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①
しおりを挟むこの日は夕暮れから雨が降っていた。
僕は仕事帰りに今晩の晩酌用のつまみを買いにコンビニへ寄った。駐車場に車を停めて、雨の中小走りで入口に向かおうとした時、店脇にあるゴミ捨て場で座り込む少女と出会った。少女は学校の制服を着たまま雨にうたれ、フェンスにもたれるように下を向いたまま座っていた。
声を掛けようか迷ったが、自分一人だった事もあって少女を横目に店に入った。一通りのつまみを買い込み、また雨の中を小走りで車へ戻ると、少女はまだそこにいた。僕は彼女を無視してすぐ車に乗り込んだ。
エンジンを掛けて辺りを見回すが、人がいるのは店舗の正面だけで、大学生っぽい子達が喫煙所の屋根の下で身を寄せあって数人いるだけだった。
正直めんどうなモノ見てしまったと思った。多分雨が降っていなかったら僕はそのまま知らん顔して自宅へと帰っただろう。だが今夜は雨が降っており、予報では明け方まで続くとの事だった。
(さすがに死んでる…とかじゃないよな?)
僕は再び車から降りて雨にうたれたまま座り込む彼女に目を向けた。今思えばコンビニの店員に彼女の事を伝えてさっさと帰ればよかったものの、知らず知らずのうちに僕は彼女に声を掛けていた。
「ねぇ…どうした?大丈夫か?」
雨が一段と強くなった気がした。このままではスーツが痛んでしまう。僕は急いで車へ走り、トランクの中からビニール傘を一本取り出した。そしてもう一回言った。
「おいっ!大丈夫か?風邪引くぞ!」
しかし彼女はうつ向いたまま動かない。雨音のせいで声も聞こえないし、泣いているのかも分からない。僕は次第に血の気が引いていくのを感じた。
「ちょ!おいってば!こんなとこに座ってちゃだめだ!」そう言って少女の方を揺すった。すると、初めて彼女はこちらへ顔を上げた。
「っっ…!?」
僕の想像以上に彼女は童顔で、整った可愛いらしい顔をしていた。さすがにときめいたりはしなかったが、歳を重ねればより一層美人になるだろうと思った。
「すっげー濡れてるけど大丈夫?こんな雨の中何してんの!」
僕が少しきつめに言うと彼女は再び顔を伏せて殻に籠ってしまった。
「ちょ!おまっ!それすんのはいいけど、せめて屋根の下でやれって!」
「あなたに関係ないじゃないですか…放っておいて」
「んだとコラ!警察呼ぶぞ!」
「えっ!?待って……!それはダメ!」
僕は彼女のリアクションを見て察した。
「ははーん、さては家出か?たしかにそういう時期かも知れないけどさ、学生がこんな夜に雨にうたれて何してんだよ。親御さんも心配するから早く家に帰りな」
「私に帰る家なんて無いです」
(うわ、めんどくせ…そっち系か)
「馬鹿、んな訳あるか。毎日野宿してカエルとかザリガニ食べて生きてるのか?違うだろ?親と何があったか知らねぇーけどさ、とにかく家出は雨が止んでからまた再開しろよ」
「…………」
「ほらこれ、傘やるから。ちゃんと帰るんだぞ」
そう言い残して僕は車に乗った。
(ったく、余計な事に首を突っ込んでしまった。また傘買わないと)
僕がヘッドライトをつけると彼女は顔を上げた。大げさに思われるかもしれないが、僕にはこの時の彼女の綺麗に整った顔が、まるで濡れて震える子犬のように見えた。
「あー!もうっ!何だよ!」
半ばやけくそに車を降りたが、冷静さは欠いていなかった。僕は顔を上げたまま座り込んだ彼女に聞いた。
「君、歳いくつ?」
「18」
18歳未満なら彼女には悪いが、警察に通報してこの場を去ろうと決めていた。
「高三…か。つか高三って家出するほど思春期か?」
「放っておいて下さい」彼女はずぶ濡れになりながら顔をプイッと横に背けた。
「まぁまぁ、そんなふてくされんなよ。腹減らねーか?コンビニで何か買ってやるから」
彼女は顔を背けたまま動かない。
「ん?腹減ってない?」
「……空いた」
「え?何て?」聞こえたが僕はあえてもう一度聞いた。
「お腹空いた」
「はは、そりゃ良かった。何が食べたい?弁当か?カップ麺?」
「アメリカンドッグ…」
「ぷっ…!アメリカンドッグ!?」
「何で笑うの?変ですか?」
「いや、大丈夫!全然良いよ、アメリカンドッグな。買ってくるから屋根の下に入ってちょっと待ってて」
僕は再び店内へ戻ってペットボトルのカルピスとオレンジジュース、アメリカンドッグと適当におにぎり数個買った。店を出ると彼女はちゃんと屋根の下にいた。
(背ちっさ!)
