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言の葉の向こうに
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ふと、目を開く。
煤けた暗い天井が、蘭を優しく出迎えた。
ここは、何処だろうか? 気怠さを感じつつ、いつもの通り、状況を把握しようと試みる。どうやら、小さな部屋に敷かれた布団の上に寝かされているようだ。そうだ、人形は無事だろうか? 横を向いてすぐ、人形の入った見慣れた木箱が破れの無い障子の側に置かれているのを見つけ、蘭は思わず微笑んだ。
だが。木箱に染み込んだ赤黒い汚れに、微笑が凍る。押し寄せてきた負の感情を蘭は喘ぐことで押さえつけた。
そうだ。確か、大学の遺体を叢に埋めて、そして、またぞろぞろ現れた追っ手を避ける為に、誰も入ったことが無いであろう山の奥へ逃げ込んだ。そこまでは辛うじて覚えている。そして、その、後は?
「気が付いたようね」
凛とした少女の声に、蘭の思考はそこで途切れた。
声のした方を見ると、粗末だがしっかりとした引き戸を開けて、まだ小さく見える少女が蘭の居る部屋に入って来るのが見える。抱えるように持ち込んだ盥を床に置くと、少女は蘭の傍に腰を下ろした。
「大丈夫?」
少女がじっと、蘭の顔を覗き込む。その少女の、何処か見慣れたような気がする顔立ちを見るとも無く見ていた蘭は、あることに気が付いてはっと息を止めた。
あまり明るくない部屋なのではっきりとは判別できないが、少女の瞳の色は、蘭と同じ灰色。この少女は、蘭と同じ七兄弟の血を引く『一族』の一員、なのだろうか?
「森の中で座り込んでいたのを、じいやに頼んでここまで運んでもらったんだけど、覚えてない?」
「うん……」
少女の問いに、微かな呻き声で答える。この少女を見つけることが、蘭がこの国に来た『目的』なのだろうか? そのことだけが、蘭の脳裏をぐるぐると駆け巡って、いた。それならば。良かった、と思う。これ以上、人形のことでこの国の人達を傷付けることは、無くなった。
「大丈夫?」
もう一度、少女がそう、尋ねる。
「はい。大丈夫、です」
今度は、少女の問いにはっきりと答えることができた。
まだ熱が有るようだからと、少女は蘭の額に濡らした手拭を当てる。
その冷たさに蘭がうとうとしている間に、再び引き戸が開き、今度はがっしりとした人影が入って来、蘭の見えるところにどっしりと腰を下ろした。見たところ、老人のようだ。そう、蘭は判断する。この人がおそらく少女の言う「じいや」だろう。そして、この老人の瞳の色も、灰色。
「まだ、問題が有るようですかな、姫様?」
「大丈夫みたい」
少女の答えに、老人はほっとした表情を見せる。そして改めて蘭に向き直った。
「つかぬ事を伺うが、そなたも、『狼』の一族なのか?」
老人の問いに、首を縦に振る。蘭の答えに、老人は心からほっとした表情を見せた。
「良き時期に来て下さった」
少女や老人の祖先は、一族が『谷』に暮らし始めてすぐ、世界の状態を『谷』に知らせる為に『谷』の外に出た者達。その者達の一部が、大陸における戦乱を避け、自らの『探索』の能力を以て生き延びる為にこの国にやってきた。だが、この国でも戦乱が続いており、結局一族は離散してしまった。
「今では、私とじいやだけ」
少女の言葉が、蘭の胸に響く。
「いつかきっと、『谷』から人が来てくれるとは、思っていたけど」
