幻想の青と白

風城国子智

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炎を含んだ

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 嗅いだことの無い匂いが立ち昇る、炎を含んだ円筒形の機器に、かじかんだ手を翳す。
「電車、来ないねぇ」
 その機器の上で四角い白いものを炙る老人の聞き取れない言葉に、尤理ゆうりは首を傾げ、すっかり白くなってしまった硝子窓へと目を向けた。
 温もらない背中の震えが、暖かいはずの掌を冷たくする。町や村を管理する人工知能の修理は終わったが、これでは、帰れない。
 不意に、串に刺した白いものが目の前に差し出される。熱で膨らんだそれを尤理が受け取ると同時に、老人も、そして臭気も、消えた。

 何も無い、暖かくなった空間に息を吐き、手の中の串を見つめる。これは、食べられるもの? 香ばしい匂いにつられ、尤理は焦げた端を小さく囓った。
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