喫煙所にいた大学生達はずぶ濡れになった女子高生の彼女を不思議そうな顔でチラチラと見ていたが、僕が彼女に「はい、これ」とコンビニの袋を手渡すのを見ると、しらけたように目を反らした。
「ありがとうございます」
「おう、ちゃんと家帰るんだぞ」
そう言って彼女と別れようとした時、彼女と目が合ったまま数秒の沈黙があった。
「もし君が良ければだけどさ、雨が止むまで家で待ってない?タオルとかもあるしここよりはマシだと思うけど」
「えっ…?」
「いや、別に変な意味とかじゃなくて。髪とかすげー濡れてるし風邪引くぞ。それにうちこっから近いし」
「本当に良いんですか?」
「いいよ、一人暮らしだから誰もいないし」
僕が車に乗り込むと彼女は乗り込むのを躊躇した。
(そんなつもりじゃないんだけど。やっぱ警戒されてるよな……)
無理に来なくていいよと言おうと思った時、彼女は言った。
「あの、シートが…」
「シート?」
「私、濡れてるから…シート濡れちゃう」
「ああ、そんな事?それなら別に構わないよ。どうせすぐ乾くから」
「すいません。じゃあお邪魔します……」
彼女はコンビニ袋を膝の上に乗せ、ちょこんと助手席に座った。
「温かいうちに食べな、好きなんだろ?アメリカンドッグ」僕は笑いながら言った。
「大丈夫です。他所の車で飲食はしてはダメって教えられてるから。それにすぐに着くんですよね?だったらもう少し我慢します」
「ふっ、我慢するって事は食べたかったんだな。別に気を遣わず食っていいからな」
「家に着いてから食べます」
「あっそ。お利口さんなんだな」
彼女は少し緊張しているようでこちらから話をしない限り黙ったままだった。僕は少しだけだといえど保護するのだから、家出の理由が知りたかった。
彼女は重い口を開いて少しづつ話を始めた。彼女は父親と2歳年下の弟と暮らしていると言った。そして進路の話で父親と話がこじれて揉めたらしい。彼女の父親は働いておらず、生活保護と中卒で働く弟の工事現場の日当で生活しているとの事だ。
だから彼女が望む専門学校への進学を反対し、なおかつお前も夢なんか追わず高卒で働いて家に金を入れろと迫ったらしい。だから彼女は最低限の私物のみを所持して家出したのだと言った。
すでに自宅のマンションの駐車場に到着していたが、涙を堪えて話す彼女に悪いと思い、そのまま車内で話を聞き続けた。
「そっか…つーかお父さんは何で働かないの?」
「お父さん前科あるし。それに年齢も年齢でしょ?まともな職なんて無いんですよ。お父さん、昔は自営業でバリバリ働いていただけあって、何ていうかプライドがあるみたいで…色々と矛盾してるんですけどそれが主な原因だと思います」
「そうなんだ…んー。難しいなぁ…てかさ、そろそろ部屋行かね?」
「あ、はい。話し込んじゃってすいません」
「謝る必要なんてないよ。良かったらお風呂も入って行ったらいい。乾燥機もあるから洗える物は洗えばいいからね」
「優しいんですね…ありがとうございます」
僕は彼女の笑顔に少しキュンとした。
(10歳も年下の彼女に何ときめいてんだ……)
「すっかり冷めてしまったな。チンして来るから待ってて」僕はアメリカンドッグを皿に移して温め直した。温め終わると彼女は餌を待たされた犬のように大人しく、でもどこかせわしなく待っていた。
「ほいっ、出来た。おにぎりもあるから食べたら?飲み物もあるし」
「あ…カルピス」
「カルピスが良い?オレンジジュースもあるよ」
「カルピスで」
「はいよ」
相当腹が減ってたんだろう。彼女は一心不乱に食べ続けた。背も低く子供っぽく見えるが、礼儀正しい彼女。でも食べている姿を見ればやはり子供だなと思った。
(まぁ、まだ18だもんな~。若けぇー)
頬杖をついて彼女を眺めていると目が合った。彼女は恥ずかしそうに「お腹空いてたんです」と呟く。