境の街に住む暦に連絡を取ってみよう。蘭はとっさにそう思った。暦ならば、この二人の身の振り方を親身に考えてくれるだろう。この二人が望めば『谷』に移住することも、できる。
「山奥とはいえ、やはり戦乱の世。我一人では、姫様を守ることもおぼつかぬ」
蘭の言葉に、老人はそう言って頭を下げた。
「姫様の為に、宜しくお願い申す」
真摯な老人の言葉に答えるように、蘭はしっかりと頷いた。
だが。
その日の、夕方。
「人が来るっ! たくさんっ!」
狂ったような声と共に蘭の部屋に飛び込んできたのは、件の少女。
「分かりました」
蘭の話す『谷』の様子に耳を傾けていた老人はこのような経験が多いのだろう、起き上がろうとする蘭を助け起こすと泣き喚いている少女の腕を取り、自分の背中に担ぎ上げようとした。だが。
「違うの、じいや。逃げても無駄なの!」
少女は意外な力で老人の腕を振り切ると、真っ直ぐに蘭の胸へと飛び込んだ。
「どうすれば、良いの?」
蘭の背中に腕を回して震える少女の背を優しく擦りながら、問う。しかし少女の答えは、蘭には分かっていた。人形を狙う追っ手が、来たのだ。蘭が人形を持って現れない限り、彼らはこの辺りを細かく捜し回るだろう。少女と老人の命を、奪うかもしれない。
だから。
「私は、大丈夫」
なおも蘭にしがみつく少女の身体を優しく剝がし、老人に渡す。
「瞳の色だけで、暦には分かる筈です」
老人にそれだけ言うと、蘭は傍らの木箱を引っ掴み、外へ飛び出した。
暗い森の中を、走る。
目的地は、一方向だけ明るい場所。
幾許も走らないうちに、松明を持った鎧武者達の前に出る。
「こいつか?」
「捕まえろっ!」
あっという間に、蘭の身体は縄でしっかりと縛られ、近くに置かれた罪人を運ぶ用の手輿に無造作に押し込まれた。人形の入った背負い箱は、鎧武者の一人が抱えている。自分は良いが、人形は乱暴に扱わないで欲しい。このような状態でもなお、蘭は人形のことを優先に心配した。そして。次に心配したのは、少女と老人のこと。予言に似た少女の言動から察するに、彼らの目的は蘭と、蘭の持つ人形のみ。蘭を匿っていたことがばれない限り、二人は無事だろう。そのことが、蘭をほっとさせた。……自分は、大丈夫。『不死身』なのだから、何とかなる。今までだって、そうしてきた。しばらく忘れていた楽天的な思考が、蘭を何時に無く落ち着かせていた。
どのくらい、手輿で運ばれたのだろうか?
不意に明るくなった光景に、蘭は思わず目を擦った。
空を見ると、まだ夜だ。だが、蘭を乗せた手輿が進む道は、明かりが等間隔に置かれている所為か眩しいほどに明るい。そして、道よりも更に明るい場所が、蘭の向かう先に見えた。
どのような装置を使っているのか、この国の様式に大陸の様式を混ぜたような外観の城が、昼間のように明るく照らし出されて光っている。これが、都で聞いた『新都』と、そこを支配する、この国の半分を掌握しつつある権力者の住む城なのだろう。蘭はそう、見当をつけた。
果たして。手輿に乗ったまま、城の内部にある広い中庭まで運ばれる。中庭で手輿から出された蘭は、縛られた状態のまま、中庭傍の座敷に座っていた、この国の着物ではない衣装を身に着けた、若く威厳のある男の前に放り投げるように引き出された。
「こいつか?」
確かめるように男が側近に尋ねる声が、聞こえて来る。側近が頷くと、蘭の前に木箱が置かれた。
「ここでその人形を舞わしてみよ」
