フェアリー・フェロウ~追い出されたフーテン野郎だが、拾い物でまぁなんとか上手くいく~

マッサン

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2章

15 動乱再び 3

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 チマラハの街の中から煙が上がっていた。
 二機のミズスマシ型運搬機で川を下りながらそれを遠目に見るガイ達。

「敵がもう街の中に……」
 スティーナの言葉に鍛冶屋のイアンが呻く。
「いかん、運送ギルドは守らねば」
「領主はくたばっておるといいんじゃが」
 不謹慎な事を願う農夫のタゴサック。

 もう一機の運搬機ではミオンが街の周囲を確認していた。
「正面入り口の辺りで戦いが続いているみたいね」
「そっちへ向かってくれ」
 ガイの指示に頷くミオン。
 二機の運搬機は川面を進み、街の最も大きな出入り口を目指す。


 二機の姿を、正門前で戦っている二つの集団が見つけた。人造の巨人、ケイオス・ウォリアーに乗って戦う者達が。
 その片方の一機に乗るゴブリン兵士がゲラゲラと笑った。
『敵の増援が来やがったぜぇ!』
 彼の所属する魔王軍の残党は圧倒的優勢で街の防衛部隊を叩いていた。それが故の奢り、駆け付けたガイ達を完全に見くびっていたのだ。

 二機のミズスマシの背が開き、三機の人造巨人が立ちあがる。
 魚人型の機体に花吹雪が吹き付けると装甲が追加されて変身した。その機体が川に飛び込む。
 次に水面へ魚人型機が顔を出したかと思うと、その頭部左右にあるエラがアンテナのように開き……恐るべき破壊の波動が岸辺で待つ魔王軍残党の機体に炸裂した!
 その隙に運搬機の一機が接岸し、その背にいた二機――巨人兵士と甲虫人型の砲撃機――が残る敵機へ攻撃を仕掛ける。


――一時間も経たないうちに――


 正門前の状況は一変していた。魔王軍残党の機体は大半が撃破され、地面に残骸を晒している。
 残り少ない機体は及び腰となり、ある機体は逃亡し、別の機体は弱々しい抵抗も虚しくガイ達に討ち取られていた。

 残党側の過半数を撃破したガイ達は、戦場を見守りながら一息つく。
 そこへ通信が入った。
「おいガイ! 俺の乗れる機体はねーのか!」

 見れば地面に落ちた座席――脱出機構によって射出されたのだろう――に附属する通信機へタリンが怒鳴っている。
 その側には女神官リリの姿もあった。

「まだ生きてたんですか」
 スティーナがうんざりして言うと、リリが泣きそうな声を漏らす。
「正直、危なかったよ。脱出に失敗して首が変な方に曲がって……」
「回復魔法が無いと何回死んでるのかわからん奴だな……」
 呆れるガイにタリンが怒鳴る。
「神官が来れる場所に出れたんだから脱出自体は成功だろ! 敵が後ろから卑怯な攻撃しなきゃあオレだって……」
「乱戦中に前も後ろもなかろうが」
 イアンのその呟きは聞こえなかったのか、タリンは煙のあがる街を指さした。
「とにかく中に入った敵をブチのめすぜ!」


――チマラハの街中――


 街に入り込んだ敵は多くは無かった。
 そこへ突撃する、タリンが乗り込んだ白銀級機シルバークラス・Sバスタードスカル!
 大きな剣を振り回し、不死アンデッド怪獣をお供に連れて、骸骨武者型機が敵を斬る。
「オラオラァ! オレの力を見やがれ!」
『大半は俺の力じゃねーか』
 操縦席で高揚した声をあげるタリンに、レバーの部品となったシロウの髑髏が呟いた。亀裂は残っているものの、既に以前の破損から修復されている。

 敵の歩兵も入り込んでいたが、そちらと戦うのは――戦闘形態に変身した獣人ワーキマイラのレレンだった。
 敗れた命を救われた彼女が、今回はガイ達の側で戦うと自分から申し出たのだ。
 殺到する敵兵士を炎の拳で容赦なく吹き飛ばす!

 次々と路上に転がる魔王軍残党兵士を見下ろし、彼女は「フッ……」と自虐の笑みを浮かべた。
「かつて自分が攻めた地を、今この手で守ろうとはな……」

 そんな彼女に後ろから一言。
「浸ってないでどんどんやっちゃってください」
 運搬機から降りたスティーナである。
 感傷に横やりを入れられ「ぐぬ……」と呻くレレン。
「の……残る敵は領主邸へ向かったようだな」
 すると頭上から声が響いた。
「ならば一気に片付けるぞ! この砲弾をブチ込んでやるわ!」
 甲虫頭の重装甲砲撃機Bカノンピルパグに乗った農夫のタゴサックが吠えている。やる気は満々だ。

 そんな彼を運搬機の操縦席で眺めて「ふう」と溜息をつくミオン。
「領主さんを見つけても弾を撃ち込みかねないわね」
「別の意味でも急ごう」
 魚人機パンドラグンザリの操縦席で頷くガイ。
 ミオンと全く同じ事を感じたからだ。

 領主邸へと機体を進めながらガイは思う。
(敵の大将格がまだ出てこない。領主邸にいるのか?)
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