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第壱譚

0000:演習場にボロボロな女の子⁉︎

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 ーーここは、トルネード王国のとある演習場。ーー


「エリンー! 怪我人が出たぞー‼︎(大声班長)」

「はい! どこですかー?(班長に向かって)」

「こっちだー! 担架を持ってこい‼︎」

「了解です‼︎」


 ーー俊敏な速さでエリンは班長の方へと向かった!ーー


「班長、簡易担架です!」

「……まずいな。傷が深すぎる。(傷病者を診て)」

「……。(最近の演習は異常過ぎる。以前はこんな事無かったのに。を導入してから、弾が破裂した周辺にだけでこんなにも身体がおかしくなるだなんて……。まるで、体内から壊れているようで、気味が悪いわ。)」

「……駄目だ。エリン、やっぱりこの兵士はここに置いていこう。(埃を払いながら立ち上がる班長)」

「ーーーーっ⁉︎ これでですか⁉︎ 班長、おかしすぎますよ! 私たちの役目は傷病者の保護及び応急処置なはずなのに、まだ息がある兵士をここで見捨てるだなんて‼︎」

「……上からのお達しだ。俺はそれに従うだけさ。」

「班長‼︎」

「異論があるなら、辞めてしまえ。」


 ーー班長は、一人で救護用天幕へと戻った!ーー


「……。(おかしい。この国トルネード王国はおかし過ぎる‼︎)」


 ーー納得のいかないエリンは、虫の息な兵士をガシッと肩に背負って、カルスト台地の急な坂道を駆け降りた‼︎ーー



 ◇  ◇  ◇



「……救護兵の君、もういいよ。(虫の息な兵士)」

「ーーっ‼︎ 意識が戻りましたか! もう少しで救護用天幕に着きますので、踏ん張って下さい‼︎(汗だくエリン)」

「私の命はほんの僅か。……君にお願いがあるんだ。」

「えっ?(立ち止まるエリン)」

「……私をここへ置いて、さっきの場所に戻ってほしい。(息が切れそうな兵士)」

「ーーーーっ⁉︎ で、ですが……。」

「一人の女の子がいるはずだ。……彼女を必ず守ってくれ。(最後の力を振り絞って言葉を発し、事切れる兵士)」

「…………了解しました。(涙で前が見えないエリン)」


 ーーエリンは兵士を地面へ丁寧におろすと、一つ拝んで、先程の場所へと向かった。涙を拭うことも忘れて。ーー



 ◇  ◇  ◇



 ーーエリンは、元の場所に到着した!ーー


「ーーーーっ⁉︎」


 ーーなんと、亡き兵士が倒れていた付近の草むらで、ボロボロな少女が倒れているではないか⁉︎ エリンはすぐさま彼女を抱き起こして、息をしているかどうか確かめた‼︎ーー


「ーーまだ息がある‼︎」


 ーーエリンは、彼女を横抱きに抱えて、走り出す‼︎ーー



 ◇  ◇  ◇



 ーーここは、演習場付属の救護用天幕。ーー


 ドタバタっ‼︎ ガチャン‼︎


「班長、演習場にて傷病の一般人を発見しました‼︎」

「何っ⁉︎ 見せてみろ‼︎(椅子から立ち上がる班長)」


 ーーエリンは、天幕内のベッドに少女をおろした‼︎ーー


「……駄目だ。この子も、もうじき死ぬだろう。」

「ーーーーっ⁉︎ 班長、何故助けられないのですか⁉︎」

「……上からのお達しだよ。(煙草に火を付ける班長)」

「……。(上から上からって、最近はそればかり。)」

「……可哀想に。一思いにヤってあげた方が彼女の為だな。(腰に携えていたサーベルを抜く班長)」

「ーーーーっ⁉︎ ま、待ってください‼︎」

「……一度してしまえば後は苦しみだけなんだよ。……仕方がないんだ。(少女へサーベルを振り下ろす班長)」

「だめえええええええ‼︎」


 ーーエリンは、少女と班長との間に入った‼︎ーー


 ザクッ‼︎


「エリン⁉︎(呆然とする班長)」

「……はん、ちょう、……本日をもって、私エリン・マラスカスは、除隊、……致します‼︎(少女に覆い被さった結果、班長のサーベルをくらって、痛みにもがき苦しむエリン)」

「あ、ああ。……だがエリン、これからどうするんだ。」

「……少女を、街医者に見せます。(息が苦しいエリン)」

「……わかった。エリン、すまなかったな。(困り眉)」

「……いいのです、班長。……これは、私の我儘ですので。(痛みを隠すように、微笑むエリン)」

「痛かっただろうに。出て行く前にせめて治療させてくれ。(エリンの背中に左手のひらを向ける班長)」


 ぱあああああ(仄かな光)


「……やっぱり、班長ってすごいですね。(完全回復!)」

「……絶対に誰にも言うなよ。……の使用がバレたら、俺は死刑なんだからな。(バツの悪い班長)」

「はい! ……班長、今までたくさんお世話になりました!(少女を横抱きに抱えて深く礼)」

「……気をつけろよ。(煙草を咥える班長)」

「はい! ……班長もどうか、身体に気をつけて、お元気でいてくださいね!(さよなら、私のの班長様‼︎)」

「ああ。……裏から行け。(そっぽを向く班長)」


 ーーシュパパッとエリンは出て行った‼︎ーー


「……ったく、殿の計画通りっていうのも、なんだかムカつくな。(去って行くエリンの後ろ姿を見ながら、一人煙をくゆらす班長)」


 ーーエリンは、演習場のきわを全速力で駆け降りる‼︎ーー
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