居丈高な言葉に、怒りが湧く。しかし蘭にできることは一つしかない。縛られた所為でまだあちこちが痛む身体を気にせず、蘭は縄を解かれるや否や、木箱から人形を取り出し、心のままに人形を舞わせた。
どのくらい、経っただろうか。
「ふん」
明らかに不機嫌な声に、我に帰る。蘭の瞳に映ったのは、明らかに怒りの相を呈している男の姿。どうやら蘭は、かなり不吉なことを口走ったらしい。
「俺には天下は取れぬ、だと」
男が腰の刀を抜いて蘭の前に立ち塞がるのを、蘭は以外と冷静に見詰めていた。
一閃で、人形の身体が横に真っ二つになる。勢いのままに部屋の隅に飛んで行った人形の上半身を見ても、蘭の冷静さは変わらなかった。これが、運命なら、従うのみ。次の瞬間。胸から背に、痛みが走る。蘭が最後に見たのは、蘭自身の血に濡れた刃が蘭の方へと降りて来る、その妖しげな光、だった。
ぼうっとした視界に、見慣れた天井が見える。
しかし何度周りを見回しても、人形の入った木箱は見当たらなかった。
「全く」
蘭が意識を取り戻す時期が分かっていたかのように、襖が開き、渋い顔をした暦が入って来る。
「こちらの手間も考えて下さい」
切り刻まれ、世を惑わす者として新都の辻に晒された蘭の遺体を引き取るのにどれだけ賄賂を積んだか。蘭の横に腰を下ろして愚痴る暦を制して、蘭は尋ねた。
「人形は?」
「質問の順番を間違えていませんか、蘭?」
返ってきた暦の言葉に、少しだけむっとする。しかし暦の言葉は正しい。だから蘭は、もう一つの質問を口にした。
「少女と老人の二人連れ、来た?」
「来ましたよ」
彼らはちゃんと『谷』へ行く船に乗せましたから、大丈夫です。ここだけ、暦はにこりと笑って言った。
「人形は?」
もう一度、尋ねる。
「もう、ありませんよ」
真っ二つに切られた人形は、人々の目の前で跡形も無く焼かれた。暦は簡単にそれだけ言い、蘭の方をじっと見詰めた。
「とりあえずこれで、巫女様からの任務は終わったわけですね」
「そうね」
淋しさが、蘭の胸を掴む。
涙が出る前に、蘭はそっと目を閉じた。
煤けた暗い天井が、蘭を優しく出迎えた。
ここは、何処だろうか? 気怠さを感じつつ、いつもの通り、状況を把握しようと試みる。どうやら、小さな部屋に敷かれた布団の上に寝かされているようだ。そうだ、人形は無事だろうか? 横を向いてすぐ、人形の入った見慣れた木箱が破れの無い障子の側に置かれているのを見つけ、蘭は思わず微笑んだ。
だが。木箱に染み込んだ赤黒い汚れに、微笑が凍る。押し寄せてきた負の感情を蘭は喘ぐことで押さえつけた。
そうだ。確か、大学の遺体を叢に埋めて、そして、またぞろぞろ現れた追っ手を避ける為に、誰も入ったことが無いであろう山の奥へ逃げ込んだ。そこまでは辛うじて覚えている。そして、その、後は?
「気が付いたようね」
凛とした少女の声に、蘭の思考はそこで途切れた。
声のした方を見ると、粗末だがしっかりとした引き戸を開けて、まだ小さく見える少女が蘭の居る部屋に入って来るのが見える。抱えるように持ち込んだ盥を床に置くと、少女は蘭の傍に腰を下ろした。
「大丈夫?」
少女がじっと、蘭の顔を覗き込む。その少女の、何処か見慣れたような気がする顔立ちを見るとも無く見ていた蘭は、あることに気が付いてはっと息を止めた。
あまり明るくない部屋なのではっきりとは判別できないが、少女の瞳の色は、蘭と同じ灰色。この少女は、蘭と同じ七兄弟の血を引く『一族』の一員、なのだろうか?
