愛が歪んでいく

壱婁

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幼少期

妹と咳

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妹が風邪を拗らせているみたいで変な咳をするようになった。

「コホッコホッ」という風邪特有の咳でなくなんか変な咳だ。保育園で隣のクラスの調子が悪くていつも庭遊びに出れない子と同じ咳ですっごく嫌な感じがした。

だから、母にわかるように咳を真似た。

妹は訳が分からず愚図りながら咳き込んでたりするが、この咳がやばいのはわかる。従姉が大好きであまり家族に関心がないのだが、そこそこに大切ではあったし。


母は色々な病院に妹を連れていき、市民病院で肺炎1歩手前な小児喘息であることがわかる。そして、入院の日々の始まりだ。


「みまいきた~」

無口な父と一緒によくお見舞いに行った。母は付きっきりで疲れた顔をよくしている。母曰く病院食が美味しくないらしく食べたがらないのだと。味しないもんな、アレ。菓子パンは好きなのでよくパンを食べており、咳で死にかけてた時よりだいぶ元気になっている。


「みぃとかあさんはいつおうちかえってくるの?」
「みぃの体調が落ち着いてからだからもう少しだよ」

みぃが帰ってくるまでお留守番頑張ろうねと言ってくれたが、正直私には恐怖でしかなかったから早めに帰ってきてほしい。今なら母は妹の病気でいっぱいなのは分かってるが、この時は不安と恐怖しかなかった。
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