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1章
7 冥界の刺客 2
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――翌日。午前、道具屋の一室――
「では面接を始めましょう」
村長・コエトールは隣部屋へガイを案内した。
アイテム作成業務に応募してきたといっても、やはり人となりがわからないでは雇えない。よってガイ自ら村長と共に相手と対話する事にしたのだ。
しかしガイは驚いた。
隣部屋に待機していたのは一人では無い。十人以上が壁際の椅子に座ってじっと待っているではないか。
「やけに多いな」
「ええ、一度に沢山きました。驚きです」
驚くガイにそう答える村長。
(なぜ急にこんな大勢が?)
不思議に思いながらガイは応募者達を見渡す。
「やけに顔色の悪い奴が多いな」
「瞳孔もひらいていますしな」
驚くガイに頷く村長。
半数ほどは顔が土気色で、目は開きっぱなし、皮膚は所々裂けており、流れた血の跡が既に乾ききっている。腐臭が漂うのは既に肉が痛み始めているからか。
「つーか骨しか無い奴も多いな」
「あまり食べていないようですな」
驚くガイに頷く村長。
半数ほどは皮を既に失っており、肉も申し訳程度に欠片が骨にこびりついているだけだった。眼球や内臓などはとうに失っており、薄汚れた骨だけで体を構成している。
「生きている人間はこの人だけのようだが……」
「自己紹介してもらいますか」
驚くガイに頷く村長。
白地に赤い斑模様のローブを羽織ったやせこけた男が一礼した。
「魔王軍・魔怪大隊最強の親衛隊、マスターボーンです。マスターキメラが連敗しているというので手柄を横取りに来ました」
「え? じゃあなんで道具屋の工房に就職を?」
驚愕するガイ。
「え? なぜ待合室に通されたのかと思ったら……」
怪訝な顔で、それでもやっと勘違いされていた事に気づいたらしい魔王軍親衛隊マスターボーン。
「え? 就職希望者じゃなかったんですか?」
驚愕する村長。バツが悪そうに頭を掻く。
深い溜息をついて、ガイは出口を指さした。
「まぁ勘違いだったなら仕方がない。お帰りはあちらです」
マスターボーンの血色の悪い額に青筋が浮かんだ。
「いや、帰るわけないだろう。お前ふざけてんのか」
「いや、お前ほどじゃねぇだろ」
苛々と言い返すガイ。
まぁ期待して来てみれば手違いで敵が待ち構えていた、という状況で心穏やかな者も少なかろう。
だが魔王軍の親衛隊とて「勘違いで就活してました。予定と違ったので帰ってきました」というわけにはいかないのだ。
マスターボーンは毒々しいローブを翻し、周囲の不死者どもに命令を出す。
「単なる偶然だが、貴様は私の造り出した不死の兵士に囲まれている。逃げ場は無い。死ねぇ!」
ゾンビとスケルトンが立ち上がり、いっせいにガイへ襲い掛かってきた!
四方からの攻撃を受けるガイ。
しかし恐るべき身軽さで最初の一撃を避けると高々と跳躍。近くのスケルトンの頭に手をつき、相手が反応するより早く飛び越して、狭い部屋の中を機敏に移動してみせた。
当然、続く攻撃はガイのいなくなった空間を空振りするしかない。
連戦によりガイはさらに数段のレベルアップをこなしていた。
専業戦士ではないとはいえ、元々軽戦士関連の戦闘技能をある程度は身に着けている。それらも能力の向上とともに引き上げられ、回避力は下級の魔物共などスローモーション扱いできる域に達していた。
そして腰の鞄から素早く珠紋石を引っ張り出す。
それを投げると【ファイアーボール】が炸裂し、炎の球が部屋を覆った。その中で不死者共が次々と砕け、倒れる。
ただの一撃で動く屍は全滅した。
それでいて壁際で腰を抜かしている村長には火傷一つない。
壁も床も天井も、木造なのに引火していない。
実に精妙な魔力の操作……無論、これも工兵が習得できるアイテム効果補助スキルによる物だ。
その光景を目の当たりにし、マスターボーンが呟く。
「ふむ……なるほど、マスターキメラが苦戦するわけだ」
そう言いながら、彼は全くの無傷である。
無論ガイが手心を加えるわけもない。ガイの放つ【ファイアーボール】は確かに達人級の一撃だったが……それを片手で弾いてかき消してしまったのである。
彼は慌てる様子もなく、パチンと一度指を鳴らす。
「ならばこちらも奥の手をさっさと切らせてもらう」
そして部屋に入ってくる骸骨戦士。
しかしガイは違和感を覚えた。
(どこかで見た鎧だな……)
骸骨が装備した薄手ながら銀地に金の縁取りがされた華美な金属の鎧。それに既視感があるのだ。
そしてマスターボーンが笑う。
「ククク、これは魔王軍に敗れた聖勇士を骸骨兵にした物……」
それを聞いたガイに、思い当たる人物が一人。
「まさか! シロウ!?」
「ほう、知っているのか」
関心したような揶揄するようなマスターボーン。
それは骸骨戦士ではなかった。
骸骨聖勇士……かつてガイがパーティから追い出される原因となった、異界から召喚された男の、変わり果てた姿だったのだ。
「では面接を始めましょう」
村長・コエトールは隣部屋へガイを案内した。
アイテム作成業務に応募してきたといっても、やはり人となりがわからないでは雇えない。よってガイ自ら村長と共に相手と対話する事にしたのだ。
しかしガイは驚いた。
隣部屋に待機していたのは一人では無い。十人以上が壁際の椅子に座ってじっと待っているではないか。
「やけに多いな」
「ええ、一度に沢山きました。驚きです」
驚くガイにそう答える村長。
(なぜ急にこんな大勢が?)
