盗賊少女に仕込まれた俺らの使命は×××だぞ!

halsan

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おっぱいと充電器

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 ナイが余りの美味しさに鼻をすすりながらお肉を咀嚼かみかみしている横で、アージュとクラウスは食事をするふりをしながら真剣に聞き耳を立てている。

 どうやらシュルトとかいうおっさんたち一行は、クラウスに凍らされた状態で、先に解凍されたキュルビスお仕事紹介所のキュールや、地元のおっさんたちにヤキを入れられたらしく、すっかり意気消沈してしまっている。
 
「代金を盗られちまったのは失敗した」
「それより、ハイエナハウンドの群れってだけでもてこずるのに、正体不明の化物も出てくるようじゃあ、作戦自体を見直す必要があるでしょう」
 どうもシュルト達は、ボーデンという大きな街の領主から、ハイエナハウンドの子を「仕入れて来い」と命令されたらしく、シュルトが懐にしまっていた大金貨三枚は、その購入資金だったらしい。

 ちなみに大金貨三枚は今ではアージュのランドセルにしまわれている。
 
 シュルト達は当初キュルビスお仕事紹介所を通じ、大金貨二枚でハイエナハウンドの子を仕入れるつもりだった。
 しかしつい色気を出してしまった。
 部下どもに手間賃を払っても、自らハイエナハウンドを捕えた方が儲けが大きいのではないかとだ。

 ところがキュルビスお仕事紹介所のキュールはそれを見抜いた。
 大人しくお仕事紹介所に依頼してくれれば、紹介所が持つすべての情報を駆使してシュルトに協力したであろう。
 しかし、シュルトは「ハイエナハウンドの出現場所情報」をお仕事紹介所から購入するだけにしてしまった。
 これがキュルビスの連中たちにとって面白いわけがない。

 実はキュール達は、南の荒野に魔族が稀に現れることを知っていた。
 証拠は年に数回見つかる旅人の変死体。
 それらの死体は金品はそのままに、その臓物と肉だけを食われていた。
 ではなぜ魔獣モンスターではなく魔族デーモンなのか。
 それは死体を見ればすぐに理解できる。
 死体は全て、丁寧な血抜き処理を施されていたのだ。
 それをシュルト達には伝えなかったのである。
 
 そういう意味では、キュール達も正直面食らった。
 シュルト達が金品だけを取られて無事に戻ってきたことにだ。
 
「とにかく一旦ボーデンに戻るとしよう。今回は大赤字だが、領主の信頼を失うのはまずいからな」
「次は素直にキュルビスお仕事紹介所に頼りましょう。これ以上この町と揉めても利益はないでしょうし」

 おっさんたちはそう冷静に会話を重ねると、名物であるかぼちゃの甘露煮を、薄めた麦酒で流し込んだ後、店を出て行ってしまった。
 おそらくこのままボーデンの街とやらに一旦戻るのであろう。
 
「こりゃもう一回、大金貨ゲットの大チャンスかな」
「まずはハイエナハウンドとやらの習性を調べてみようよ」

 アージュとクラウスは互いににやりと笑いながら言葉を交わすと、皿をとっくに空け、無言で小さく手を挙げ続けていたナイに今気付いたかのように、肉の皿を追加注文した。
 今度は三人でゆっくりと味わうために。

 食事が終了後、三人は部屋に戻り、その日一日の汚れを落とすように身体を拭いていく。

「ナイは二日に一度は髪を洗うんだよ」
「綺麗にしてないと捨てちまうからな」

 お肉の美味しさと久々の満腹感に夢心地となっていたナイは、二人の、特にアージュの「捨てちまう」の言葉にびくりとすると、その場で服を脱ぎ始め、慌てて洗面所に駆けて行った。
 
 アージュとクラウスもいつものように身体を拭くと、ナイが脱ぎ散らかしていった汚れものを自分たちのものと一緒に洗濯かごに放り込み、宿の洗濯箱に突っ込んでおく。
 こうしておくと、宿の洗濯人がその晩のうちに洗濯を済ませ、翌日には乾かして戻してくれるのである。