「森の中で座り込んでいたのを、じいやに頼んでここまで運んでもらったんだけど、覚えてない?」
「うん……」
少女の問いに、微かな呻き声で答える。この少女を見つけることが、蘭がこの国に来た『目的』なのだろうか? そのことだけが、蘭の脳裏をぐるぐると駆け巡って、いた。それならば。良かった、と思う。これ以上、人形のことでこの国の人達を傷付けることは、無くなった。
「大丈夫?」
もう一度、少女がそう、尋ねる。
「はい。大丈夫、です」
今度は、少女の問いにはっきりと答えることができた。
まだ熱が有るようだからと、少女は蘭の額に濡らした手拭を当てる。
その冷たさに蘭がうとうとしている間に、再び引き戸が開き、今度はがっしりとした人影が入って来、蘭の見えるところにどっしりと腰を下ろした。見たところ、老人のようだ。そう、蘭は判断する。この人がおそらく少女の言う「じいや」だろう。そして、この老人の瞳の色も、灰色。
「まだ、問題が有るようですかな、姫様?」
「大丈夫みたい」
少女の答えに、老人はほっとした表情を見せる。そして改めて蘭に向き直った。
「つかぬ事を伺うが、そなたも、『狼』の一族なのか?」
老人の問いに、首を縦に振る。蘭の答えに、老人は心からほっとした表情を見せた。
「良き時期に来て下さった」
少女や老人の祖先は、一族が『谷』に暮らし始めてすぐ、世界の状態を『谷』に知らせる為に『谷』の外に出た者達。その者達の一部が、大陸における戦乱を避け、自らの『探索』の能力を以て生き延びる為にこの国にやってきた。だが、この国でも戦乱が続いており、結局一族は離散してしまった。
「今では、私とじいやだけ」
少女の言葉が、蘭の胸に響く。
「いつかきっと、『谷』から人が来てくれるとは、思っていたけど」
境の街に住む暦に連絡を取ってみよう。蘭はとっさにそう思った。暦ならば、この二人の身の振り方を親身に考えてくれるだろう。この二人が望めば『谷』に移住することも、できる。
「山奥とはいえ、やはり戦乱の世。我一人では、姫様を守ることもおぼつかぬ」
蘭の言葉に、老人はそう言って頭を下げた。
「姫様の為に、宜しくお願い申す」
真摯な老人の言葉に答えるように、蘭はしっかりと頷いた。
だが。
その日の、夕方。
「人が来るっ! たくさんっ!」
狂ったような声と共に蘭の部屋に飛び込んできたのは、件の少女。
「分かりました」
蘭の話す『谷』の様子に耳を傾けていた老人はこのような経験が多いのだろう、起き上がろうとする蘭を助け起こすと泣き喚いている少女の腕を取り、自分の背中に担ぎ上げようとした。だが。
「違うの、じいや。逃げても無駄なの!」
少女は意外な力で老人の腕を振り切ると、真っ直ぐに蘭の胸へと飛び込んだ。
「どうすれば、良いの?」
蘭の背中に腕を回して震える少女の背を優しく擦りながら、問う。しかし少女の答えは、蘭には分かっていた。人形を狙う追っ手が、来たのだ。蘭が人形を持って現れない限り、彼らはこの辺りを細かく捜し回るだろう。少女と老人の命を、奪うかもしれない。
だから。
「私は、大丈夫」
なおも蘭にしがみつく少女の身体を優しく剝がし、老人に渡す。
「瞳の色だけで、暦には分かる筈です」
老人にそれだけ言うと、蘭は傍らの木箱を引っ掴み、外へ飛び出した。
暗い森の中を、走る。
目的地は、一方向だけ明るい場所。
幾許も走らないうちに、松明を持った鎧武者達の前に出る。
「こいつか?」
「捕まえろっ!」
あっという間に、蘭の身体は縄でしっかりと縛られ、近くに置かれた罪人を運ぶ用の手輿に無造作に押し込まれた。人形の入った背負い箱は、鎧武者の一人が抱えている。自分は良いが、人形は乱暴に扱わないで欲しい。このような状態でもなお、蘭は人形のことを優先に心配した。そして。次に心配したのは、少女と老人のこと。予言に似た少女の言動から察するに、彼らの目的は蘭と、蘭の持つ人形のみ。蘭を匿っていたことがばれない限り、二人は無事だろう。そのことが、蘭をほっとさせた。……自分は、大丈夫。『不死身』なのだから、何とかなる。今までだって、そうしてきた。しばらく忘れていた楽天的な思考が、蘭を何時に無く落ち着かせていた。
どのくらい、手輿で運ばれたのだろうか?