「そりゃそうだろう。僕の分は気にしなくていいから遠慮なく食べて」
「えっ、でもそれじゃ…」
「いいんだよ。僕は酒とつまみがあるから」
「そうですか。あのっ、お名前って聞いてもいいですか?」
「んー?一条拓也。よろしく」
「一条さん…」
「そう。呼び方は一条でも拓也でもどっちでもいいよ。君は?」
「瑠花…赤木瑠花…です」
「赤木さんね」
「瑠花でいいです」
「…?じゃあ瑠花ちゃんて呼ぶよ」
「はい」
「じゃあ僕は先にシャワー浴びて晩酌させてもらうよ。テレビでも見ときな」
シャワーを浴びて戻ると、彼女はクイズ番組を食い入るように見ていた。
「クイズとか得意?」
「そんなに」
「ふーん、じゃあ問題」
「はい」
僕はセクハラをした。
「エッチになるほど固くなるものなーんだ」
「鉛筆です」
「お、おお…正解」
「それセクハラですよ」
彼女は冷ややかな目で言った。
「おお、ごめん。てか風呂空いたからシャワー浴びれば?洗面所に洗濯機と乾燥機あるから洗いたいもの入れたらいいよ。スピードコースにすると早く終わるから」
「じゃあお言葉に甘えて」
それから僕もクイズ番組を見ながら晩酌をしていると、洗面所からか弱い声が聞こえた。
「あのっ…」
振り替えるとバスタオルを巻いた彼女が壁から上半身だけ覗かせてそこにいた。
「お…!?どうした?」
「何でも良いので着替えあります?その…下着とかも洗いたいので」
「あっ、そっかそっか。ちょっと待ってな」
僕はジャージの短パンとTシャツを彼女に渡した。しかし、当然ながら女性用の下着を持っていない僕は困った。そんな僕を見かねて彼女は「別に乾くまでの間なら無くて大丈夫です」と言った。
「とは言ってもねぇ…」
「大丈夫です」
「うーん、分かった。乾いたらすぐ着けなよ」
数分後彼女が居間に姿を現した。
さっきまで濡れていたから分からなかったが、彼女は見た事が無いぐらい綺麗な髪をしていた。サラッサラの黒髪をなびかせて、綺麗な白い脚。それに小ぶりの胸。
しかもノーブラにノーパンだからほんの少しだけ乳首の突起がTシャツ越しに見てとれた。酒がまわっていたせいか僕はすぐに勃起した。彼女は何も言わなかったが僕の視線に気付いたのか、胸の辺りに髪を寄せて胸元を髪で隠した。
僕はなるべく意識しないようにして再び視線をテレビに戻すと晩酌を続けた。彼女もオレンジジュースを飲みながら隣で一緒にテレビを見ている。
気が付くと時刻は23時半を過ぎていた。
外の様子を伺うと雨はまだ続いていた。すでに彼女の下着は乾いており、下着を着け直した彼女は先程よりもリラックスした体勢でテレビを見ていた。
(こりゃ今晩は止みそうにないな)
カーテンを閉めて彼女に言った。
「雨も止む気配ないし今晩泊まっていく?さすがに明日には雨も止んでるだろうし」
「…はい」
「瑠花ちゃんはベッドを使ったらいいよ。僕は適当に布団敷いて寝るから。明日も仕事だから目が覚めて僕が居なかったら勝手に出てってくれたらいいし。鍵はエントランスの集合ポストに入れておいて」
「分かりました。もう寝ますか?」
「うん、そろそろ寝るよ」
「じゃあ私も寝ます」
そして僕達は寝室へ向かい、僕は引っ越して来た時に、母親に渡されたきり使っていなかった来客用の敷き布団を出した。枕が見当たらなかったからそこら辺に転がっていたクッションを代用した。
「じゃあ電気消すね。おやすみ」
酒が睡眠導入剤の役割を果たし、彼女が同じ部屋にいても意外とすぐに寝付けそうだった。何度か彼女の様子を伺うと、彼女は暗がりの中スマホでSNSを見ていた。
(ふっ、家出してもSNSはきっちり確認するんだな。さすがJK)
そして僕は眠りに落ちた。
床に入ってから何時間経ったか分からないが、突然僕は背中に違和感を感じて目を覚ました。
(…?枕にしてたクッションが背中にまわったかな…?)