「あの……」
「なんだ?」

 ナイが全裸のまま、どうしたらいいかという面持ちで、洗面所から出てきた。

「寝る時も、ブラとパンツは必要ですか?」
「好きにしろ」
「姉さま達は全裸に寝間着だけだよ」

 するとナイは安心したかのように、頭からすっぽりと素肌に白のロングシャツをかぶり、肘までの袖を通し、膝までの丈を確認してからほっと一息をつく。

「それじゃ寝るか」
「ちょっと待ってよ」

 アージュが早々と寝ようとするところを、クラウスが慌てて止めた。
「さっき氷霧アイスフォッグを効果拡大で唱えちゃったからさ。精神の指輪がほとんど空になっちゃったんだ」
 先程お仕事紹介所で中の人々を凍らせたのはクラウスが範囲拡大をして放った魔法による。
 アージュも氷結の指輪で同様の効果を出すことはできるが、指輪の場合は対象が一人に限られる上、魔法と使用者との親和性が反映されないため、効率が悪い。

「ねえナイ、ベッドに座って」
 クラウスはワイドベッドの中央にナイを座らせる。
 無意識にぺたりと女の子座りをしたナイの指に、クラウスは指輪を一つはめる。

「それじゃ充填チャージって唱えてみてよ」
 クラウスに言われるがままに、ナイはチャージと唱えた。
 すると、ナイの意識が指輪に引き込まれるような感覚に襲われる。
 しかしそれは特に不快という訳ではなく、どちらかというと凝り固まったものが流れ出していく感覚に近い。

「へえ、まだ大丈夫なんだ。それじゃもう一回」
 今度は別の指輪をはめさせられると、同じようにチャージを唱える。
 ナイはなんだか気持ちよくなってくる。 

「すごいなあ。それじゃあもう一個」
 今度は幸せな睡魔がナイの意識を包みこむ。

「まだまだいけるかな」
 四つ目の指輪によって、ゆっくりとナイは夢の世界へと心地よく落とされて行った。
 
「すごいな、精神力30超えかよ」
「たまげたなあ。さすが魔族だね」

 精神の指輪は、チャージの呪文により使用者の精神力を10だけ貯めることができる。
 ナイはそれを指輪三つフルチャージし、さらにもうひとつも一部ではあるがチャージしてみせたのだ。
 
 二人の前では、若草色の娘が大の字になって幸せそうに吐息を繰り返している。
 
「それじゃオレ達も寝るか」
「そだね」
 アージュとクラウスもそれぞれの精神の指輪に、残った精神力を気を失わない程度に調整してチャージする。

 その後、二人は隣のベッドルームに移り、部屋の明かりを落とすと、それぞれのベッドに横たわった。
 
 数刻後。
 
 人影がひとつむくりと起き上がる。
 それは音を立てずにゆっくりと動き、別の部屋へとそっと移動していく。
 
 影はゆっくりとそこに置かれたワイドベッドに左からもぐりこむ。
 影が目指すモノ。
 それは。
 
「なんだクラウス、お前も来たのか?」
「うわ、びっくりした!」

 影の正体はクラウスだった。
 
「ねえアージュ」
「なんだ?」

 双丘そうきゅう越しに、クラウスがアージュにそっと呟いた。
 
「西の丘を思い出すね」
「そうだな、同じ匂いだな」

 西の丘とは、二人がもっとガキだったころに、遊び疲れてよく昼寝をしていた草原のこと。
 
「ねえアージュ」
「なんだ?」
「ナイを売り飛ばすの、やめない?」
「なんで?」

 クラウスはちょっとつまってから、照れくさそうに言う。
「精神力の充填役に使えるからさ」
 するとアージュは意地悪そうに答えた。
「風呂に沈めるって言ってたのはお前じゃねえか。俺はどうでもいいよ」
「ありがと」

 しかしアージュによる本当の意地悪はここから始まる。

「そういう理由なら、わかったからお前は自分のベッドに戻れ」
 ええ?
 ここでそれを言う?
「お前にとってナイは便利な充填装置なんだろ」
 ……。
「オレはこのおっぱいが好きだ」
 ……。
「お前はあっちいけ」
 ……。
「ボクだって好きだもん、アージュの意地悪!」
「冗談だ」

 こうして二人は、若草が香るふくらみを左右で仲良く分けあいながら、それぞれの夢心地に沈んでいった。
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