自己流で頑張ることにした。

もちろん、光の癒し魔法も強化しないといけないから、日替わりだけど。

まずは水の魔法、おなじみのウォーターを使って近くにある木にぶつけてみる。

パシャン、と軽い音がして、水の玉は弾けた。

音からして、水掛け合いしている時のような軽い感じ。

なら、もっとウォーターの玉の中の濃度を上げるのはどうだろう?

同じ大きさでの濃淡、そして広範囲でできるように大きくしてみる訓練を重点的に行った。

それができたら、次は玉の数を増やそう、と決めて。

次の日はヒールを使うんだけど。

なんというか、元気だから効果わからないんだよね。

だからこれも投げて使えないかってちょっと思ったんだよね。

エリアヒールの広範囲回復はパーティ全体が負傷した時にして、離れた人にはヒールボールを投げる。これいいかも!!

そうやって一人で練習というか特訓する私を、こっそり後ろから見ていた人がいた。

私は気づかなかったけど、なんで見てたのかな?





「声、掛けないので?」

頷く覗き魔、いや勇者は、少しだけ嬉しそうな表情だった。

それを見て、ファルゴットさんは驚いてそして笑った。

「作り物ではない笑顔も、出せるのだな」

『勇者』という肩書きを持つ以上、その責任を上辺うわべだけ知った者や、純粋な憧れの眼差しで見てくる者に見せる笑顔が作り物だ本心ではないと察している魔法使いパーティーメンバーは、その変化を好意的に受け止めていた。

平民聖女の存在は、少しずつ彼らの中で大きくなっていくのであった。
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