フェアリー・フェロウ~追い出されたフーテン野郎だが、拾い物でまぁなんとか上手くいく~

マッサン

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2章

22 ホン侯爵家 6

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 ガイの乗るリバイブキマイラ、ユーガンの乗るSブラスバット。
 2機は互いに剣を構え、少しの間睨み合い――互いに相手へと飛んだ!
 夜空で激しく切り結ぶ2機を月光が照らす。

 地上では古竜を改造した怪獣ジュエラドンを相手に、2機のケイオス・ウォリアーが奮戦している。
 タリンとレレンがそれぞれ乗る2機は、怪獣を街から叩きだす事に成功していた。
 パワーとタフネスに任せて暴れる巨大な竜を相手に、苦戦しながらも2機は猛攻を加える。


 その遥か上空で。
 ユーガンはガイ機を牽制しながら舌を巻いていた。
(このブラスバットと五分のスピード……装甲は明らかにあちらが厚い)
 それはモニターに表示されている数値で示されているし、実際に戦ってみれば嫌でもわかった。
 しかしそれでも……
(手が無いというわけではない)
 ユーガンは「勝てない」とは思わなかった。

 ブラスバットと睨み合うリバイブキマイラ。その操縦席でガイが周囲に伸びる蔓へ手を伸ばす。
 触れた所に実が二つ生えた。それをガイがもぎ取ると、二つの実は手の中で光を放ちながら珠紋石じゅもんせきに変化する。
 輝く二つの珠を、ガイはレバーにしている聖剣へセットした。木刀が呪文を読み込む。
『セイクリッド・ウェポン。セイクリッド・シールド』

【セイクリッド・ウェポン】聖領域第2レベルの補助呪文。聖なる力を武器に宿らせ、負の力で活動する魔物への威力を大幅に上げる。
【セイクリッド・シールド】聖領域第2レベルの補助呪文。聖なる力を鎧に宿らせ、負の力で活動する魔物からの被害を大幅に軽減する。

 不死怪物アンデッドモンスターは剣と魔法の世界にはびこる魔物だ。だがそれ故に有効な技や戦法も確立されている。
 リバイブキマイラが清浄な光に包まれた。その剣は不死アンデッドや悪魔への鋭さを増し、装甲は同種からの打撃を弾く力を得たのだ。
 ガイは自機を敵へと加速させる。
「聖剣装甲・一文字斬りぃ!!」

 だがしかし。
 その光の剣が届くかと見えた瞬間、ブラスバットは真鍮色の霧となった。不死アンデッドに対して必殺の筈の剣は、その霧を手応えなく通り抜けた。

 吸血鬼には様々な変身能力がある。特に有名なのは蝙蝠だが、他にも狼、虫、ネズミ、霧等がある。高位の吸血鬼ならその1つ2つは身に着けていても当然なのだ。
 ダンピールの力に覚醒したユーガンもまた、その能力を持っていた。

 人造巨人ケイオス・ウォリアーの全部品を気体化するような力が、いかに吸血鬼の魔力とはいえ簡単に再現できるわけがない。
 だが一瞬で良いのだ。敵の打撃を避けるための特殊な回避能力として使うだけなら。
 ガイ機の剣が通り抜けた時、既にユーガン機は実体を取り戻していた。蝙蝠のような赤い影が翼の陰から剣に飛び、刃が黄金色に光る!
『ブラッド……エンド!!』
 操縦者の必殺剣が完全に再現して放たれた。

 アンデッドモンスターへの有効な技や戦法は確立されている。
 だがそれを知っていれば対抗策をうってくるのも自然な事なのだ。

 リバイブキマイラを黄金の剣が切り裂く!
 装甲を断ち割らたうえ、エネルギーが大きく減少する。吸血剣の効果が敵機のエネルギー吸収という形で再現されたのだ。
 キマイラが大きく姿勢を崩した。それでもなんとか剣を振り回すが、そんな太刀筋を受けるユーガンではなく、ブラスバットはさらなる上空へと飛ぶ。
『ある程度以上のレベルともなれば、単純なステータスの上下だけで強さが決まるものではない』
 ユーガンが自信をもって断言するや、ブラスバットの翼の陰から蝙蝠のような赤い影が無数に飛んだ。
 しかし今度は剣ではなく周囲へ散り、夜空を自在に飛び回りながら、連なる輪状の魔力波を放ってくる!