不意に明るくなった光景に、蘭は思わず目を擦った。
空を見ると、まだ夜だ。だが、蘭を乗せた手輿が進む道は、明かりが等間隔に置かれている所為か眩しいほどに明るい。そして、道よりも更に明るい場所が、蘭の向かう先に見えた。
どのような装置を使っているのか、この国の様式に大陸の様式を混ぜたような外観の城が、昼間のように明るく照らし出されて光っている。これが、都で聞いた『新都』と、そこを支配する、この国の半分を掌握しつつある権力者の住む城なのだろう。蘭はそう、見当をつけた。
果たして。手輿に乗ったまま、城の内部にある広い中庭まで運ばれる。中庭で手輿から出された蘭は、縛られた状態のまま、中庭傍の座敷に座っていた、この国の着物ではない衣装を身に着けた、若く威厳のある男の前に放り投げるように引き出された。
「こいつか?」
確かめるように男が側近に尋ねる声が、聞こえて来る。側近が頷くと、蘭の前に木箱が置かれた。
「ここでその人形を舞わしてみよ」
居丈高な言葉に、怒りが湧く。しかし蘭にできることは一つしかない。縛られた所為でまだあちこちが痛む身体を気にせず、蘭は縄を解かれるや否や、木箱から人形を取り出し、心のままに人形を舞わせた。
どのくらい、経っただろうか。
「ふん」
明らかに不機嫌な声に、我に帰る。蘭の瞳に映ったのは、明らかに怒りの相を呈している男の姿。どうやら蘭は、かなり不吉なことを口走ったらしい。
「俺には天下は取れぬ、だと」
男が腰の刀を抜いて蘭の前に立ち塞がるのを、蘭は以外と冷静に見詰めていた。
一閃で、人形の身体が横に真っ二つになる。勢いのままに部屋の隅に飛んで行った人形の上半身を見ても、蘭の冷静さは変わらなかった。これが、運命なら、従うのみ。次の瞬間。胸から背に、痛みが走る。蘭が最後に見たのは、蘭自身の血に濡れた刃が蘭の方へと降りて来る、その妖しげな光、だった。
ぼうっとした視界に、見慣れた天井が見える。
しかし何度周りを見回しても、人形の入った木箱は見当たらなかった。
「全く」
蘭が意識を取り戻す時期が分かっていたかのように、襖が開き、渋い顔をした暦が入って来る。
「こちらの手間も考えて下さい」
切り刻まれ、世を惑わす者として新都の辻に晒された蘭の遺体を引き取るのにどれだけ賄賂を積んだか。蘭の横に腰を下ろして愚痴る暦を制して、蘭は尋ねた。
「人形は?」
「質問の順番を間違えていませんか、蘭?」
返ってきた暦の言葉に、少しだけむっとする。しかし暦の言葉は正しい。だから蘭は、もう一つの質問を口にした。
「少女と老人の二人連れ、来た?」
「来ましたよ」
彼らはちゃんと『谷』へ行く船に乗せましたから、大丈夫です。ここだけ、暦はにこりと笑って言った。
「人形は?」
もう一度、尋ねる。
「もう、ありませんよ」
真っ二つに切られた人形は、人々の目の前で跡形も無く焼かれた。暦は簡単にそれだけ言い、蘭の方をじっと見詰めた。
「とりあえずこれで、巫女様からの任務は終わったわけですね」
「そうね」
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