不思議に思いながらガイは応募者達を見渡す。
「やけに顔色の悪い奴が多いな」
「瞳孔もひらいていますしな」
驚くガイに頷く村長。
半数ほどは顔が土気色で、目は開きっぱなし、皮膚は所々裂けており、流れた血の跡が既に乾ききっている。腐臭が漂うのは既に肉が痛み始めているからか。
「つーか骨しか無い奴も多いな」
「あまり食べていないようですな」
驚くガイに頷く村長。
半数ほどは皮を既に失っており、肉も申し訳程度に欠片が骨にこびりついているだけだった。眼球や内臓などはとうに失っており、薄汚れた骨だけで体を構成している。
「生きている人間はこの人だけのようだが……」
「自己紹介してもらいますか」
驚くガイに頷く村長。
白地に赤い斑模様のローブを羽織ったやせこけた男が一礼した。
「魔王軍・魔怪大隊最強の親衛隊、マスターボーンです。マスターキメラが連敗しているというので手柄を横取りに来ました」
「え? じゃあなんで道具屋の工房に就職を?」
驚愕するガイ。
「え? なぜ待合室に通されたのかと思ったら……」
怪訝な顔で、それでもやっと勘違いされていた事に気づいたらしい魔王軍親衛隊マスターボーン。
「え? 就職希望者じゃなかったんですか?」
驚愕する村長。バツが悪そうに頭を掻く。
深い溜息をついて、ガイは出口を指さした。
「まぁ勘違いだったなら仕方がない。お帰りはあちらです」
マスターボーンの血色の悪い額に青筋が浮かんだ。
「いや、帰るわけないだろう。お前ふざけてんのか」
「いや、お前ほどじゃねぇだろ」
苛々と言い返すガイ。
まぁ期待して来てみれば手違いで敵が待ち構えていた、という状況で心穏やかな者も少なかろう。
だが魔王軍の親衛隊とて「勘違いで就活してました。予定と違ったので帰ってきました」というわけにはいかないのだ。
マスターボーンは毒々しいローブを翻し、周囲の不死者どもに命令を出す。
「単なる偶然だが、貴様は私の造り出した不死の兵士に囲まれている。逃げ場は無い。死ねぇ!」
ゾンビとスケルトンが立ち上がり、いっせいにガイへ襲い掛かってきた!
四方からの攻撃を受けるガイ。
しかし恐るべき身軽さで最初の一撃を避けると高々と跳躍。近くのスケルトンの頭に手をつき、相手が反応するより早く飛び越して、狭い部屋の中を機敏に移動してみせた。
当然、続く攻撃はガイのいなくなった空間を空振りするしかない。
連戦によりガイはさらに数段のレベルアップをこなしていた。
専業戦士ではないとはいえ、元々軽戦士関連の戦闘技能をある程度は身に着けている。それらも能力の向上とともに引き上げられ、回避力は下級の魔物共などスローモーション扱いできる域に達していた。
そして腰の鞄から素早く珠紋石を引っ張り出す。
それを投げると【ファイアーボール】が炸裂し、炎の球が部屋を覆った。その中で不死者共が次々と砕け、倒れる。
ただの一撃で動く屍は全滅した。
それでいて壁際で腰を抜かしている村長には火傷一つない。
壁も床も天井も、木造なのに引火していない。
実に精妙な魔力の操作……無論、これも工兵が習得できるアイテム効果補助スキルによる物だ。
その光景を目の当たりにし、マスターボーンが呟く。
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そう言いながら、彼は全くの無傷である。
無論ガイが手心を加えるわけもない。ガイの放つ【ファイアーボール】は確かに達人級の一撃だったが……それを片手で弾いてかき消してしまったのである。
彼は慌てる様子もなく、パチンと一度指を鳴らす。
「ならばこちらも奥の手をさっさと切らせてもらう」
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しかしガイは違和感を覚えた。
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そしてマスターボーンが笑う。
「ククク、これは魔王軍に敗れた聖勇士を骸骨兵にした物……」
それを聞いたガイに、思い当たる人物が一人。
「まさか! シロウ!?」
「ほう、知っているのか」
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