寝ぼけながらも手を後ろに回してそれを取ろうと触れた。手にはむにゅっとクッションよりも弾力のある何かが触れた。
「え…何……?……うおっ!?」
振り返ると僕の背後に彼女が密着していた。僕の手は丁度彼女の尻に触れていたのだ。
「ご、ごめん。クッションかと思った…」
「大丈夫です」
「寝れなかった?」
「はい。今日はあんまり眠れそうにないです」
「そっか。それなら居間でテレビでも見とけばいい。洋画のDVDなら結構あるから」
「いえ…このままここにいます」
「そ、そうか。分かった」
深呼吸をして心拍が上がるのを抑える。女性とこんなに密着したのはいつぶりだろう?ここ数年彼女もいないし…それに風俗もしばらく行ってない。考えていると、背中に彼女の胸が当たり僕は勃起した。
(やべー…18歳相手に勃起してるよ…)
考えれば考えるほど僕の性器は硬くなった。すると突然、背後から腕がまわってきて彼女に性器を撫でられた。
(おおお!!?)
僕は寝たふりをした。どう反応していいか分からなかったからだ。
彼女は寝たふりを決め込んでいる僕を無視して何度も性器を撫でた。そして次にズボンの上から性器を握り、ゆっくり前後にしごき始めた。ここでようやく僕は声を出した。
「ちょ、ちょっと。何してるの?」
「嫌ですか?」
「いやー…そういう問題じゃなくて…」
「お礼させて下さい。助けてもらったし…」
「そんなの気にしなくていいから」
「でも硬くなってますよ?さっき触った時は柔らかかったのに…」
「さっきって…僕がまだ寝てた時?」
「はい。ムニムニしてました」
「マジか」
「ふふっ」
そして彼女は僕のパンツの中に手を入れて、直に性器を触った。
「一条さん…先っぽがヌルヌルしてます」
「瑠花ちゃんが触るからだよ。つか彼氏とかいねぇの?」
「彼氏?今はいませんけど…?何で?」
「いや、彼氏いたらこんな事しちゃだめだろって思って…」
僕が言うと彼女は笑い、「彼氏がいようがいまいが関係ないですよ。それに今時の女子高生は皆これぐらいしてますよ。パパ活だって流行ってるし」
「おいおい、パパ活と一緒にしないでよ」
「心配しないで下さい、これはお礼です」
そう言って彼女は僕の性器をしごき続けた。
「瑠花ちゃん上手だね…」
「そうですかね?なら良かった。一条さん、こっち向いて」
「ん?うん…」
僕は体を反転させて彼女の方を向いた。眼前の彼女は微笑み、「ちゅーしよ?」と言った。
「いやいや、それはっ……!?」
僕が話し終わる前に彼女は唇を当て、僅かな隙間から舌を入れた。彼女の薄く小さな舌に口内をかき回されて頭がどうかしそうだった。キスをしている最中もずっと性器をしごかれ続けた。
気が済んだのか、彼女はキスを止めると身体を布団の中に潜り込ませた。すると突然、布団の中にある僕の性器ににゅるっと違和感があった。
「お、おいっ…!」
僕の声を無視して彼女はフェラを始めた。暗闇の中、彼女の頭の形に膨れ上がった掛け布団は容赦なく前後に動き続けた。彼女のフェラは全く歯が性器に触れる事無く、見事なものだった。何ならそれを生業にしている風俗嬢と大差無かった。
「ああ…瑠花ちゃん……すげー気持ちいい」
声を掛けると彼女は一層激しく頭を振り、一気に絶頂に近付いた。
「ちょ!ちょっと待って…!イキそっ!」