「いっぱいでたぁ」
 イムの悲鳴を聞きながら、ガイはあちこちから襲い来る魔力波を自機に回避させようとした。
(オールレンジ攻撃……これも奴の魔力の一種か)
 わかった所で避けきれる物でもない。キマイラの装甲に何発かの魔力波が命中し、高周波の振動で砕いてゆく!
(流石だ。空中戦の練度はあっちが上か)
 それをガイは認めざるを得なかった。

 しかし……それは敗北を意味するのではない。

 ガイが再び、周囲に伸びる蔓へ手を伸ばした。実を二つ呼出し、それをもいで再び珠紋石じゅもんせきを造り出す。
 宝珠をセットされた聖剣が呪文を読み込んだ。
『トゥルーミラー。スターライトレイン』

【トゥルーミラー】魔領域第5レベルの補助呪文。幻影の鏡が一部の魔力|(変身能力、視線による物等)を解除・反射する。
【スターライトレイン】聖領域第5レベルの攻撃呪文。星の光が天から降り注ぎ、不浄な魔物の群れを撃ち抜く。

 キマイラから無数の煌めきが散った。
 それは周囲で塊を造り、また天へと昇るものもあった。
合成発動アマルガム……リフレクトギャラクティカ!」
 ガイの叫びとともに、塊は幻の鏡となった。天からは幾多の光条が降り注ぎ、鏡に反射してブラスバットを撃つ!

 赤い蝙蝠の影は光線の束に呑まれ、撃ち抜かれて蒸発する。
 ブラスバットはまたも霧と化した。構わずにそこへ突き刺さる閃光の雨。
 そしてバットが固体に戻った時――全身の装甲は穿たれ、煙をあげていた!

 大打撃を受けた自機の中、ユーガンは歯噛みする。
『厄介なものだな。それにしても聖なる魔力ばかりよくも出てくる。世界樹の神性ゆえか?』
 そう言いつつも、機体に剣を高々と掲げさせた。
『だが、夜の天空に満ちる魔力ならば私とて!』

 月光が剣に集まる。闇の一族の魔力によって、夜に輝く黄金(こがね)の刃――
 ブラスバットが剣を構え、そして飛んだ!
『ルナティック・ブラッドエンド!!』

 ガイはまたも伸の蔓へ手を伸ばしていた。
「聖属性のアイテムは作り易いんだ。何からできるのかよく知っているからさ」
 呟きながらガイはまた二つ、実をもぐ。それはジャバラの実……カサカ村の側でシャンリーが見つけた果実。
 それが変化する結晶はやはり聖なる力を持つ珠紋石じゅもんせき
 セットされた聖剣が呪文を読み込む。
『サンシャイン。ホーリーフレアー』

【サンシャイン】火領域第4レベルの補助呪文。陽光を範囲内に発生させる。照明でもあり、範囲内を日中として扱う効果もある。
【ホーリーフレアー】聖領域第7レベルの攻撃呪文。聖なる光が陽光のごとく爆発し、敵を撃ち砕く。

 ガイ機の剣が光に包まれた。白と紅の混じる光……時折、輝きがプロミネンスのごとく噴き上がる。それを構え、キマイラも敵機へと飛んだ。
「日輪邪祓・一文字斬りぃ!!」

 黄金の剣と光の剣が黒い夜空を切り裂きながらぶつかった。
 一瞬、五分に拮抗するものの――

 ガイ機のモニターがステータスの変化を表示した。

ファイティングアビリティ 130+40


 光の剣が黄金の剣を砕き、敵機の胴体を切り裂く。
 光の塊が敵の胴体に残留した。
「くらあっしゅ!」
 イムの叫びとともにガイ機が前蹴りを打つ!
 それは残留した光の球ごと敵機を打ち抜き、相手に穴を穿ち――

 月光の中、ブラスバットは爆発した。
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