僕の訴えを彼女は無視した。そして僕は彼女の口内で射精へと導かれた。性器が激しく脈打ちながら数日間溜め込んだ精液が一気に吹き出した。
「んん!んーっ!」
彼女は僕の性器が脈打つのが終わるまで咥えたまま待ち、射精後も精液を絞り取るように何度も亀頭を舐め回した。
そしてようやく掛け布団から顔を出した彼女は、暑かったのか、頬を少し赤らましていた。そして不適な笑みを浮かべ、僕に見せつけるように口を開いて口内に溜まった精液を見せつけた。
予想以上に多かった精液量に「おおっ!」っと驚いて、僕が反応すると彼女は満足そうに微笑んで精液をゴクッと飲み込んだ。
「すごく濃い…」
「まぁ、久しぶりだったから」
「まだ口の中がべたついてる…」
「ごめん」
「いえいえ、これぐらいっ」
身体の力が抜けて、一息つくと賢者タイムが訪れてすぐに眠気に襲われた。そして僕は彼女の何気ない話に相槌をうっている間に眠ってしまった。
朝、いつもより少し早目に目が覚めると、すでに彼女の姿はなく、代わりに簡単なメモ書きが卓上にあった。
そこには彼女の小さく丸い字で
(短い時間でしたけど、助かりました。ありがとう)と書き残されていた。
布団にはまだかすかに彼女の香りが漂っている気がしたのだけれど、部屋には僕以外誰一人としていなかった。
「夢…じゃないよな…?」僕はゴミ箱を覗き込み、昨夜自身の精液を拭き取ったティッシュの残骸を確認した。そこに残骸はあった。その場で座り込んだまま、昨夜の出来事を記憶の限り思い出した。が、酔いとはやっかいなもので、所々抜けている記憶があった。
あまりにもあっけない別れ方をしたせいで、現実と夢との境界線が分からなくなる。とても今から仕事に行く気分にはなれない。だがもちろん、社会人はそういう訳にもいかない。僕はいつも以上に重く感じる腰を嫌々上げると会社へ向かった。
日中も18歳の彼女の事が頭から離れなかった。これも何かの縁だからせめて連絡先だけでも交換しておけば良かった。
(もう家に帰ったかな…?それに学校とかどうしてるのだろう)
僕は仕事帰りの車内でも、まだ彼女の事が気になってしかたがなかった。自宅マンションの駐車場に車を止めると、昨晩涙ぐみながら家庭内の事情を教えてくれた彼女を鮮明に思い出せた。
(よく考えればすごい経験をしたな…はは、何なら一発ぐらいセックスしておけば良かった…)
ため息混じりにエントランスに向かうと、見覚えのある制服を着た彼女がそこにいた。それに昨日は手ぶらだったのに今日はスーツケースと大きめのトートバッグを手にしていた。僕は驚きのあまり声を出せずに固まった。
「あっ、こんばんは」
「お、おお。こんばんは。どうした?忘れ物?」
「いえ、ちゃんと支度して戻っただけです」
「支度?親戚の家にでも行くの?」
僕が聞くと彼女はきょとんとした。
「へ?いや、そうじゃなくて。一条さんのとこにしばらく住もうと思って」
「なっ…!?……はぁ!?たしかに昨夜は多少酔ってたけど…そんな約束したっけ?」
「だめ……ですか?」
未成年を相手に、という負い目以外に僕には彼女の申し入れを断る理由が無かった。
(まぁ保護…って事で大丈夫か。もし、雲行きが怪しくなればこっちから警察に相談すればいいだけだもんな)
そして僕は昨晩と同様に彼女を保護する事になった。
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